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「ふぅん……武田くん、やっぱりあなた変わった人ね」
「変わった?どこがだよ」
「せっかくデートに誘ったっていうのに、そういうものを求めないし、むしろわたしに乗じて一緒に拒否する。普通なら少なからずもそういうのを求めようとするんじゃないの?」
「あぁ……確かに……」
下心というものだろうか。
「僕もそりゃあ男だ。下心の一つや二つはあるさ。
だけど立花とは、何というか……そういうものを持ってあまり関わりたくないような気がするんだ」
僕の率直な答え。
本能的な、何かの感覚でそう直感している答えだ。
「へぇ……そう」
たった二言を発し、立花はしばらく黙り込む。
僕の言葉を聞いて、何を思ったのか……それを知るのは立花だけか。
「武田くんの気持ちは何となく分かったわ。ほんの少しだけね」
「あれだけ説明して、ほんの少しですか……」
「日本語ってところくらいね」
「言葉の問題かよ!」
大学に入って外国語の勉強はしたが、未だに身についた外国語は一つもないぞ僕は。
……決して威張れることじゃないが。




