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落ちから始まる恋物語-The falling love-  作者: 赤坂皐月
進む道
17/31

003

「だからあの時、あなたに会ったあの時に思ったのよ。なんでわたしよりも完全な、健康であるあなたが死を望んでいるのかを。わたしはこんなだけど、生きてるのにって」


立花は本越しに僕を見る。

僕は自然とその視線を回避する。

あまりにもキツく、強い意思の視線で、僕には真っ直ぐには見ることができなかった。


「まぁいいわ人の事情なんて。兎にも角にも、わたしの学年があなたより下なのはそういう事よ」


再び、立花の視線が本に戻る。

ちょっとホッとした。


「なるほどな……なんかスマン」


「何故謝ってるの?謝ることないじゃない」


「いや……なんとなくな」


「そう、変な人ね」


二人の間に、無言の空間が出来上がる。


相変わらず、ここは風の音がすごい。ヒューヒューよりかは、ビュービュー寄りの音が吹き荒れる。


立花が僕の飛び降りを止めた理由、僕に興味を持ったその事を、今やっと正しく理解できた。


何故自分より幸運な人が、死を選んだのか。


僕は贅沢だ。そしてくだらない人間だ。

彼女のようにやりたい事があっても出来ない人がいるのに、僕は勝手に諦めて、捨てようとした。


そんな僕を、彼女は許せなかったのかもしれない。

彼女の目の前であんな醜態を晒した、この僕を。

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