表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
天国のお土産  作者: トニー
第二章:赤鬼と匪賊
49/160

2-24. さらば赤鬼、なの

 早朝、山砦に戻って来た赤鬼オカシラによって、ギークは再び殺されました。

 赤鬼オカシラが狙ったのは、ギークではなくて師匠でした。狂ったように師匠のことを追い回す赤鬼オカシラを、僕もギークも何とか宥めよう、落ち着かせようとして、そして師匠を逃がそうとしました。

 でも駄目でした。だって赤鬼は実際に狂っていてどうしようもなくて、そして師匠は逃げるどころか赤鬼に挑みかかったのですから。師匠が逃げてくれなかったのは、恐らくはギークを助けようとしてのことだったと思います。コイツなんて、どうせ死んだって、そのうち生き返るのに。


 許せない。僕には許せない。

 赤鬼は確かに許せないが、そんな事より僕はギークが許せない。

 赤鬼に勝てなかった。それはでも仕方がない。赤鬼はギークの遥か格上で、強かったのだから。騎士たる者、勝てぬ相手にも身を呈してお姫様を守るべきだ。

 師匠を守れなかった。許せないことだけれど、でもそれはギークだけのせいじゃあない。身を呈した騎士に縋りついて、泣き崩れたお姫様は、結局共に死ぬことを選んでしまうんだ。悲劇的だけれども、それで騎士を責めるのは筋違いだと思う。


 僕がギークを許せないのは、死んで、蘇生して、それで意識が戻ったときに。

 ギークが、師匠の亡骸を、食べて、しまって、いた、ことが!!

 このクソ鬼が、このクソ鬼が、このクソ鬼が、このクソ鬼が、このクソ鬼が、このクソ鬼がッ

 ミアもそうして殺しておいて、それでこの、これまでの日々とか何だったんだよッ だって師匠は、きっとギークの屍に泣いて縋ってくれて、それできっとその隙に背中に赤鬼の一撃を食らったんだって、見たら分かる、分かるじゃないか! 何でそれを、何でそんな人を、


 (うああああああああああああああああああァァァァァァァァァァァァァァァッ!!)


 眩暈がする。暗闇がグルグル回る。

 情景がぐるぐるぐるぐる、巡り巡って狂わせる。

 回る。回る。回る。振り回される。叩き付けられる。

 痛い。痛い。痛い。グネグネこね回されて、グチュグチュと掻き回される。

 何だか全身の骨が、肉が、ゴキゴキグリュメシゴリンキグリュメシゴリッ

 あれ? ギーク、死ぬの? 天罰なの? ざまあみろなの? でもミアは?


 ……、……、……!


 師匠がいました。僕の目の前にいます。良かった、なんとか無事だったみたいです。

 ああ、さっきまでのは何の悪夢だったのでしょう。酷かったです。ギークは元々死刑確定でしたけれども、十回殺す予定だったのが、千回殺してもまだ足りないくらいなグレードアップを果たす出来事が起きた夢を見ました。

 あんな事が実際に起きたら大変です。今後ギークの口には轡でも嵌めておきましょうか。そうすれば安全です。きっとそうです。そうしましょう。


 あれ? そういえばそのギークの姿が見えません。どうしたのでしょう。

 僕がいるのにギークがいないのはおかしいです。まさかまた転生でもして種族が変わって、今度は透明化の種族特性スキルでも覚えたのでしょうか?


 「こう言うわけだ。俺はこの通り、あの女の姿を貰った」


 師匠が何か、おかしなことを言っています。師匠の一人称は俺じゃないはずです。

 イメチェンでしょうか? でもどうせ変えるなら、うち、とか、あちき、とかが僕のおススメです。俺とかいうとギークと被ります。僕としては甚だしく非推奨です。

 あれ? そういえば、師匠少し若返りましたか? 気のせいかな? 常にもまして神々しいような。スベスベのお肌とか胸の谷間とかが、僕を誘っているような。


 (師匠、なの)


 「違う」


 分かりません。それじゃあ師匠はどこに行ったというのですか? 師匠はギークじゃないです。ギークは師匠じゃないです。師匠はギークじゃないのだから、師匠がギークなのだというのはおかしいです。


