表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
天国のお土産  作者: トニー
第四章:潜み隠れて名を顕す
96/160

4-23.コロシアム五回戦の日、なの

投稿日設定を間違えて、二話連続投稿になってしまいました。すいません明日は投稿はお休みです。

 青鬼ブルーオーガは、大鬼ラージオーガ率いる小隊規模の軍隊に於いては、防衛役に回ることが多い。

 青鬼ブルーオーガが騎士側の攻勢を受け止め、耐え堪える。

 攻撃の手番では、騎士側は突貫でこれを破らなければならない。


 破り損ねて動きを止められてしまうと、赤鬼レッドオーガに付き随う攻撃役から手痛い反撃を貰うことになる。

 この役割分担を成し遂げる知恵が、なによりも鬼族の脅威なのだ。

 知性こそが連中を、ランク以上に手ごわいモンスターと成さしめている要因のはずだった。


 グギャルルァァァァァァアアアアアッ!!


 だが今、王都のコロシアムで開催されているトーナメントの決勝戦、この眼前に居る相手はどうだ。

 吠え猛る青鬼ブルーオーガの、その濁った眼には理性の欠片も見出せない。

 口角からは涎を垂れ流し、全ての動きが荒々しく、力任せだ。

 怒りと絶望で我を忘れた赤鬼オカシラよりもなおひどい。


「カッ、多少は会話でもあるものかと思ったが、何だこれは」


 ギークは呆れた口調でそうひとりごちた。

 そう、赤鬼オカシラはそれでも言葉を喋りはしたのだ。

 だがこの青鬼は、鬼族として同族であるギークの姿を前にしてそれすらも無いのか。


(先週、準決勝戦のときよりも、明らかに悪化しているのであります。これはもう、長くはないのであります)


 そこそこ離れた場所にいるはずだが、河童がコメントを挿してきた。

 河童念話の射程距離はいまもって謎である。


 ナタリアが覆面ルックなのと同じく、河童にも目のところに穴をあけたズタ袋を被せている。

 蝗男を胡散臭い胡散臭いと連呼しておいてなんだが、当方ギークサイドも相当に胡散臭かろう。


 今後ナタリアとハンターとして活動するにあたり、あのコロシアムで優勝したオーガはどうしたのか云々と尋ねられたりしては一々面倒だ。特にBランクハンターであるナタリアは、知っている人なら知っている、それなりの有名人枠なわけであるからして、変装は必須であった。

 トーナメントの参加登録に当たって、ナタリアが採用した偽名はタリアである。もうちょっと捻ったらどうなんだ。頭一文字削っただけじゃないか。


「いや、普通は偽名というものは元の名の音からあまり外さない方がいいものだ。全く違う音の名にしてしまうと、呼び掛けられたときに自分のことだと思えず、偽名であることが露見しやすいものだからな」


 何故かギークに一般常識? について学ぶ僕。これもまた悪徳爺の入れ知恵に違いない。きっとそうだ。

 そして今回に限って言えば、別に偽名であることがバレたってかまわないはずだ。本来の名前がばれなければいいのだ。そうであればやはり本来の名前を連想しにくい名前にするのが正解だと思う。

 まあ、今更なんだけれども。


 青鬼ブルーオーガの攻撃は強烈だ。

 相手の武器もまた、金棒。サイズはギークのものと大差あるまい。材質も同じに見える。

 というか取り替えても分からないくらいそっくりではないですかね? 何故だ? 鬼族の間で流行ってでもいるのか?


