“蛇の果実”
後はお任せしよう、僕は撤退かなと思った所でそれは現れた。
そこに居たのは、普通の男性……のように見えた。
姿形であれば、だが。
だが僕はそれを見た瞬間、不気味なものを感じる。
総毛立つ、そう言っていい存在。
本能の部分で感じる“危機”の感覚。
まだそれほど“覚醒チート”で能力を集めきれなかったときに危険な敵と遭遇した時だ。
普通に魔法の腕も素晴らしかったその人物。
結局コピー能力の方を駆使して、そこからの“覚醒チート”で大量の技を経て何とか倒した形だ。
けれど今ならば大量の能力がある。
それを使えばいざという時には、何とかなるが……。
「能力を知られるのは、あまり好ましくないんだよね」
僕は小さく呟いて、様子を伺おうとした。
けれど、小さく震える男と、微動だにしないマリン……その様子に違和感を覚える。
どうしてマリンは即座に魔法を使わないのか?
相手を一般人だと思っているのか?
いや、それならばここは危険だから避難を、というはず。
思考は僕の中で刹那に行われた。
すぐに僕は駆け出して、防御系の魔法を使う。
「“対置の壁”」
相手との間に透明な壁を作る魔法である。
よほど強力な魔法でない限りはこれでほぼすべてが防げるはずだ。
そう思った所で目の前に炎が膨れ上がった。
僕が作り上げた魔法の壁が小さく振動する。
こんな街中で一体何が!? と僕は一瞬驚愕した。
けれど更に驚いたのはそれを放った男が小さく薄く笑ったことだった。
まだ彼には力があるのだろうか?
でも違和感がある、そう僕が思っていると、
「“蛇の果実”」
小さくマリンがそう呟いたのだった。
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