 (ギーク、そこの、落ちている師匠の細剣を拾うの)


 師匠が、血塗れた地面に落ちていた、鞘に納まったままの金属の細剣を拾います。


 (ギーク、それを抜くの)


 師匠が、鞘から細剣の刃を抜き放ちます。太陽の光を弾いて、ギラリと輝きます。


 (ギーク、それを逆手に持って、自分の心臓に突き刺すの)


 河童の話とか、隊商の残り物をキャンプファイヤーしたときに耳にした話を総合すると、どうもこの辺り一帯では火葬とか餓鬼葬とかは一般的ではないらしい。

 もしかしてあれがメジャーだったのはエデナーデだけなのだろうか? エデナーデには薪になる木材も、餓鬼も、豊富にあった。でもそうではないこの辺りでは、基本は殉職者だろうと犯罪者だろうと、土葬にされるのだという。

 土葬だと、天国行きか地獄行かはどうやって決まるのだろうか。火葬なら天国行き、餓鬼葬は地獄行きだ。改悛の秘蹟とやらが額面通りにほわほわ来れば、一度地獄行になっても天国に拾ってもらえるそうだ。ミアはきっと拾われたはずだ。神は死ねばいいから仏さまとかにだ。

 けれど肉体がほぼそのまま残存する土葬形式だと、ゾンビとなって甦える人間が発生し得ってことになる。だから死体の心臓には、木杭を打ち込んで、それで棺桶に仕舞うのだという。

 河童が言うにはその措置が必要なのは本来<<不死の蛇>>の保有者だけだ。けれど、一般人には死体がそんなギフトを保持しているかなんてことは識別できない。だからこれが一律になって、更にはモンスターに対してもそうすべきものだと習慣が広まった、と予想されるそうである。

 つまり大丈夫、長々と前置きを置いたけれども、つまりギークだって、心臓に何かが突き刺さったままに死ねば、そこからの復活はできないはずなんだ。


 「ミイ、俺はこの女の姿を貰い受けて、そしてまたこの女の記憶を受け取った。お前がどういうつもりかは知らないが、今の俺にはすべきことと、やりたいことができたんだ。その結果としてな。だからお前には、協力してもらうぞミイ」


 何が何だかわかりません。師匠じゃないギークが何を言っているのか理解できません。


 「まずはあの愚かな赤鬼を始末する。狂犬と同じように、這い蹲らせて血の泡を吹かせてくれる」


 師匠が一度は抜き放った細剣をビュンッと振るって、鞘に納めます。

 赤鬼オカシラ? 赤鬼レッドオーガ? あの狂った赤い鬼?

 目は血走って、口角からはブクブク泡なんて噴いていて、やばい粉末かキノコでも呑んだんでしょう。ほっときゃ勝手にくたばるんじゃないですか?

 ああでも師匠の御体を傷付けた下手人ですか。なら殺しますか。ギークもそして、死ねばいい。

 しかし、ギークの手には余る相手だということが、今回よく分かったばかりです。勝算ありますか? まあなくてもいいけどね。自殺志願か。それでもいいんじゃないかな。

 戦うつもりで戦うなら、先刻よりマシには立ち回れるだろうけれど。そうだ別に相打ちでいいのか。爆弾抱えて抱きつくとか。ああしかし師匠の御姿にそれはさせられない。どうしよう。


 「次に、俺はあの女の心残りを晴らしてやりたい。だが、どうすれば可能なのか、俺にはいまひとつ見当のつかないことだ。おまえ(ミイ)には手伝ってもらうぞ。あの人形(フレデリカ)にもな」


 師匠の、心残りですか。

 心残りですか。


 ギーク、本気で言っているのでしょうか?

