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天国のお土産  作者: トニー
第二章:赤鬼と匪賊
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2-17. 遠出は禁止、なの

 師匠をアジトから遠くに連れ出すのはダメと言われました。

 誰に? 赤鬼にくだらない入れ知恵をする元村長的なジジイにです。師匠(予定)が師匠になった初日、一緒に狂犬(ごはん)の湧いている森へ出かけて、それで戻ってきた時にです。


 しかしそうすると森に狩猟(しょくじ)に行けなくなってしまいます。もちろん、師匠をアジトに残してギークだけで出かける分には問題ない話ですが、それは不安です。

 あの魅力的な師匠(おっぱい)に惹かれない男なんていないはずです。ジジイだって油断なりません。師匠(おっぱい)一人をこんな野獣共が犇めいている場所に放置だなんて危険すぎます。

 あったかくて柔らかでとても素敵でした。あれはもう僕のものなので誰にもあげないです。夜はもうだいぶ冷え込むのですが、師匠がいてくれれば他に何もいらないです。


 なんの話でしたっけ。

 師匠が遠出禁止だという話ですね。遠くとは具体的にはどこまでを言えば、見張り台から見える範囲ということです。というかそういうことにさせました。弓の練習だとか、近接戦闘における足運びの修練だとかを河原でやるためです。ダメというなら弓の練習でアジトの壁が穴だらけになることを覚悟しろと誠心誠意説得(おど)した結果です。

 まあ、実際問題、捕らえたハンターに逃げられたとなったら洒落になりませんからね。万が一を考えれば仕方のないことではあるでしょう。もちろん実際には、<<地図>>のギフト持ちである僕から逃げ切るというのはかなり至難な話だと思いますが、その大丈夫さを説明するのもまた難しいですし。


 赤鬼(レッドオーガ)がいくらモンスターとして強大であり、そして強力であろうとも、Bランク以上のハンターたち(本気な討伐隊)に出張ってこられてはどうしようもないはずです。

 だから師匠をはじめとして、捕らえた誰かに逃げ出されて「ここに凶悪な赤鬼率いる野盗共のアジトがあるぞー!」なんて情報を街に持ち帰られてしまっては、目も当てられません。赤鬼団、全滅必至です。

 Bランクどころか、今回うまいこと殲滅できたくらいの規模のハンターの集団が相手であっても、こちらの情報を掴まれた状態で攻め込まれるシチュエーションなら、恐らくは凌ぎきれません。

 ハンターであれば、強力なギフト持ちも珍しくないでしょう。その相性次第では多少の戦力(ランク)差なんて簡単にひっくり返ります。特に赤鬼みたいな怪力バカは絡め手に弱い印象ですし。

 赤鬼(レッドオーガ)って、知恵と工夫で誕生する物語的英雄にちょうど相応しい感じの敵役ですよね。Dランクくらいの少年ハンターが、勇気と智謀と卑怯な罠ないしはチートな超能力(ギフト)で赤鬼クラスのモンスターをサクッと打ち倒し、な、なんだってー! な感じで祝福されるストーリー展開。大好きですよ?


 つまりは、どこに何がどのように潜んでいるのか。それが知られてはいない、情報が洩れていないが故の、今の平穏なのです。だから本来であれば、逃げ出せる可能性なんて残しておいてはダメです。去る者は追わずというわけにはいかないです。

 赤鬼団ここのれんちゅう的には、師匠も他の女ハンター同様、両脚切り落として自然再生しないように傷口は焼き潰して後は首輪に鎖で繋いでおく、くらいのことはしておかないと、生かしておくこと自体まかりならんな感じでしょう。


 残酷ですねー。残忍ですねー。人間のやることですよー。木っ端な三下どもと思いきや、彼ら元々は普通の、困窮して今冬で飢え死にする予定だったかもしれない、小作農というか農奴というかな皆様ですから、家族持ちが結構いたりするんですよね。その家族の生活だとか命とかまでかかっている話になるので、まあ彼らも必死になるってなものでしょう。


 じゃあそもそも女なんて連れ帰ってこなきゃいいだろうって? あははー、だからそれじゃ単にキャンプファイヤーの燃料(エサ)が増えるだけじゃないですか。勿体ないとは思わないんですかー。僕は思いますー。むしろ「五体満足でなければ修練の相手にならん」で押し通したギークを褒めてやってください。

 最近なんか、若頭とか呼ばれて、それっぽい貫禄とかついてきたような錯覚を覚えることがあります。どこのヤーさんの真似事ですかね。赤鬼団じゃなくて赤鬼組の方がしっくりじゃないかね。


 で、どうしたらいいですかね。

 森に狩猟に出かけている間、師匠の安全を確保する方法ですよ。

 やはりこの前使えるようになった、<<地図>>の新機能に頼るしかないですかね。若干気の進まない方法になりますが。

 ……ん、いやまてよ。そうだギフト。師匠ってなんかのギフト持ちじゃないのかな?

 透明化とか、気配遮断とか、あるいは護身系でもいいですし。そういうギフトを使えたりするのであれば、安心度が増します。ダメ元で聞いてみましょう。というわけでギーク、聞いてみてください。


 「ギフトだと? ずいぶん博識だな。なぜオーガのお前がそんな言葉を知っているんだ?」


 あ、キョトンとした顔で、逆に質問を返されたし。そうか、モンスターがギフトという固有名詞を知っているのは、確かにちょっと不自然かもしれないですね。元農民であるここの匪賊らに聞いたところで、神様のご加護とか、妙な才能とか、そんな表現になるでしょうし。


 そしてギークがまたトントンと。

 いやお前もちょっとは何か考えてよ。


 「まあ、お前が普通のモンスターではなさそうなのは、今更か。人間達と暮らしているのだしな。しかし、その割にはあの赤鬼(バケモノ)の方は、実にイメージ通り(そのまま)だったが」


 因みに、僕のことは師匠には伏せさせてもらっています。

 どうしてといえば、説明のしようがないからですね。残念ながら、僕が師匠と直接話せるわけもないのだし変にカミングアウトしても


 実は俺の心の中には、可愛くてぷりちーな十三歳の乙女的な妖精さんが住んでいるんだゼ?


 うわ、単なる痛いヤツですね。そんなヤツがいたら石とか投げちゃうよ。


 「しかしギフトか。一端のハンターとしては、あまり聞かれたからと気軽に教えるものでもないのだがな。まあ、お前になら構うまい」


 教えてくれるようです。どうしてお前になら構わないのかしら。

 もしかして師匠! ギークにホの字なのかしら? も、もしかしたら、頼んだらその素敵なおっぱいでぱふぱふとかしてくれちゃったりするのかしら。きゃー、今度頼んでみたいです。間違いなくそれは幸福です。そんな事になったら天国に逝ってしまうかもしれません。そうしたらミアに会えます。夢が広がります。


 ……、ああ、でもそれって、ギークの口から師匠にぱふぱふを頼むとか言わせるってことになりますかね。

 ……、駄目ですね。僕の精神が耐えられないようです。

[INFO] 忍耐の限界により、状態異常「空腹」を堪えています。

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