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上位の魔法が使える

 そこでリリルが呟いた。


「“氷の矢”」


 マリンやクラリス体が魔法を放った一番最後に発動したリリルの魔法。

 けれどそれは小さな氷の矢が幾つか飛び出す程度の魔法に感じた。

 人間相手の戦闘だから、やはりそこまで傷つけることに抵抗があったのかもしれない。


 リリルと幼馴染をしてきた僕はそう思った。

 だが実際に起ったのは、冷気をまとった氷の矢が数十本と浮かび上がり、そして攻撃する“冷気の雨”という数段会レベルの上の魔法だった。

 焦ったようなリリル、そしてあちらの二人組も焦ったようだが、その突然の攻撃に抵抗する間もなく、氷に足を取られてしまう。


 また、一部は氷となって上手く動けない状態になっていた。

 さけはするものの全てを避けきれない、そんな状態。

 けれどこうやって動きを封じられたのは良かったようだった。


 即座にマリンとクラリスが走り出て、男二人を昏倒させる。

 後は、先ほどと同じように、ロープでぐるぐる巻きにして魔法を封じる。

 これで準備は完了した。


 他にすることがあるとしたら、ここにいる二人の身ぐるみをはぐ……ではなく、彼ら邪教の持つ情報を少しでも回収したかったのだ。

 けれど、結局手に入ったのはちょっとした魔道具とそして、銀の球のようなもの。

 先ほどの二人も持っていたこれだ。


「何か手がかりになるかもしれません。これは回収しましょう」


 マリンがそう言ってそれらを回収する。

 とりあえずこうしてクラリスの家に襲ってきたこの人物達との遭遇戦は終わったけれど、そこでマリンが、


「ここに残っていると、また襲ってきそうね。彼らが戻ってこないとなると様子見に来るでしょうし」

「となると私はここから移動したほうが良いか。……石化の魔法の解除薬を作る道具だけは持っていきたいな。他に必要な材料もあるしその道具と位なら、カバンひとつですむ」

「ではすぐに用意してください。ここから一緒に脱出しましょう」


 といった話になった。

 そしてクラリスが急いで道具を揃えに行く。

 その間暇になったからか、マリンがメルルに、


「先ほどの魔法は確かに“氷の矢”だったはずですが、どうして違う魔法になったのですか?」

「……その、実は私時々魔法が失敗するというかよく失敗しちゃって。発動しないことも多いんですが、まれに強力な魔法がでてきちゃうんです」

「まれに……ですか」


 考え込むように呟くマリン。

 そこでアリサが、


「でも、私が教えた時は上手くいっていたよ? 発動しないのも殆どなかったし」

「それはその、アリサちゃんの教え方が上手くて。……母さん、大雑把だから」


 ポツリと恨めしそうにリリルが呟いた。

 そういえばリリルのお母さんは結構豪快というか、魔法は根性よ、といっていた気がする。

 多分独特の感性で魔法が使えたのかもしれない。


 だからリリルにはそれがよく分からずに、失敗していたのだろう。

 でも、リリルのお母さんが魔法が使えたなんて初めて知ったなと僕が思いつつ、今の話から、


「リリルは、魔法に失敗すると、ある程度の確率でそれよりも上位の魔法が使える、そういうことですか?」


 そう僕は聞いたのだった。

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