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「ふぅん……じゃあ結構出張とか多くなっちゃうかもしれないね」
「まぁそうなるかもしれないなぁ……でも基本は県内で働く事になるらしいからそこまでは心配しなくていいと思うけどね」
まぁ、言ってる僕もよく理解できてないけどね。
仕事内容なんかは、その仕事を始めないと分からないものらしいからな。
「なるほどねぇ……でもよかったね。これであとは卒業するだけだね」
ウフフと笑ってみせる鵜川。
そう、この大学生活最後に僕に残された課題は、これで卒業のみとなった。
「そうだなぁ……卒業かぁ」
僕は今までギリギリを貫いてきた。
ギリギリの点数で、ギリギリの単位を取り、ギリギリで昇級してきた。
そして今回もギリギリで内定を取れた。
「最後のテストが鍵になるとは思ってるんだ」
「最後のって一月の?」
鵜川は頭を傾げる。
「そう一月の。あれの結果次第で僕の卒業が決まるかな」
まぁ、大抵の大学生がそうだろうけど、僕にとってはこれが最後の困難だった。
「そういえば大和くんもゼミ受けてたから、卒論はないんだよね」
「そうそう。だからこの一月が最後の試練なんだ」




