偽物ですね
マリンと同じ黒ローブの魔法使い達。
けれど雰囲気が何か違う気がする。
僕はそう思った。
と、そこで父と母が、
「タクヤ、下がっていなさい」
「背の高い畑の中に隠れていなさい」
そう僕に告げる。
あれっと僕は思った。
いつもの父母と雰囲気が違う。
そう言えば僕は一度も両親の能力をはかったことはなかった。
けれどこの雰囲気、以前、危険な強い力を持つ人物と出くわした時と似ているような……と僕が思っていると、そこで黒ローブたちが振り返る。
「初めまして、我々は王都の方から来ました魔術師団の者です。実は、タクヤという人物に用がありまして……」
そう告げるのを聞きながら、昨日のあのマリンたちの知り合いだろうかと僕は思う。
でも、僕は彼らに不安を感じる。
近づいてはならないような新な不安だ。
そこで母が、
「そうですか。それでうちのタクヤにどのような御用でしょうか」
「じつはそのタクヤという子供には魔法の才能がありまして。ぜひ、我々のもとで修業をと思い、本日こちらに参りました」
「修行ですか。王都の魔術師団、“坩堝の杖”と呼ばれる、王都で一番大きい大家とのつながりも深い魔術師団、という事でしょうか」
「はい、そうです。そしてこれが証拠です」
そう言って取り出したメダルのような物。
金色の金貨のような円形ではあるが、透かし彫りの草花と共に杖が二本、描かれている。
でも僕は以前、両親の机に蛙の玩具を仕掛けようとした時に、これを母の机で見たことがある気がする。
不思議な魔力を感じたが、その時母に見つかって……そのあとのことは思い出したくない。
でもなぜこの人達はこれを持っているのだろうと思っていると、母が嗤った。
「偽物ですね」
そう言い切ったのだった。




