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「黒髪ロングの女の子？」

飛び降りを決行もとい、断念した日の翌日。

僕は同じ学部の、中学からの知り合い、鵜川依(ウカワヨリ)を尋ねた。

「確かに大学生になると黒髪の女の子は少ないし、どっちかと言うとショートの方が多いからね。でも少し情報が少ないかなぁ……」

ふぅん…と首を傾げる鵜川。

確かに大学となると黒より下手な茶色の方が多い。

だが鵜川、お前のように大学生になっても両肩におさげを携えてるのは全国でお前だけだろうな。

「やっぱり鵜川にも分からないかぁ…」

「大和くん、もしこの質問にわたしが即答したら、あなた引いてるでしょ？」

「うん……引いてるな」

間違いなくドン引き。

何百人といるこのキャンパスから、一人の女性を言い当てるなんて、常人のできることじゃない。

「うーん……あっ！……いや、あれはなよ竹のかぐや姫か」

「何でそこでかぐや姫！？」

「だってかぐや姫も黒髪ロングでしょ？まさにヤマトナデシコよねぇ」

黒髪ロングは全員ヤマトナデシコなのか。

ヤマトナデシコが僕の中でデフレを起こしそうだ。

「……あっ！一人だけいるそんな子が！確か言語学部の立花さんだったかな」

「すごいな…やっぱり知ってたのか」

「知ってはないけどたまたまね。ちょっとというかドス黒い感じの人でしょ？」

ドス黒いというか、死神のような感じだったな。

あの瞬間を除いては。