感じ取る
“蛇の果実”、そうマリンが呟いたのを僕は聞き逃さなかった。
一体それは何だろうと僕は思うが、今は詮索している余裕がない。
というか声を出したら気づかれてしまう。
僕は平穏に暮らしていきたいのだ。
そのためにこの能力は気づかれるわけにはいかない。
けれどこんな街中で周りを巻き込むような力を放つこれは一体なんだろう?
ごく普通の人間の男のように見えるが、表情がまるで変わらない。
人の方を精密に再現した“人形”が歩きながら、破滅的な攻撃してきているようだ。
うっすらと前世の記憶にあるSFの人によく似たロボットが人類に牙をむく、そんな雰囲気がこの目の前の存在からは感じられる。
けれどこれは人間なのは僕に分かる。
搭載された魔力の動きが人工的なものと違うからだ。
レベルが高くなればなるほど周りの魔力の動きなどが感じやすくなり、それに対して対応ができる。
すでに常人よりもはるかに高いレベルになった僕だからこそ感じられるものだ。
そして、そんな僕はもう一つ違和感がある。
それはこの目の前の凶悪な魔法を放った男の右肩の先の部分だ。
渦巻くような奇妙な魔力の動きを微かに感じる。
“蛇の果実”とマリンは呟いていたが、そういった魔道具か何かがあって、それがこの男の服に隠れているような場所につけられているのかもしれない。
人間でありながら普通とは違うそれを感じ取った僕は、再び攻撃されて防御の壁が振動するのを感じながら、再度魔法攻撃の準備に入った男を見て防御の壁を消す。そして、
「“氷の矢”」
魔法を呼び出し、僕はその魔道具があると思われた場所に、攻撃したのだった。
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