2-05. ご主人様?、なの
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ふっふっふー、しかし何故、ギークが背負っているはずの河童の表情が僕に分かるのか。
それはですねー、僕は気づいたのですよ。ギークが大岩に梃子の木材を差し込もうとしたり、支点にする小岩をどう配置しようかとやっているときに。
僕の地図ギフト、いつの間にやら習熟レベルが上がっていました!
やりましたー。どんどんパフパフー。
ついにですね、僕は、三人称視点を可能とする、僕の為にあるかのような、この地図の拡張機能が使えるようになったのですよ!
三人称視点とは?
具体的な仕組みは知りませんが、自分の姿を外から眺める、斜め上とかから見下ろす、LRでくるくる回してみたり下から覗いたりとか、そんなことが可能になったということです。
これでクラナスの下着も覗き放題、ねっとり視姦プレイもお任せください。
周辺探知に表示される範囲限定、ギークが目を開けているとき限定なのが残念ですが。
え? それもう地図じゃなくないかって?
はははー、そんなの知らないし。
名前があって機能があるのではなく、機能に名前が付けられているのです。
そもそもギフトの名前とか、教会の学者的な連中が、新しいギフトが見つかった際に、密室で話し合って勝手に名付けてるという話ですからね。
え? 楽しみにしてたという割に気づくのが遅い?
いやいやそんなまさか、きっとまさに気が付いたその直前とかに上がっていたに違いないです。
こんな便利な機能が使えるようになっていたことに、僕が長らく気がついていなかったなんて、そんなミスを犯すはずがないのです。
今ギークはこの河童を背負っている状態で、次の一歩を踏み出す河底の位置を必死に探っています。
そんなわけで、河童ちゃんの表情とか全く見てません。そんな余裕はありません。
これまでの僕であれば、同じく汚い川面の映像しか目に入ってこなかったと思います。
しかし今はもう違うのです。もうギークにあっち向けとかこっち向けとか、いちいち言わなくてもOKなのです。ああ素晴らしい、自由って素晴らしい。
というわけでの河童観察。
うん、河童の彼女、顔はとっても美少女さん。
美少女度合いはミアとどっちが上でしょう? 僕が回想するミアの容姿には、色々とプラス補正が入っていることは否めません。思い出は美化されるのです。
ならばそのミアと比較になるくらいな美少女だと違和感なく思う以上、公平な目で見ればこの河童の方がおそらくは整った顔立ちをしているといえるのでしょうね。
ま、全体像は手足のもげた河童なんですが。
そして公平な目とか、僕にとってどうであるかが重要なのであって、そんなものは犬にでも喰わせたれー、な話なのですけどね。
この三人称視点の機能、素晴らしい機能であるにもかかわらず、デフォルトはオフになっています。
なので習熟度が使えるレベルに上がっても、機能があると知っていなければ使えません。
また、普通の人が使おうとすると、元々の視覚情報が遮断されてしまうそうで、身体を動かすときにかなりの違和感があって、不便らしいです。
でも僕には関係のないデメリットです。
僕が直接体を動かすことはないですからね。
因みにギーク自身には何の影響もでないことは確認済みです。
……、そういえば今考えると、もし影響が出ていた場合、また驚いたギークがバランス崩して川にバシャーンな可能性があったかもしれませんね。
使えるようになった喜びのままに発動させちゃいましたが。
……、ちょっと迂闊でしたかね? まあ結果オーライということで、気にしないことにします。
些細な問題です。それよりもさらなるレベルアップとそれによる機能強化が待ち遠しいです。
次に解放される機能はなんでしたかね? マーカーの設置可能数が増えるのと、えーと
(……、ありがとうございました、であります。あの、恐縮でありますが、随時情報取得の許可もいただいておきたいと思うでありますが、如何でありますか? お気に召さなければ、後から取り消していただくことも可能であります)
(んー、んー、えーと、許可すると? 何がどうなる、なの?)
