001
はじめに言っておくと、僕は生きる事にした。
身を投げる覚悟があるなら、大抵の事はできる。
そう僕の中で一つの解決に至ったからだ。
だが、現実はそう甘くない。
僕は今日もまた就活に敗れ、就活スーツのままあの屋上に来ていた。
そこには変わらず、立花が座って本を読んでいた。
「その姿、あなた四年生なのね。この時期に就活?」
「あぁ……この時期だろうと失敗続きの人間はもがかなくちゃいけないんだよ」
「そう」
素っ気ない対応をされてしまう。
まぁ、こういうヤツだからなぁ……だけどもうちょっと反応があってもよかったんじゃないか?
「あれ?そういえば立花、お前就活とかは?」
「わたしまだ就活じゃないわ。三年生だもの」
「えっ!!?ってことは歳下なのか?」
僕は驚愕する。
今まで同じ学年だと思っていたが、歳下って……。
「あのね武田くん、私たちは大学生よ。大学は学年が下だからと言って歳が下とは限らない。現に74歳で大学に合格して、私たちより学年が下の学生だっているんだから」
あの横走りが特徴的なあの人の事か。
あの歳であの行動力は真似できないよなぁ……74歳の僕は何してるのだろうか。