すぐ追いかけるから
悲鳴が聞こえた。
ここは、人通りの多い場所で、そのためにその悲鳴が何によってなのかは見て分からない。
けれど突如現れたその気配に覚えがあり、僕はぴくっと反応してしまう。
メメルとリリルは何が起こったのかといったように不安そうにその悲鳴の下方角を見ている。
そこで誰かが深々とため息をついたのが聞こえる。
その主はマリンで、僕の方を見ていて、
「今、気づきましたね」
「何のことでしょう?」
「……やはり貴方は怪しいわね。でも今は調べている時間が無いわ」
と、マリンが呟いて悲鳴のした方に向かっていく。
確かに、今のこの状況に対処できるのは、マリンというあの魔法使いや、あそこの講義にいた魔法使い位のものだろうけれど……。
「急にこんな人の多い場所で、現れるものなのかな?」
「? どうしたの、タクヤ」
「……とりあえず僕達もここを離れようよ、みんな逃げているし」
そう僕はリリルとメメルに提案する。
すぐに二人はそうねと頷いて逃げだす。
けれど何分、人が沢山逃げまどっている中を僕達は移動しているわけで。
手を繋いでいたとしても逸れてしまうのもまあ仕方がないわけで。
「! タクヤ!」
「す、すぐ追いかけるから先にいっていて!」
僕はメメルから逸れるようにして人ごみに消えた。
必要が無ければいいのだ。
「僕の力を使わないに越したことはない。だって、使うって事は大変なことになっている時だから……さて、どうしようかな。……周りに溶け込む魔法も便利だからそのうちぜひ覚えたいけれどとりあえず」
僕はそう呟いて、何処からともなく黒い布を取り出し、頭からかぶったのだった。
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