 攻撃を真正面から受け止めれば、力負けは確実と思えた。

 ギークが妖鬼ほんらいの姿になったとしても、どうだろうか。それでも向こうの方が力は強いかもしれない。

 赤鬼は腕力、青鬼は体力に秀で、妖鬼は器用さで優るということだったが、赤鬼青鬼は種族特性で高い身体能力を更に底上げしているということだ。

 だからランクが同じ場合、肉体の能力比べでは、基本的にギークは不利ということになるだろう。その代わり搦手の能力に秀でるのが、妖鬼だということだ。


 だからということもないのだろうが、ギークは避ける。組み合わない。

 師匠譲りの華麗なステップによるフットワーク、ではなくて二回戦に失敗していた、緩急付ける摺り足ベースの足運びである。懲りていないらしい。

 確かにあれから、時々練習をしていたのは知っているが。


 滑るように動いたかと思えば、立ち止まって相手を翻弄する。

 狂気に冒されているからだろうか、青鬼の攻撃はどれも力強くはあるが、直線的で軌道が読みやすい。

 攻略難度的には、二回戦の血染熊とどっこいだろう。三回戦、四回戦の相手の方が厄介さでは上だった。


青鬼ブルーオーガ、雄叫びを上げての凄まじい猛攻です! 格下のオーガ、手も足も出ません! 防戦一方です!!」


 見る目のないスピーカーが何か言っている。


「さあどうでしょう! 解説役を請け負ってくださいましたBランクハンター、『無敵』のバリード氏! この対戦カード、オーガに勝ち目はあるのでしょうか?!」


「あー、、、これはオーガが勝つだろ、でしょう。技量差がありすぎだ、ありすぎです。あんな力任せの攻撃は掠りもしませんよ。攻め手側が疲れるだけです。一方でオーガの回避は見事ですね。きちんと体力を温存している。青鬼ブルーオーガは持久力に優れた鬼ですが、それでもこの調子なら間違いなく先に力尽きるはずです」


 解説役なんて、これまで居たっけ? Bランクハンターだって?


 業を煮やしたのか、青鬼が跳ねた。

 ジャンプして、空中で全身をバネのように撓らせての、強烈な一撃が繰り出される。


 グッキャァァアアァアアァァアアアッ!!


 金棒がリングに叩き付けられる。石畳の四方八方に罅割れが走る。

 まともに受けたら、太い金棒であるにもかかわらず、ギークの体躯を両断し得たかもしれない。


「なっちゃいねえな、いませんね。小技すら掠らない相手にあんな大技、正面から放って当たるはずがない。俺が昔相手取った長老個体エルダー青鬼ブルーオーガは、それは狡猾でイヤな敵でしたがね。あれの同格とはとても思えません。見た目は似ていなくもないですが」


 ギークは一瞬、解説席を見た。そして笑った様だった。


 ガアアアアアァァァァラァアアアアアァァァッ!!


 青鬼が姿勢を戻そうとして少しよろめきつつ隙をついて、ギークが一気に間合いを詰める。

 継ぎ足による飛び込みと金棒による袈裟懸けの一撃だ。青鬼は対応できず、肩口に貰って姿勢を崩す。


 振り下ろした金棒が命中するや、勢い殺さず横下に金棒を振り流して、そして足元で切り返す。

 柄を握り直しつつ、弧を描く軌道のままに振り溜めて、そしてがら空きになった青鬼の側頭部に、ギークは金棒の先端を叩き付けた。


 ワォンッ と金棒が鳴り響く。

 青鬼の体躯は一瞬宙を舞い、そして地面に倒れ伏せった。


「お、お、おーーッとォ! 一瞬、一瞬の早業です! オーガの金棒による一撃が、青鬼ブルーオーガを打ち倒したァッ?! こ、これはどうしたことだァ! この一戦、早々に終わってしまうのか?!」


 ギークが、倒れ伏した青鬼に歩み寄る。見下ろせば、まだ息はあるようだったが、頭部が半分ほど潰れていた。大した体力だが、もうすぐに息を引き取るだろう。


「分析するのにサンプルが欲しいとか言っていたか? フレデリカ、どうすればいい?」


 ギークが言う。この騒音の中、ギークの声は届かないだろう。

 復唱してやろうかと思ったら、返事があった。河童、どういう耳をしているのか。

 いや、読唇術が使えるのだっけ? でもこの距離でか?


(分析をするのでありましたら、複数の部位を切り取って欲しいのであります。ですがこの状況ですと、そうでありますね、適当に切り分けるかミンチにしていただいて、その部位にご主人様のマーキングをお願いしたいのであります。そうすれば位置情報からのリンクで、その部位を収納に回収させていただくのであります)


「なんということか! オーガ、まさにその名に恥じない残虐非道ぶりを発揮しております。倒れ伏した相手に執拗なトドメ!! 金棒による乱打、乱打、乱打の嵐! これは青鬼、もうダメだ!! 血が、骨が、肉が飛び散っています!! 優勝、優勝です。優勝は大番狂わせ、青鬼を下して鬼が勝利をもぎ取りましたーーッ!! ああしかし、この血の惨劇はいつが閉幕となるものなのか!!!」


[INFO] ギークは、青鬼を殺害しました。

[INFO] 現在の状態を表示します。


 ギーク

  妖鬼デーモンオーガ Bランク Lv12 変身

 【ギフト】

  不死の蛇 Lv3

  唆すもの Lv--

  地図 Lv4

  引戻し Lv3

  制圧の邪眼 Lv2

  <---ロック--->

  <---ロック--->

  <---ロック--->

 【種族特性】

  永劫の飢餓(継承元:餓鬼)

  暗視(継承元:小鬼)

  忍耐の限界(継承元:鬼)

  手弱女の化粧

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