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仲間とでもいうかのように

 クラリスのかばんは結構大きかったが、僕の元の世界の旅行鞄のように下に車輪がついていて、引いて持っていけるようだった。

 それを持ち、ここから脱出しようとした僕たちだけれど、


「待ってください、ここ周辺の様子を僕が魔法で見ます」


 僕は出る前に様子を見ようと思った。

 先ほどから変な感じがして、仕方がない。

 そう思って呼び出したここ周辺の地図には……この家周辺に沢山の魔力の反応が集まってきているらしいことだった。


 ここ周辺を自由に比較的歩けて、ある程度同一の方向に動けるのは……敵である、“蛇の果実”くらいのものだろう。

 つまり“蛇の果実”の皆様がこのクラリスの家の前に集合しているのである。

 この地図を見ていたマリンが、


「……戦闘は避けられない、と」

「そうみたいです。すでに入り口部分に集まりかかっていますから。この人たちが事前に呼んでいたのかもしれません」

「でもあまり長くいても、“蛇の果実”が集まってきてしまう……早めに脱出した方がよさそうね。……ドアを開けて一斉に、全員で攻撃して道を開きましょう」


 そうマリンガ提案する。

 力技でどうにかするといった方向だ。

 ほかにいい方法があればいいが、現状ではそれ以外に思いつかない。


 だから、魔法で攻撃してこの場から全力で逃走するしかない。

 そして玄関の入り口付近に集まり、僕達は攻撃魔法の準備をする。

 左右に分かれて、扉を開けたときに襲い掛かってくるであろう“蛇の果実”を攻撃し、そのまま逃走する。


 単純な作戦だった。

 それから準備が整ったところでマリンが扉を開く。

 そこには“蛇の果実”が使われた敵が数人いたが、この家に入ってくる気配はない。


「……おかしいわね」


 そう呟いてマリンが部屋の外に出ようとすると“蛇の果実”達は道を開けた。

 まるでマリンのじゃなにならないよう、仲間とでもいうかのように動いていく。

 しかも外に出た後は道に通じる通路になるように、左右に分かれている。


 何が起こったのだろうと僕は思って、すぐに気づいた。


「まさか、さっきの銀色の球が、この“蛇の果実”の人たちを……いくらか“操れる”もしくは“仲間”と認識される道具になっているのでは?」

「あり得るわ。彼らだって襲われても困るから。……いいものを手に入れた。この収穫も本部に連絡を取れればいいのだけれど、とりあえずはここから逃げ出すのが先。石化の魔法解除のくするを作れる人間は限られているから。……まさかこんなことになるなんて。でもこれでとりあえずタクヤの村に一度戻り連絡をすればいい」


 そう呟いたマリン。

 そして僕たちはこの取り囲まれた場所から全員抜け出す。

 ここにやってきた彼らから回収した球の範囲は意外に狭く、少し離れて歩いていたメメル姉ちゃんの方を、“蛇の果実”の人の顔がぐるりと向いて、小さくメメル姉ちゃんが悲鳴を上げたが特に何もしてこなかった。


 そんなこんなで集まってきた“蛇の果実”を組み込まれた集団から僕たちは抜け出せたわけだけれど、あとはそのまま脱出すればいい……とはならなかったのだった。



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