002
「まあいいや……それで何をご所望ですか?」
「お嬢様は?」
「…………」
催促を超えて、もはや傲慢。
こいつは僕に何を求めてるんだよ。
「まあいいわ、そうね……おしるこが飲みたいわ」
「おしるこって……また渋いというか、独特なところを突いてくるな」
「女子は甘いものが好きなのよ武田くん。その程度の女心も分からないようじゃ、まだまだナンパ師の精進が足りないわね」
「僕はそんなもの目指した覚えはないぞ!!」
なろうとも思わないよ、そんなもの。
僕が口説くのはたった一人が限界だ。
おしるこのある自販機を探しに、僕と立花は公園の中へと入って行く。
あいにくの曇り空で、並木道には木枯しですっかりハゲはがった木々が立ち並んでいる。
「……さっきからキョロキョロ木を見て何をさがしてるんだ?」
立花は歩きながら、木を見て何かを探しているように見えた。
「人面木を探してるのよ」
「人面木?なんだそれ?」
「木って表面に模様があるじゃない?その模様が時々人の顔に見えるものがあるのよ。それを探してるの」
「へぇ……」
木なんてよく見ることはないが、確かに色々な模様があるのは分かる。
もしかしたら、人の顔のようなものがあってもおかしくはないかもしれない。