 僕を騙そうとしているのではないでしょうか。


 師匠の心残りといわれると、どうしましょう。僕、協力したい思いがあります。

 僕も、心残りだけで生存している幽霊みたいなものですから。

 心残りですか。何でしょうか。


 「同じ話を二回するのは面倒だ。とりあえず人形(フレデリカ)のところに戻るぞ」


 ……、ギークの中では河童(フレデリカ)は人形という認識なようです。不思議な感性だと思います。


 そうした経緯で、僕らは師匠が生まれ育った街、港町モーソンにやってきました。

 赤鬼オカシラを叩く戦力の獲得と、師匠の心残り解消の、両方を果たすためにです。


 僕の<<地図>>にはもちろん載っていなかった場所です。

 でも領主軍と勘違いして、護衛付商人の一行を襲撃してしまった件の場所から先は、ギークが普通に道を知っていました。

 もちろん赤鬼オカシラも連れてきました。鬼さんこちら、手のなる方へ。

 その道中で僕は、何故か師匠のギフトであった<<引戻し>>が使えることに気が付きました。

 師匠の姿だから、もしかしたら使えないかで試して見たら、本当にできたのでびっくりです。

 びっくりしていたら河童がなんだか不満そうにしていましたがスルーしました。


 というか山砦に戻って再開した直後、河童が大量の河童語を喋りだしたので、全て聞き流しました。

 無理です。理解不能です。きっとその中にはこの現象に関する何某かの言及が含まれていたのだと思いますが、いやいや無茶言うなっていう話です。

 ちょっとでも理解しようと思うだけで、ブレインがオーバーヒートでニューロンだかシナプスだかがポクポクチーンになってアパリックシンドロームで社会復帰絶望です。


 引戻し(ギフト)が使えるとなれば、矢が中っても外れても、即回収できるのだからとても便利。気軽に攻撃しまくれます。遠距離攻撃を加えつつ、進路を誘導していく方針に切り替えました。

 途中から、遠距離攻撃だけで赤鬼(オカシラ)を倒せそうな気がしてきましたが、どうせ港町モーソンにはその後も用事があります。師匠(Cランクハンター)が一人で赤鬼(レッドオーガ)を討伐したと報告するのも不自然でしょうから、計画は変更せずで行くことにしました。


 気が付いたら、赤鬼の心臓にはヤリ男の槍が突き立てられ、顔面は支部長の拳によって陥没させられていました。


 「死体(コレ)はあたしの方で始末しておくよ。なに、あんたらは忙しい身だろ? 遠慮はいらないさ。なんなら討伐証明だけ持って行くといい。始末が終わったら、あたしも受付にまた顔を出すよ」


 ギークさん、それはちょっとあざとくないですかね。

 その後、必然的に押し問答的なやり取りになりましたが、しかしなんとギークが押し通しました。

 あのギークが、口が達者になったものです。

 でも決め台詞が「赤鬼コイツには恨みがあるんだよ、わかるだろう?」ってどうなんでしょう。

 なんか分かられたっぽいからいいですけどね。

 あまり師匠にダーティなイメージを付けないであげてほしいです。


 これで一応、師匠の仇討ち達成ということになるのでしょうか?

 面白くありません。つまらないです。


 物足りないのはきっと、あっさり殺しすぎたからでしょう。後悔です。

 師匠に、もうあの感触で抱き付いてはもらえなくなるのかと思うと、僕は残念で仕方がありません。


 残念で、仕方がありません。


 師匠。天国で、ミアと仲良くしていてくれると、僕はとても嬉しいのですが。


 いつか、お土産を持って、遊びに行けたらいいなと、僕は思います。


[INFO] ギークは、赤鬼レッドオーガを摂食しました。

[INFO] 永劫の飢餓により、摂食物は魔素に変換されました。空腹状態は維持されます。

[INFO] ギークは、レベルが上がった!

[INFO] ギークは、赤鬼レッドオーガを摂食しました。

[INFO] 永劫の飢餓により、摂食物は魔素に変換されました。空腹状態は維持されます。

[INFO] ギークは、レベルが上がった!

[INFO] ギークは、赤鬼レッドオーガを摂食しました。

[INFO] 永劫の飢餓により、摂食物は魔素に変換されました。空腹状態は維持されます。

[INFO] ギークは、レベルが上がった!

[INFO] ギークは、赤鬼レッドオーガを摂食しました。

[INFO] 永劫の飢餓により、摂食物は魔素に変換されました。空腹状態は維持されます。

[INFO] ギークは、レベルが上がった!

