接触できるか
あとはそのまま脱出という手はずになっていたのだけれど、
「……地図を見ていると、複数人の集団が二つほどこちらに向かっています」
僕がこの地図を見てそう言うと、メメル姉ちゃんが、
「これ、私達の村につながる出口に行く道にいるわね、二つとも」
「遠回りしないといけないようですね。もしくは、どこかに隠れるか。それとも戦闘するか。確かにあの“蛇の果実”であれば避けられるかもなのですが……複数人で組んでいるのは先ほどの襲ってきた彼らのような人達なのでは」
僕のその言葉に、メメル姉ちゃんたち全員が呻いた。
“蛇の果実”であれば先ほどの奪った銀色の球で何とかなるけれど、もしも普通の人間であれば戦闘になる。
そうなれば魔法戦となり、戦闘の爆音がそこら中に響いて彼らと敵対する僕たちがいることに気づかれるだろう。
その結果どうなるかというと、“仲間を呼ばれてしまう”といった所だろうか?
大人数に僕たち少人数で立ち向かうのは愚行。
だからそれを避けるルートで移動するのが最善だ。
さらに遠回りとなるとどこのルートだろうと僕が思っていると、メメル姉ちゃんが、
「こっちから、こう移動するのは……」
「確か今日は特売日がこのお店で会って人だかりができていたはず、そしてここ周辺の店も対抗して……」
「そうすると道が塞がれていそうですね。とすると……」
といったようにどこに道を行くかの話し合いが行われる。
ここの中でこの町について知っているのは、メメル姉ちゃんとクラリスくらいだからそうなってしまう。
そしてどう逃走するか決まったらしい。
「このルートに行こうと思うわ。そしてここに、道具をしまう納屋があるから一度そこに隠れて様子を見て……」
クラリスの説明に、その地図を見ていたマリンが何かに気づいたらしかった。
この途中の建物についていくつかクラリスから聞いてから、
「間違いないわ。ここは私たちの、今回のスカウトのための拠点になってる場所ね。しかも……反応がある?」
僕の地図には、そこに魔力の反応があった。
一つだけだが、どうやら一人隠れている仲間がいるらしい。
そしてそれは納屋のすぐそばの宿のようだった。
そこでマリンが少し黙ってから、
「ここに行けば都市に直接連絡ができます。それにもし生き残っているのが仲間であれば、仲間が一人増える。今の状況では心強いですね……隠れるのもかねて、ここによって、この人物と接触してみて構いませんか?」
マリンのその提案に、特に反対意見はなかったのだった。
それから急いで僕たちはその宿に向かっていく。
話したり道を考えている間に、大分彼らが僕たちの方に迫っていたからだ。
急いで移動をしている間、特に敵と遭遇する事もなく僕たちはその宿にまでたどり着いた。
木造の宿で、窓にはカーテンが敷かれている。
いり口には鍵がかかっているだろうか?
引っ張ってみるとそのドアは、小さくきしむ音がして開く。
中をのぞくと、一階は食堂になっているようだった。
カーテンの閉められた窓から光が差し込んでいるために室内はそこそこ明るい。
だが宿屋であるなら、幾つかありそうな人影は何処にもない。
調理をした後のようなものや、食事をした後の汚れた皿が、洗面台の中に置かれているのが見える。
あたりを見回してから、もしかしたならこういった机などの影に人が隠れているかもしれないので様子を見るも、一階には誰もいないようだった。
仕方がないので僕たちは上の階に移動を開始したのだった。




