002
「またって……まるでアトラクションに来たような言い方だな」
「アトラクション、いいわね。湯川大キャンパス屋上紐なしバンジージャンプ。今までにない死への恐怖感が味わえますみたいな?」
「味わうどころか、それ死んじゃうからな!」
そんなアトラクション、即時閉鎖になりかねん。
「じゃあ何をしに来たの?まさか……」
立花はじっと僕の顔を睨み付ける。
「まさか……わたしを襲う気ね。ケダモノ」
「想像が飛躍し過ぎやしませんかね……」
あの時もそうだと思ったが、コイツぶっ飛んでやがる。
もしかしたら、僕のスキルじゃ処理出来ないほどの恐ろしいヤツかもしれない。
いろんな意味で。
「ふぅん、違うの。ちょっと残念」
立花は僕に向けて睨んでいた視線を、本へと戻す。
残念ってことは、良かったのか?
……いや、そんな事したら僕は今頃奈落へ突き落とされてただろうな。
「用というか、昨日の事が気になってさ」
「昨日の事?昨日何かあったかしら?」
立花は首を傾げる。
「おいおい、自分が言ったことも忘れたのか?」
「あー……忘れたわ。何だったかしら?」
本当に忘れたのかよ……
もっと自分の言葉に責任を持てよな。
「だから僕に言っただろ!死ねないならわたしと……」
「わたしと?」
「わたしと恋をしなさいって……」
言い切ってしまった、僕が。