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天国のお土産  作者: トニー
第二章:赤鬼と匪賊
36/160

2-11. チンチロリン、なの

感想などいただけますと励みになります。

誤字、脱字など、ご指摘いただければ幸いです。

 ちょっと勝ちすぎちゃいましたかね。

 ここ最近、誰もギークの相手をしてくれなくなってしまいました。ああ、いやサイコロ遊びの話ですが。


 コマと呼ぶ木札を賭け(張っ)て、サイコロ三つを親がお椀に放り点数()を確定させる。ゾロ目なら無条件に親の総取り。次いで子が順番にサイを振って、子の目が親より上なら子の勝ちで張ったコマと同額を親から貰う。親は持ち回りなので条件は公平でイカサマはなかなかに手段が限られる。


 ザックリそんなルールの平和なお遊び(賭博)です。異世界? なんの電波ですか僕には分かりません。用語とルールとその他諸々が似ているだけの別の何かでしょう。


 それで、常勝無敗とまでは言いませんが、ギークかなりの連戦連勝でした。

 どういう理屈でか、河童(フレデリカ)の予想がかなりな高的中なんですよ。


 ちなみに無謀にも理屈を質問してしまったところ、確率計算でパーセンテージがサイコロの歪さと器のモデリングデータから導出されるあれがそれでこれでサイコロの持ち方から計算すると天候が良い天気ですね風が涼しいですねはいごめんなさいもう聞きません、でした。つまり、どういう理屈かは分からないが河童(フレデリカ)さんの不思議パワーによって確率変動ジャラララランだということだね。


 服に雑貨に生活用品。

 河童(フレデリカ)背負う紐とか、それに河童(フレデリカ)が欲しいといった金属製のガラクタとか、あと食い物とか食い物とか食い物とか食い物とか。

 順調にゲットしてついでに顔なじみも増えて、だいぶ生活が安定してきたといえるでしょう。


 馴染みと言いつつ個々人のお名前はサッパリですが。

 つか名前とか付いてないんじゃないかな。きっとそうだよ。


 金属製のガラクタというのは、曲がった剣とか割れた鎚とかです。

 犯人は赤鬼でしょう(いうまでもありません)ね。赤鬼自身はこの遊び(チンチロリン)には全く参加しませんが。


 というか赤鬼(ダメオヤジ)、普段は酒しか飲んでないですね。

 だから赤いのか? ダメオヤジです。



 ダメオヤジと違って、ギークは狩猟にも出ています。

 アジトを更に西に進むと、犬系のモンスターが出る森があってですね、よい稼ぎ場所なのです。


 稼ぐというのはギークのエサと、それとレベルですね。一応、赤鬼との約束通り朝夕はここの連中が共同でやっている炊き出しで食い物は貰えるのですが、焼け石に水というか、ないよりはマシくらいでしかないですので、別口の供給源が欲しいわけです。

 レベルの方は、河童(フレデリカ)さんがやっぱりどういう理屈なのか、ギークのレベルが上がると分かるようです。まあこっちに関しては体温が一時的にあがるので、僕も体感的に分かるのですが。


 曰く、野獣よりモンスターを喰らった方が、質量比でのレベルアップ速度が早いようであります、だそうです。


 であればと森に入り浸りました。

 この森で狩りを始めて程なくランクも上がりました。上がってしまいました。痛かったです。とーってもです。フザケンナって感じです。ギーク、少し背が伸びて、体が更に引き締まりました。腹筋とかいい感じに割れています。触覚共有するから、ちょっと撫でてー、さすってー、もんでー、とかリクエストしていたら途中から怒り出しました。解せません。ハアハアうるせえ、だそうです。なんのことでしょうね。


 それでもって、今日もまた狂犬狩りです。

 平均Dランクのモンスターである狂犬(マッドドック)が狩りの相手です。


 噛んだ動物を発狂させる特性持ちです。

 人間やモンスターには通用しませんが、しかして森の動物たちは一掃されてしまっているようです。

 飢えた狂犬(こいつら)だけが徘徊する有様になってしまっていました。


 ……、普通はここまでになる前に、ハンターなり騎士なりが、手を打つものじゃないのですかね。いや、<<赤鬼団(ここの連中)>>放置な時点でお察しください、か。


 ギークは武器を構える。

 武器。矢筒。


 矢筒です。(なかみ)は自宅に置いてあります。

 弓の本体同様に、この矢筒も金属(コモン鋼)製だったのです。よって頑丈です。頑丈な棍棒です。少なくとも単なる鉄の棒とか山刀とかよりは丈夫です。


 バカ正直に飛び掛かってくる狂犬の頭蓋を、カウンターで叩き潰す。

 最近になってようやくですよ。ようやくそういうことができるようになってきました。


 最初の頃はそう。

 まず左腕を差し出します。齧られます。その隙に、右の拳で殴りつけます。

 だったからね! 痛いんだよこのバカァ!


