2-10. 不死の蛇と寿命の話、なの
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河童の無表情が崩れて泣き笑顔です。
もともと相貌はかなりの美少女なので、そういう表情をされると天使のようです。
そういえば告死天使とかいますね。あれはでも殺す側でしたかね。
疑問符が浮かんでくるくる回る。
赤鬼への確認が済んだらしい門番が戻ってきたので、礼を言ってアジトのすぐ脇を流れるダナサス川の河岸へ移動します。礼を言われて門番が何か驚いていましたね。ギーク、別にそんな変なことは言っていなかったと思いますが。
河童を砂利原に据えて、川に半身まで浸かり、全身をパリパリにしているマウの血を洗い流す。ダナサス川の水はやはり少し濁っていますが、そこはもう開き直るしかないでしょう。
で、一度死んだ?
よく分かりません。どういうことでしょう。
(ご主人様は、<<不死の蛇>>というギフトをお持ちかと思うであります)
心当たりはありません。
教会の鑑定士の見立てでは<<地図>>と<<唆すもの>>の二つだけだったはず。ああ、いやそれはミアのギフトだから、ギークはまたちょっと違うのかな? でもモンスターがギフトを持っていたり使えたりという話は聞いたことありませんね。鬼に取り憑いて地図使いまくっている僕はなんだという話ですが。知りません、使えるものを使って何が悪い。
(そのギフトの効果で死後に負傷が癒えて、それから蘇生されたのであります)
蘇生? え、一回死んで、それで蘇ったてこと? ケガ完治で?
もしそうなら、それはなんというかすごいズルじゃないですかね。
(……、ギークは不死身、ということなの?)
もうミアの復讐の成就は約束されたようなものですね。
やりました仏様ありがとう。神、てめーはダメだ。
(不死の蛇は、死人が生きた屍になる原因のギフトであります。死者の心臓に杭を突き立てたり、火葬にしたりする理由なのであります。このギフトで蘇った者は生者と見れば襲い掛かる亡者になるか、よくて植物状態になるか、そのどちらかしかないはずのものなのであります)
えー。
えー?!
「俺はゾンビ、というモノなのか? 確かに、死んだ記憶があるのに、翌朝には、普通に目が覚めた。いつも以上に空腹ではあったが。そしてそれは、今回が最初ではない」
ギーク割込み。まあ、自分のことだしね。気になるよね。
(ゾンビとは、生きる屍であります。喋ることも、考えることもできない存在を言うのであります。あれらは、明らかにご主人様たちとは違っているモノであります)
とりあえずの身繕い完了で川から上陸。
うん、分からないことが多いですねー。ギークはなぜかは知りませんが、死んでも復活するようです。死んでしまうとは情けない! がリアルに可能な逸材です。まあでもそういうことでいいですかね。別に不具合感じませんしね。感じはしませんが、実際どうでしょう。
(質問なの。何か予想されるデメリット、みたいなものはありそう、なの?)
(分からない、であります。しかし、死んでも蘇生するというギフトは、<<不死の蛇>>のほかにもあるのであります。<<再起の誓い>>というギフトでありますが、こちらの場合、蘇生の際にはこれまでの人生分の寿命が縮むであります。そして寿命が尽きたら蘇生しなくなるであります)
ああ、それ知ってる。
騎士およびハンター垂涎の命綱ギフト。物語にはよく出てくる。現実には王侯貴族が自分たち用に買い占めちゃってて、市場に出回ることなど滅多にないとか夢のない話のやつだ。……そういえばエデン辺境伯くらいだと、下賜されていても不思議ではないですね。聞いたことはないですが。もしそうなら復讐のレパートリが増えるので歓迎ですね。
しかしそうですかー、寿命ねー。
あのギフトそんなデメリットあったんですか。デメリットの方は知りませんでしたよ持ち金が半分になるくらいかと思っていました。<<不死の蛇>>でも同じだとすると、それは今いまとしてはアレだけど、長期的には歓迎しかねる話ですね。
というかこれまでも多分、何度かこのギフトで蘇生していますよね。
あの騎士の矢でケツ掘られた時なんかもきっとそうだったんだよね。
そうすると、あともう残機どれくらいなのよ? 結構まずくない?
えーと、鬼の寿命は知らなくて、ギークの年齢も不詳で、、、
ダメだ。何もわかんねえ。
情報不足ー、情報不足ー。
誰かに聞いたら分かるという話なのかな。世間一般的にはあり得ないことが起きていますと。なんでかを知りたければ自分で調べるか、自分を実験体として研究者にご進呈するかしかなくないか? で、その結果は、君の犠牲は無駄にはしない! 君のおかげで医学が進歩で何万人が救済だから安心してグッバイ、みたいな感じか? まあ、ミアの復讐が無事に完遂できたら考えなくもないかもだが、それまではナイな。
(いま、考えても分からないの。保留なの。でもなにかデメリットがあると思っていたほうがいいの。なるべく死んだりしないように立ち回るの)
まあつまり。
保険には入っているけどポイントが下がるから使いたくはないよね、な感じでいきましょう。
「ふん、それに今回は、赤鬼に変わったりはしなかったな。あの赤鬼が、この鬼の所謂上位種というやつなのだろう?」
あの赤鬼、名前はオカシラなんだそうです。
名が体を表しすぎっていうか、まんまですよね。理由はみんながそう呼ぶからだそうです。いやそれ名前じゃないよね。まあいいんだけどさ。本人が俺の名前だと言い張っていたから。本人がそれで満足なら、べつにね、いいんだけどね。アホかとは思うけどね。
そしてギーク、鋭いことを言う。
それも謎だね。謎が謎を呼んで謎だらけだね。
(? 変わる、とは、なんであります?)
(あー、これまでのことは、後で説明するの。とりあえず、そろそろ戻るの)
聞いてくる河童に応える。
折角、新しい寝床も確保できたことですしね、何も、寒風吹きすさぶ河原で、濡れた姿のまま突っ立って話し込むことはないでしょう。いつまでも戻ってこない。逃げやがったかと、アジトの匪賊らに誤解されても詰まらないです。というか、門番のあんちゃん、遠くからなんかこっちチラチラみてるな。あ、見張り台からも見られている。痴漢が多いです。
きゃー、のぞきよー、でギークさん、ちょっとそこの小石でも投げてみます?
あ、本気にしないでね冗談だから。普段からほぼ全裸なんだから覗きとか関係ないね。
てか、そうだよギークの服も欲しいのだよ。
鬼が風邪ひくかどうかは知らないけど、見たくないモノが目に入ってきちゃうことがあるし。
貧乏領主とか釣り人の服とか惜しいことしたよな。何でいつもビリビリ破いちゃうのか。
欲しいといえば、弓が使い熟せるようになるまでのつなぎ的な武器も欲しい。
アジトに適当な余剰品とかありませんですかね。




