では一体誰?
怪物の首がグルリと別方向に回る。
その瞳がとらえているのは僕の方じゃない。
では一体誰?
そう思って振り返るとそこには、
「リリル、どうしてここに!」
「タ、タクヤが離れているからついてきて……な、何アレ」
怯えたようにリリルが呟くのを見ながら、僕は即座にリリルの方に向かって走る。
それと同時に、目の前の怪物がリリルの方へと“跳んだ”!
けれどぎりぎり僕の方がはやい。
そして、僕はリリルの傍までやってきて、先ほどと同様の魔法を使う。
「“水鏡の障壁”」
目の前に現れた水系の壁。
大きな音がして何かが衝突し、跳ね返る音がした。
うめき声のようなものも聞こえた気がするが、思いの外あの怪物は速いスピードと力で襲い掛かってきていたらしい。
そのせいで反射の能力があるこの壁に衝突して、結構な距離にとばされた。
僕とその怪物にそこそこの間があるのは良かったように思う。
けれど今の攻撃で、この怪物は頭から赤い血が流れている。
この前は青かったはずなのだ。
ではこれは一体、そう僕が思っているとそこでリリルが、
「あ、あれは何?」
「よく分からないけれど“敵”のようなんだ。僕達を攻撃したりする、そういった存在であるらしい」
「なんでそんな……あれは人?」
「人のように見えるけれど、言葉が通じる様子はないかな」
「ど、どうしよう、誰か呼んでこないと……」
「呼んできても対処は出来ないと思う。魔法の力は強いし、足も速いみたいだから。だから僕が、今ここで倒すしかない」
そう僕はリリルに答えたのだった。




