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魔法がかけてあるね

 こうして僕は何も知らず、ケーキがもらえたわーい、という気持ちでメメル姉さんの所にもってきていた。

 そこで、白い髪に眼鏡をかけた、黒い服の女性が丁度買いに来ていた。

 今日は直接その人の店に行かなくていいんだと思いながら僕は、


「クラリスさん、お久しぶりです」

「おや、タクヤ。もうスカウトの授業は終わったのかな?」

「あれ? ご存じだったのですか?」


 僕が不思議に思って聞くと、クラリスは小さく笑い、


「有名な話……と言いたい所だが、私もスカウトされて魔法学院に向かったからね。おかげで魔法薬に関しては一流と自負しているよ」

「そうなのですか」

「そうそう、そして今日はたまたま散歩で市を見に来たら見覚えのある荷車と、人物がいてね。そうしたらそろそろ必要だなと思っていた薬草があるではありませんか。というわけで購入させていただいたよ」

「お役に立ててうれしいです。後で買ってもらいに行こうと思っていたので」

「そうだったのか。その分ここまで歩いて私の体が程よい肉づきになったはずだ、と、その青い箱は何かな?」


 そこで僕達の持っている青い箱を見て、


「それは?」

「名前を書いたらもらえました」

「それはスカウトか! それはそれは……でもスカウトの時私達はそんな物、貰わなかったが。……見せてもらっていいか?」

「どうぞ」


 そして僕は箱を渡すと、クラリスがその箱を上やらしたやら横やらで見て、頷く。


「これには魔法がかけてあるね。ただのスカウトではなさそうね」

「! ど、どんな……」

「うーん、居場所を確認する魔法かな。……他の人達ももらっていた?」

「はい」

「新しい才能が必要だったのかしら。それともやり方が少し変わったのかな……でも悪いようにはならないとは思う。はい」

「……ありがとうございます」


 そう言って受け取った僕だけれど、何か腑に落ちないものを感じたのだった。

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