表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
天国のお土産  作者: トニー
第二章:赤鬼と匪賊
29/160

2-04. フレデリカ、なの

 河童が寝そべった状態のまま、目線だけをこっちに向けてきます。判りにくいですが、なんだか少し嬉しそう? というか今のは河童の意思こえでしょうか?


「どうした。声を掛けるのか? 何を話す」


 ギークが聞いてくる。


(あー、いや、ギーク、ちょっと待つの。待っててなの。少し確認することができたの)


「……? 好きにしろ。では俺は、そうだな少し寝るか」


 ギークが中州に寝そべろうとしている。泳げない分際で中州でご休憩ですか。慎重なんだか豪胆なんだか分かりませんね。

 さっきギーク自身が言ったように、あまりのんびりしていて追っ手に見つかりたくはないものだ。目的のもの(?)は見つけたことだし、とっとと移動をしたい。


(待つのギーク。ここに長居は無用なの。ご苦労だけど、この河童()背負って、とりあえず川は渡り切ってしまってほしいの)


「この重い河童(もの)を担いで、それで川を渡れと言っているのか? 弓も持ってか。死にたいか?」


(あの。。。)


(どう見ても、この河童()は動けないの。手足がないの。ギークが背負うしかないの。情けない顔しないの。僕が賭けに勝ったのだから従うべきなの)


 この河童が生きているらしいと分かった以上、ここに放置は憚られる。役に立つかは分からないが、大岩の下に居たことの事情聴取くらいはしてみたい。まあ、興味本位なのですが。

 いや、きっと何かの役に立つ。そうに違いないです。きっとあれだ、ギークに奥義を授けてくれるとか、僕にハイパーでビューテホーでストロンガーなボディをくれるとか。


(おお! かの姫(ミア)が処刑されてしまったのは間違いなのじゃ! 申し訳のないことじゃった。お詫びとしてそなたには、この大きな葛籠(チート)と小さな葛籠(チート)、どちらか一方、好きな方を授けよう」とか、いやふざけんなそんなんでミアの代わりになるかミアを返せよこのクソ河童とか。

 そういう素敵イベントが待っているのです。見逃すなんてとんでもないです。


「なんだ、賭けというのは。しらん話だ」


(にゃーッ! ぶつくさ言わないで河童を背負うの!)


(河童? 私のことでありますか?)


 今なにか聞こえた? 気のせいかな。うん、どう見てもこの子は河童だしね。

 頑張ってギークを説得する。こうなったらもう、物量作戦でいこうか。


 重たいものを担いでいた方がむしろ安定するかもなの。流されなくなるの。

 これは筋トレなの、特訓なの、甲羅だし丁度いいの。

 修業が終わった暁には下ろしていいの。そしたらきっと、栗小僧(オレたち)猿小僧じぶんでとんだんだよな、な感じになるの。

 何だったら弓とか矢筒とかは向こう岸にポーンと投げちゃえばいいの。

 ゆっくり行けば大丈夫なの。気を強く持つの。

 天井のシミでも数えていればすぐに終わるの。


 エトセトラエトセトラな会話の末に。

 たぶん面倒になったから、もとい僕の熱意に感銘をうけたのでしょう。

 乱暴な手つきで河童を背負い、ギークが渡河を再開する。物分りと頭の悪いギークを見事手玉に取って見せる、この自分の話術の冴えが怖いですね。


(ええと、困ったであります。折角接続できたのに、この方々にも、会話が通じないであります)


 河童が、ギークに背負われつつ、何やらぶつぶつと言っている。

 ギークは少女な頭部付の甲羅を装備した。ギークは呪われてしまった!

 でんでろりん。


(これはもしかして、プロトコルが変わってしまったのでありますしょうか。困ったであります)


 はい、ごめんなさい。これからちゃんと応対します。

 ところどころに意味不明な単語が挿入されていますが、河童語でしょうか?