 痛覚はカットできないのだから勘弁してほしいです。

 カットできない理由? むしろ僕に教えてください。できないのです。


 多分、河童語でいうところのプライオリティとか言うものが違うんです。

 というか河童が僕がランクアップでイタイイタイ泣いているときにそう言ってました。

 そんな毒にも薬にもならない分析結果の報告(コメント)とかはいらないから、優しくさするとかしてほしかったです。

 どうやってかは知りません。どうにかしてです。


 で、そこから少し戦い方が進化して。

 矢筒を齧らせます。その隙に蹴りつけます。に、変わりました。


 そして現在です。ようやくまともになってきました。

 いや、相変わらず一匹ずつしか相手にしないよう、頑張って立ち回っていることに変わりはありませんがね。


 囲まれたら多分おしまいです。

 しかしご安心、河童(フレデリカ)優秀です。ちゃんと風向きとかなんだか分からない色んなものを分析して、ギリギリのポジショニングというかベストなエンカウントを常に演出してくれます。


 何だか僕要らない子です。

 いいんです。河童(フレデリカ)にはちゃんと僕にだけ情報を流すように言い含めました。ギークには僕から伝えてます。バッチリです。


 (さあ、次行くの。次は小石を当てて釣り出すの。ギークが今見ている木の、斜め右下、そう、その草むらの向こうに潜んでいるの)


 視点を一人称と三人称で切り替えつつ、ギークに適切に指示を出す。

 うん、僕も頑張っている。こういうことが河童(フレデリカ)に可能かはあえて聞かない。


 ガササッ ぎゃンッ と狂犬が飛び出してきたところを、余裕を持って矢筒(こんぼう)で迎撃する。


 今日はこれで三匹目。

 ノルマ達成です。そろそろ戻りましょうかね。


 ガツガツ、ムシャムシャ。


 うん、ギークのお食事が終わったらね。


 (ご主人様、地図マッピングのレベルが上がった、であります)


 なんと!


 (え、なの。フレデリカも、地図マッピング持ちだった、なの?)


 ますます僕の有用性というものが。。。


 (いえ、ご主人様、ご主人様のギフトのレベルであります。私にはギフトは扱えないであります)


 ほえ?

 ギークのレベルだけではなく、僕のギフトのレベルまで把握しているらしい。どういうことなんだ。戦闘力、たったの5か、ゴミめ、とかができちゃう河童チートなのか。


 されどもギフトは扱えないという。

 モンスターだから? じゃあそのスカウター能力は種族特性? 妙薬どうしたの? 河童の種族特性って、<<河童の妙薬>>でしょ? 妙薬が大事なのよ?


 もろもろな疑問にちょっとパニック。

 今更かよって? うるさいなあ、こっちから河童(フレデリカ)に質問してもなんだかよくわからない河童語(じゅもん)が帰ってくるんだもの。掘り下げた質問をする気が失せるってなもんですよ。


 アクセスポイントがナノマシンでグローバルネットワークがクラッキングされたインタフェースのプロトコルエラーでとかなんの話なんだ。

 本人まじめに応えているつもりらしい分、なおたちが悪いわ。


 そんな生活を続けていたある日。お呼びがかかりました。

 領主の軍勢が、ここの討伐に乗り出したというのです。


 赤鬼オカシラが打って出るので、同行しろということでした。

 まあ約束です。行きましょう。


 河童はお留守番です。

 イザというときのトンズラには重たくて邪魔ですからね。

(前略)

[INFO] ギークは、狂犬(マッドドック)を摂食しました。

[INFO] 永劫の飢餓により、摂食物は魔素に変換されました。空腹状態は維持されます。

[INFO] ギークは、レベルが上がった!

(中略)

[INFO] 永劫の飢餓により、摂食物は魔素に変換されました。空腹状態は維持されます。

[INFO] ギークは、レベルが上がった!

[INFO] ギークは、ランクが上がった!

(中略)

[INFO] ギフト「地図」は、レベルが上がった!

[INFO] ギフト「地図」は、Lv3になりました。マーキング対象のステータス簡易表示機能が解放されます。マーキング可能数が追加されます。

[INFO] 現在の状態を表示します。


 ギーク

  オーガ C-ランク→Cランク Lv10→Lv24→Lv6 空腹(忍耐)

 【ギフト】

  不死の蛇 Lv2

  唆すもの Lv--

  地図 Lv2→Lv3

  <---ロック--->

  <---ロック--->

  <---ロック--->

  <---ロック--->

  <---ロック--->

 【種族特性】

  永劫の飢餓(継承元:餓鬼)

  暗視(継承元:小鬼)

  忍耐の限界

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