空中に文字
二種類ほど、派生能力を手に入れた僕は、ご満悦だった。
そして周りの様子を見ながら光を調節して消す。
すると今度は女の魔法使いの人が、
「ではこれから光で空中に文字を書く練習です。まずは指を一本以外は折り曲げて、人を指さすようにしてください。それから呪文を唱えます。“小さな欠片は、一つ二つと震え、触れ合う。音は小さくとも声を上げて、その意味を示す”“色素定着”」
「「「“小さな欠片は、一つ二つと震え、触れ合う。音は小さくとも声を上げて、その意味を示す”“色素定着”」」」
そう周りと一緒に同じ言葉を呟くと、僕の手の指先に紫色の光がうかびあがる。
周りもピンク水色黄色と色とりどりの光が見て取れる。
女魔法使いの位置から全員を見ると、色とりどりの光が現れていて綺麗だろうなと僕は思った。
それから女魔法使いが、
「これから形を描き出します。まずは丸」
そう言って宙に光の線で円を描く。
するりと浮かんだ光の輪は、しばらくその形をしていたけれどすぐに消えてしまう。
一瞬の出来事だった。
それを今度は僕も含めて周りの人達もやろうとする。
すっと僕はすぐに円をかけたけれど、他の子達は途中で光が切れてしまったりしている。
見ているとリリルが苦戦している。
だから僕は、
「魔力を一定にするように心がけるんだ。もし扱いにくいなら線を、この光の球を小さくして、小さい円を描くようにした方がいい」
「でも……」
「慣れてきたら大きくしていけばいいんじゃないかな?」
「……分かった」
リリルが頷き、そして小さな円を描くのに成功したのだった。
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