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天国のお土産  作者: トニー
第二章:赤鬼と匪賊
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2-06. 妙薬に期待、なの

感想などいただけますと励みになります。

誤字、脱字など、ご指摘いただければ幸いです。

 (フレデリカなの。えーと、わかったの。努力するの)


 努力します。でも心の中では自由でいいですよね。心は自由です。


 僕、名前覚えるの苦手です。貴族がそんなことじゃダメだとは思うのですが。ミアが得意だったのです。それで僕に聞かれることはほとんどなかったのです。

 あの豚ー、とかあの脂身ー、とかで大体ミアには通じてしまったのです。弱点を鍛える機会には全然恵まれませんでした。いや、やっぱり決してミアのせいではありませんが。


 (ありがとうございます、であります。よろしくお願いいたしますであります。それで、ご質問はなんでありますか? ご主人様(マスター)


 (その、ご主人様(マスター)についてなの。ご主人様(マスター)になると、なにかしなきゃいけなくなる、なの?)


 僕のスケジュールはミアの復讐で埋まっているので、色々と余計な仕事が増えるようなら、申し訳ないけど辞退をさせてもらうしかないです。心苦しくはありますが、こればっかりは仕方ないです。


 河童は一瞬だけ考えた風でしたが、回答はこうでした。


 (はい、申し訳ないであります。暫定でも、独立移動できるようになる程度の修理が完了するまでは、大してなんのお役にも立てないことをご容赦いただきたいのであります。そしてまた、恐縮でありますが、ご一緒させていただくために、当面は私の運搬をお願いしたい、ということになるであります)


 また変な表現をしますね。河童語でしょうか。


 (修理? えーと、手足の治療のこと、でよいの?)


 (はい、であります。そのための材料、、、ああ、本当に申し訳ないであります。修理に必要な材料のご提供も、もし可能でありましたら、その機会があるときでかまいませんので、お願いできればと思うのであります)


 (材料。うーんと、お薬とか、ご飯のこと、みたいな理解でよい、なの?)


 そういえば河童には<<河童の妙薬>>という種族特性があったはずですね。

 材料とは、その妙薬作りの材料でしょうか。


 妙薬というからにはきっとすごい効果があるのでしょう。

 塗った瞬間に、傷口から新しい腕がズオッってな感じで生えてきたりとかするのではないでしょうか。

 出来上がったらちょっと分けていただきたいです。


 (はい、であります。重ね重ね、ご主人様(マスター)のご迷惑になってしまう役立たずで、まことに恐縮なのであります)


 妙薬。河童の妙薬。うーん、夢が広がります。


 (……、僕には僕の目的があるの。手伝ってくれるなら、フレデリカの治療にも、それはもちろん協力するの)


 ひとまず言質を貰っておきましょう。何が目的とはあえて言いませんが。

 妙薬に期待です。人間の傷を治せる薬ですね? どれくらいの傷まで行けるのでしょう。手足が即座に生えて来るくらいであれば、もしや瀕死な状態からでも即座な回復が可能だったりとかするのでしょうか。


 エデン辺境伯(おとうさま)とか、教会の司祭(くそやろう)とか、あっさり死んでもらってはやはり困りますからね。痛めつけては治療して、痛めつけては治療して、痛めつけては治療して、痛めつけては治療して、痛めつけては治療して、痛めつけては治療して、痛めつけては治療して、痛めつけては治療して、うふふふふふふ、うっかり殺してしまっても、蘇らせることができるくらいの効果があると、なおよいのですが。


 (もちろんなのであります。このフレデリカ、五体満足となった暁には、誠心誠意ご主人様(マスター)に使えさせていただく所存なのであります)


 そうですかー。いいですよー。いくらでもご主人様(マスター)とお呼びください。

 妙薬の材料集めにも、協力は惜しみませんとも。


 うふふふふふふふふ。


 ああ、いいですね妙薬。不思議なほどによく効くお薬。

 うふふ、もう、今からでも期待が膨らみますね!


 妙薬さえ塗っておけば、生かしたまま脳髄を抉り取るくらいのことは可能かもしれないですね。なんといっても妙薬というくらいですから。ええ、実験の価値はあります。自分の体が生きたまま餓鬼に貪り喰われるのを奴らにも体験させてやりたいのですが、それだけで終わってもらっては詰まりません。その光景を生きている取り出し済みの脳髄にじっくり観察させてやるというのが良いアイディアではないかと思います。ああしかし悲鳴とか絶叫とがが聞こえないというのも味気ないです。自身が今どうなっているのか自分に説明させてみるという遊びもできません。脳髄だけでは喋れませんし、首から上だけがあってもダメですね。声を出すには胴体が必要ですか。難しいところです。そうだ河童(フレデリカ)に聞きだせば僕と河童の間でさっきまでやっていた思念会話みたいなものの仕組みとか再現できないですかね。それができれば横隔膜だの喉だのなくてもよい感じに囀っていただくことが可能になるのではと思うのです。脳髄に妙薬を塗り込めば、またそこから五体満足に復元するかどうかも要実験ですね。そうした意味ではエデン辺境伯(おとうさま)とか、教会の司祭(くそやろう)とかのメインディッシュに手を出すのはやはり一番最後にすべきでしょうね。まず間違って殺してしまってもそれほど惜しくはない適当な誰かで妙薬の性能を十分に検証してから


 「おい道案内(ミイ)。あれをどう思う」


 (……、はい?! あ、なに、なんなの?)


 河童(フレデリカ)をギークにおざなりに紹介した後、楽しい妄想(けいかくりつあん)に耽っていたところ、ギークから現実世界に呼び戻されてしまった。不満だ(ぶぅ)


 ギークが顎で前方を示す。

 誰が道案内かと罵ってやりたいところですが、まあ今はひとまず措きます。そちらを見ましょう。


 川岸から少し離れた辺りに、建物? らしきものが見えます。

 距離があるので微妙ですが、あの白い煙は炊事でしょうか。


 ああ、気がついたらもう夕暮れですか? 楽しい時間が過ぎるのは早いですね。

 するとあれは夕餉の支度かもしれません。


 あ、いけない、ギークのエサを考えないと。

 あ、いけない、今晩の寝床をどうしましょう。


 えーと、えーと。


 つまり進行方向の斜め前方に、小さな集落、あるいは隊商のキャンプか何かがあるわけですよ。

 夕餉、旅人(われわれ)にも分けてもらえないでしょうかね。一泊ご一緒させていただけるなら、なんだか全ての問題が解決するような気がしてきます。


 あれ? そういえばギークは夜行性だったよな。

 あれ? 本日は朝からずっと活動をしておりますね。


 おお、もしや眠いのを押して昼に活動をしていたから、ずっと機嫌が悪かったのですかね。


 どうも反抗的だなと思っていました。

 全くもう、ちゃんと口に出して言ってもらえないと分からないですよ。謎は全て解けました。


 いや、そう言えば中州で昼寝をするというのをやめさせましたっけ。

 それからまた歩かせっぱなしですね。


 うん、ごめんなさい。

 妙薬が悪いのです。だって妙薬な響きが僕の心の繊細な部分をくすぐるから。


 落ち着きましょう。

 えー、こちとらモンスターな御一行ですからね。夕餉を分けてはくれないでしょう。

 モンスターが近付いてきているとかで騒がれる前に、少し遠回りしてやり過ごすべきですかね。


[INFO] 忍耐の限界により、状態異常「空腹」を堪えています。

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