氷の魔法
あと二人、倒せばいい。
そう僕は思いながら再び先ほどの定位置に。
今度こそ出番よというように意気込むリリルとアリサ、そしてメメル姉ちゃんの様子を見ながら僕は、その出番は僕が手に入れると意気込んだ。
もっとも、すぐにまたロープを取りに行く係になるかもしれないが。
そう僕が思っていると、そこで緩やかに扉が開く。
それと同時に、炎がこちら側に飛んできて、ハッとしたようにそれをクラリスが魔法で消した。
オレンジ色の小さな炎の塊が消失するのを見た僕だけれど、おそらくは敵にもよく見えていることだろう。
僕は、使う魔法を変更しようと即座に小さく呪文を唱え始めた。
と、そこでクラリスが、
「危なかったわ、私の薬が……!」
小さく呟いたクラリスだがすぐに気づいたらしい。
少しドアから離れた場所に笑う男が二人いた。
「やはり隠れていたか。アイツがそんなに時間をかけるとは思えなかったからな」
「だが女一人、二対一で勝てると思っているのか?」
それを聞いてクラリスが不思議そうな顔をしてから、すぐに気づいたらしかった。
彼らの位置からは僕達は見えていない。
僕達の場合は背が低いので、四角の範囲から少し外れているのかもしれない。
だからだろう、ここに襲ってきたその
二人は、ここにはクラリスしかいないと思っている。
思わず吹き出しそうになった僕。
そして見るとありさやリリル達も必死になって口を抑えて笑いをこらえているようだった。
ただ大人であるマリン達は表情を変えていなかったが。
そこでクラリスが、
「そう、それで他に何か言いたいことがある?」
そう問いかけるとその二人は笑うのをやめて、
「随分と自信だな。町の薬や風情が。こう見えても我々は、魔法の戦闘に離れているのだよ」
「そうですよ、ほんの少し戦闘の経験があるからと言って抵抗するなら痛い目にあいますよ? 今大人しくこちらに来たなら、何もせずに“石”にしてあげましょう」
嫌味な言い方で嗤うこの二人。
余裕が見て取れる。
それは油断だ。
そこでクラリスが氷系の魔法を使おうと、呪文を唱えているのが分かる。
そして敵は炎系の魔法を使おうとして二人が何かをやっているが、それを見てクラリスが苛立ったように、
「……家を火事にする気? 容赦しない」
と、暗い声でつぶやいたのを僕は聞いてしまった。
凄く怒っていると僕は思いつつも、マリンも同じように氷系、リリルやアリサも同じように氷系にする気らしい。
氷ならば、溶けても水びたしになる程度で済むからだろう。
そんな中で僕は、炎の魔法を無力化すべく、解除の呪文を唱えておいた。
そして他の人達が炎で攻撃を開始しようとした所で、
「“無色の網”」
周辺に広がるように大きなネット状に光の糸が広がる。
存在制限は、炎の魔法に触れて2秒。
幾つかの炎の魔法がそこに当たるとともに、無力化魔法が消滅する。
一つ漏らしてしまったけれど、後は魔法で十分相殺されるはずだった、のだが。
そこで、クラリス達が氷の魔法で攻撃する。
だが敵も魔法の戦闘に慣れていると言っていたせいもあって、それらは幾らか防がれてしまい致命傷にならなかった。
だから次の手をと僕が思った所で、
「“氷の矢”」
リリルが魔法を使う声がして、そして、明らかに違う魔法が発動したのだった。