[INFO] ギークは、赤鬼レッドオーガを摂食しました。

[INFO] 永劫の飢餓により、摂食物は魔素に変換されました。空腹状態は維持されます。

[INFO] ギークは、レベルが上がった!

[INFO] ギークは、赤鬼レッドオーガを摂食しました。

[INFO] 永劫の飢餓により、摂食物は魔素に変換されました。空腹状態は維持されます。

[INFO] ギークは、レベルが上がった!

[INFO] ギークは、赤鬼レッドオーガを摂食しました。

[INFO] 永劫の飢餓により、摂食物は魔素に変換されました。空腹状態は維持されます。

[INFO] ギークは、レベルが上がった!

[INFO] ギークは、赤鬼レッドオーガを摂食しました。

[INFO] 永劫の飢餓により、摂食物は魔素に変換されました。空腹状態は維持されます。

[INFO] ギークは、レベルが上がった!

[INFO] ギークは、赤鬼レッドオーガを摂食しました。

[INFO] 永劫の飢餓により、摂食物は魔素に変換されました。空腹状態は維持されます。

[INFO] ギークは、レベルが上がった!

[INFO] ギークは、赤鬼レッドオーガを摂食しました。

[INFO] 永劫の飢餓により、摂食物は魔素に変換されました。空腹状態は維持されます。

[INFO] ギークは、レベルが上がった!

[INFO] ギークは、赤鬼レッドオーガを摂食しました。

[INFO] 永劫の飢餓により、摂食物は魔素に変換されました。空腹状態は維持されます。

[INFO] ギークは、レベルが上がった!

[INFO] ギークは、赤鬼レッドオーガを摂食しました。

[INFO] 永劫の飢餓により、摂食物は魔素に変換されました。空腹状態は維持されます。

[INFO] ギークは、レベルが上がった!

[INFO] ギークは、赤鬼レッドオーガを摂食しました。

[INFO] 永劫の飢餓により、摂食物は魔素に変換されました。空腹状態は維持されます。

[INFO] ギークは、レベルが上がった!

[INFO] ギークは、赤鬼レッドオーガを摂食しました。

[INFO] 永劫の飢餓により、摂食物は魔素に変換されました。空腹状態は維持されます。

[INFO] ギークは、レベルが上がった!

[INFO] ギークは、赤鬼レッドオーガを摂食しました。

[INFO] 永劫の飢餓により、摂食物は魔素に変換されました。空腹状態は維持されます。

[INFO] ギークは、レベルが上がった!

[INFO] ギークは、赤鬼レッドオーガを摂食しました。

[INFO] 永劫の飢餓により、摂食物は魔素に変換されました。空腹状態は維持されます。

[INFO] ギークは、レベルが上がった!

[INFO] ギークは、赤鬼レッドオーガを摂食しました。

[INFO] 永劫の飢餓により、摂食物は魔素に変換されました。空腹状態は維持されます。

[INFO] ギークは、レベルが上がった!

[INFO] ギークは、赤鬼レッドオーガを摂食しました。

[INFO] 永劫の飢餓により、摂食物は魔素に変換されました。空腹状態は維持されます。

[INFO] ギークは、レベルが上がった!

[INFO] ギークは、ランクが上がった!

[INFO] ギークは、B-ランクになりました。レベル上限が48に変化します。

[INFO] ギフト「引戻し《プルバック》」は、レベルが上がった!

[INFO] ギフト「引戻し《プルバック》」は、Lv2になりました。引戻し可能な距離が延長され、引き戻し速度が向上します。

[INFO] 現在の状態を表示します。


 ギーク

  妖鬼デーモンオーガ C+ランク→B-ランク Lv6→Lv24→Lv1 変身

 【ギフト】

  不死の蛇 Lv3

  唆すもの Lv--

  地図 Lv3

  引戻し Lv1→Lv2

  <---ロック--->

  <---ロック--->

  <---ロック--->

  <---ロック--->

 【種族特性】

  永劫の飢餓(継承元:餓鬼)

  暗視(継承元:小鬼)

  忍耐の限界(継承元:鬼)

  手弱女の化粧



ー 第二章 End.

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