目的を述べよー。
行為のイエス、ノー、だけ聞かれても分かりません。
分からないのは僕が無知なせいでは断じてないはずです。分かるような説明を求めます。
(はい。行動のログ情報を当機側に随時共有配信いただく形になるであります。バイタルサインや、ステータスの情報にネガティブな変化があれば、当機側から積極的にサポートさせていただくことが可能になるであります。情報をいただけることで、支援内容の最適化も可能になるであります。あと、できればギーク様への接続中継のホワイトリストに当機を登録いただきたいであります。登録いただければ、ギーク様にも当機からコンタクトを取らせていただくことが可能になるであります)
はっはっはー。
もう何が何やらさっぱりわかりません。
許可でいいんではないでしょうか。
あ、ギークと話せるようになるのね。いいんじゃないでしょうか。
あ、ギークが体調を崩したら教えてくれるの? いいと思います。
あ、ご主人様と呼ばせてください? いいんじゃないですか。
……、え? 一体なんのことですか?
対岸に上陸。河童を背負って川沿いの砂利原を歩く。
実際には背負っているのも歩いているのもギークなのですが、同じ体の労働担当と指示担当というのが僕の認識でありますので、この表現に何も間違いはないはずです。
ギークには異論があるかもしれません。しかし残念なことに代わって差し上げることはできないのです。ならば納得してもらうしかありませんね。
上陸して、どっちに行くかと聞かれたので右と答えます。
上流方向。最終的な目的地につながる方向。
あんな聖騎士共が鎬を削っているような場所に、今すぐ無鉄砲に飛び込むことを考えているわけではありませんよ? ただまあ上か下どっちを目指すというのなら、やはり少しでも近づいておきたいですからね。まだ遥か彼方ですけど。
河童ですが。
意味不明な文字列の洪水に、僕がうん、はい、そうですね、いいと思います、な相槌を打つマシーンとなっていたところ、唐突に僕のことを<<ご主人様>>と呼び出しました。
なんだというのでしょう。
ありがとうございます! 感激です! これからよろしくお願いいたします! に、であります、な語尾が付いた心の声が、どういう仕組か大喜びな感情添付でビンビンと伝わって来ます。
さっきまで無表情だったのに。
ギークに背負われている甲羅にくっついている美少女な頭部の表情まで、今や喜色が満面。頬が紅潮してて輝かんばかりな笑顔で、唇桜色。正直かなり可愛いです。
相手は河童なのにクラッと来そう。なんだかお持ち帰りしたくなってきます。
ああ、現在まさにお持ち帰りな最中でしたね。
何のことかわからないからやっぱりお断りとは、とても言い出せない雰囲気です。
まあ別に、他の誰に聞こえるわけでもないらしい心の声で、<<ご主人様>>呼ばわりされたところで別にどんなデメリットがあるとも思えないですから、別にいいですかね?
いや、一応確認しておきましょう。時間が経つほどこういう問題は大きくなります。
(あの、ごめんなさいなの。ちょっと、ちゃんと理解できなかったかもしれないの。僕が河童さんのご主人様とやらになると、具体的にはどんなことが起こるの?)
(……? 河童というのはその、先ほどもお尋ねいたしましたが、当機、いえご主人様に対して当機との一人称は他人行儀過ぎるでありますね、私と言い換えさせていただきますが、この私奴の愛称でありましょうか?)
あれ?
頭にお皿が付いてて、甲羅を背負っている。
うん、顔が美少女であることを除けば、文句なしに河童だね。そして顔が美少女な河童がいてはいけないということもないはずだ。嘴がない? はっはっはー、あんなものは飾りです。
(河童は河童なの。見たままなの)
(あの、申し訳ございません、であります。私のことは、その、できれば、フレデリカ、とお呼びいただきたいであります。これは是非にお願いしたいのであります)
是非にお願いしたいらしい。そうですか。
あ、表情が無表情に戻ってしまいました。超絶可愛かったのに真に残念です。
[INFO] 忍耐の限界により、状態異常「空腹」を堪えています。
[INFO] フレデリカから、プッシュ型情報開示の内諾済要求を受け取りました。
[INFO] フレデリカを、プッシュ型の情報開示のターゲットに追加しました。
[INFO] フレデリカから、接続中継許可リストの内諾済更新要求を受け取りました。
[INFO] フレデリカを、接続中継の許可リストを更新しました。
[WARN] フレデリカから、<<聖杯>>管理者への内諾済就任要求を受け取りました。
[WARN] 規定規模のネットワークに、接続できません。就任シークエンスは保留されます。




