003
「でも意外だな」
「意外?どういうことかしら?」
「いやなんというか……立花がそういうものに興味があるんだなぁっていうのが意外だと思っただけさ。ちょっとメルヘンチックだろ?」
「なるほど、武田くんはわたしのことを超現実主義者だと勘違いしてたってことね」
「まぁ……そこまでは思ってないけどな」
でも、割と現実主義の方に傾いているとは思っていた。
見た目いうか、言動とかそんなのを含めて。
「この際だから言っておくけど武田くん、わたしはメルヘンの塊よ。頭の中では魔女とか一反木綿とかが飛んでるのよ」
「東洋西洋関係無しだなそれ……」
毎日が妖怪大戦争。
傍迷惑な頭をしてやがる。
最初は馬鹿馬鹿しいというか、何やってるんだかと呆れた人面木探しも、やり始めるとなかなか面白いもので、僕と立花は人が素通りしていく並木道をゆっくりと進んで行く。
「あれ……あれなんかどうかな?人の顔に見えないか?」
「そうね、ちょっとマヌケな顔をした感じが武田くんぽくて親近感が湧くわ」
「そんなに間抜け面か僕?」
「間抜けというより、腑抜けね」
「同じ意味じゃないか!!」
どちらにしろ、悪態に変わりはない。
間抜けで腑抜けで……でも間抜けでいられるこの時が僕は気楽で、楽しかったのは違いない。




