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手掛かり

 近づいてきた足音。

 マリンとクラリスが目配せして、次に僕達は戦闘の一応はプロでもある彼女たちのすぐ横につく。

 ただしすぐに彼女たちの手助けができるように魔法の準備はしておく。


 カタカタと何かがどかされる音や本が崩れる音がして、


「ばか、何やっているんだ、これじゃあここの扉がひらけないだろう」

「そんなことを言ってもですね、こんな散らかってたら……よいしょっと。こっちは寝室みたいですね」

「寝室に石化の魔法の解除薬があるとは思えないが、念のため確認だ。お前はそこ、一人で先に入っていてくれ」


 そんな声が聞こえた。

 するとぼやくように、この扉の反対側の人物が、


「あ~ったく、面倒なものばかり押し付けてきやがって。そのうち、面倒ごと全部押し付けれる立場になりてぇな」


 などと言いながら扉のドアノブに手をかけた音がする。

 ぐるりと取っ手の部分が周り、カチッと音がして、ゆっくりとドアが開いてその声の人物が姿を現した。

 背の高い細い男。


 僕の印象はそう。

 マリンよりも背が高いからそうなのかもしれない。

 そこで彼はようやくマリンとクラリスや、僕達に気付いたらしいが、その時にはマリンたちは動いていた。


 魔法よりも体術で気絶させることにしたらしい二人が、即座にその男に膝蹴りや、首のあたりをトンと叩いていた。

 小さなうめき声をあげて倒れこんだその男を回収し、そのままずるずると部屋の中に連れ込んで再び扉を閉める。

 あまりにも鮮やかな手並みに、リリルとアリサが目を輝かせていた。


 こういう感じがリリルとアリサの好みであるらしい。

 でももう少しおとなしくしておいて欲しいなと僕は思っているとそこで、


「さて、ロープが確かそっちの箱にあったはず。魔力を封じる札……弱いものだけれどそれもあるからとってきてもらえるかしら。青い箱に入っていたはず」


 そうクラリスに言われて僕は、そのままメメル姉ちゃんと一緒にロープを取り出し、捕まえた人物を縛り上げたのだった。









 簡易的な魔力不を封じる札を付けて、ロープから逃げられないようにする。

 それから、今度は持ち物を探すことになったのだけれど、


「普通にナイフやお金といったものしかないわね。あとは最近都市で流行の本、ほかには……変な銀色の玉のような物ね。ほんのりと魔力を感じるから回収しておきましょう」


 そう言ってマリンがその銀色の物体を懐に入れる。

 なんとなく身ぐるみをはいでいるような気もするが、彼らの仲間であるこの人物も重要な手がかりなのでその辺りの事は特に考えないようにしようと思った。

 それ以上は、僕もちょっと探してみたがその辺りには特になく、手掛かりはなさそうだった。


 そこで再び声がした。


「まったくこっちにはなんもなかったな。しいて言うなら旨い酒があったくらいか」

「あと、つまみですね。いい味だった……でもあいつ、まだ調べ終わってないみたいですね。ここにいませんし」

「何をぐずぐずしているんだ、だからあいつはダメなんだ」


 といった声がして、再び僕達は扉のすぐそばで息をひそめたのだった。


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