(河童ちゃん、ちゃんと聞こえているの。放置してごめんなさいなの)


(っ! ああ、よかった、聞こえているのでありますね。当機、発声機能を持ち合わせていないであります。通信経由でないとコミュニケーションも取れませんので、困っていたのであります。時計が狂ってしまっているのでありまして、ひとまずは現在日時を教えていただきたいのであります)


 時計が狂う? 妙な表現ですね。日付と何の関係が?


 何のことか分かりませんが、とりあえず教会歴の年号を告げてみましょう。年号など一般人は縁もなければ知りもしないものだと思いますが、まあ貴族としての教養ですよ。教会史とかを勉強するときに出てくるのです。この河童も飼い主だった貴族から聞いたのでしょう。

 しかし教会暦といえば、聖なんちゃらがほんわか年にどうにかこうにかしたので異端が減りましたとか。その割に、その翌々年の異端の大攻勢を聖ほにゃらんが食い止めて偉大でしたとか。でもって試験にでるのは聖ぽんぽこがぴーひゃらだったのは何年ですかとか。

 知らんがな。そんなこと覚えさせてどうしようってんだ。なんで異端減ったはずなのに翌々年に大攻勢なんだとかそういうことを教えんかい。

 いけない何故だか話がちょっとだけ逸れた。


 時刻は、太陽の傾き具合から、こんなもんじゃないかなという刻限を応える。見りゃわかる感じですが、お互いの意見を交換することで、より正確な時刻が推測できるということもありますからね。


(いえ、、、あの、聖杯(グラール)固有時の値が望ましいのでありますが、、、なんでもないであります。貴方の所属についてでありますが、失礼ながら、勝手に照合をとらせていただきたいであります。許可をいただきたいであります)


 さっぱりわかりません。「鹿は食い物か(ギーク)」状態です。え、今回は僕がそっち側の位置付け? いや、僕がおかしいんじゃないよね、この河童が変なんだよね?


(うー、なんのことだか分からないの)


(当機に可能なレベルで、貴方の情報を参照させていただきたい、ということであります。個人情報の悪用はしないと誓うであります。ええと、許可を選択いただければと思うのでありますが。。。)


 よく分かりません。


(え? うん。選択、するの?)


 どこで何をどうやって? やばい、どうしよう。全然理解不能です。

 違う、違うんだ。僕は悪くないはずだ。分からないのだから仕方ないじゃないか。

 分かるように説明してくれないのが良くないのです。

 きっとそうです。


(……、……、こ、口頭でも、構わないのであります。許可するとの伝達を、お願いできるでありますか?)


(よ、よく分からないけど、うん、許可するの。悪用厳禁なの)


 あははー、なんだかよく分からなけど、いいんじゃないかな!

 当方、これ以上取り立てて何を失くすこともないような身の上でありますよ?


(それでは、失礼するのであります。……? エラー? ……! ……! ……?)


 なんだか驚いたり、困惑したりしているようではあるのですが、その間ギークに背負われている実際の彼女の表情には、全くなんの変化ありません。

 さっき嬉しそうに見えたのは、やっぱり気のせいかな?

[INFO] 忍耐の限界により、状態異常「空腹」を堪えています。

[INFO] 忍耐の限界により、状態異常「怒気」を抑制しました。

[INFO] 忍耐の限界により、状態異常「恐怖」を抑制しました。

[INFO] フレデリカから、フレンド登録申請を受け取りました。許可しますか?(y/N)

[INFO] フレデリカから、フレンド登録申請がキャンセルされました。

[INFO] フレデリカから、フレンドへの内諾済登録申請を受け取りました。

[INFO] フレデリカを、フレンドメンバに追加しました。

[INFO] フレデリカから、時刻情報の送信要求を受け取りました。

[INFO] フレデリカに、時刻情報を送信しました。

[INFO] フレデリカから、要請によりプロフィール情報を開示しています。

[INFO] フレデリカから、要請によりステータス情報を開示しています。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