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天国のお土産  作者: トニー
第二章:赤鬼と匪賊
27/160

2-02. 甲羅に遭遇、なの

誤字、脱字など、ご指摘いただければ幸いです。

 ピコーン、ピコーンに該当する場所を探して見れば、大岩です。大岩があります。河川のちょうど中州にあたる地点。というか、その大岩が始点で中州になっているような。


(ギーク、ちょっとあそこの、岩のところに行ってほしいの)


「アァ?! バカ言うな、溺れるのはもうまっぴらだ」


 大岩の周辺は、多少水の流れが速いようで、わずかに白波が立っていた。しかし多少だし、ごくわずかだ。そもそもそんな急流じゃない。

 川幅は広く、川底は浅い。


(もう叫んだりしないの。大丈夫なの)


 こういうイベントはあれですよ、どんな確率で起きてんだよソレ、なご都合イベントの予感がします。きっとそう。ドキドキわくわくです。


(あそこには何かがあるの。間違いないの)


 聖剣とか、古代の秘宝(アーティファクト)とか、そうしたものが期待されます。ミアの復讐(エデン辺境伯領攻略)に有用なアイテムがゲットでウルトラレアな予感がするのです。

 嫌がるギークを宥めすかし、中州に上陸した。やりゃあできるんだから最初からやれってーのな。面倒な奴だぜー。


(さあギーク、この岩をぶっ壊すの。これまで秘密だった必殺奥義の出番なの)


 岩はギークの背丈より大きく、幅はなお更に広い。川の真ん中に、どーんと居座っております。

 うむ、必殺技の演習台としては、実に最適な(よい)感じ。


「なんの話だ。また狂ったのか」


 おぅ前が言うんじゃねええええエエェェェェェェェェェェッ!

 またとは何だー、またとは!


(ぶぅ、ノリの悪いギークなの。まあいいの。この岩を、何とかして除かしてほしいの。なんとかするの)


「これをか」


 僕が言い、ギークが岩を見上げる。


(そうなの。梃子(てこ)の原理とかがおすすめなの)


「そうか。そういうことはまず、川を渡る前に言え」


 ……、確かに、中州には梃子に使えそうな木材とか、ないですね。

 ……、川岸には、ありましたね。うんまあ、そういうこともね、ありますよね。


 ギーク頑張りました。大岩を除けました。

 僕も頑張りました。たくさん応援しました。


(もえろーおせー、もえろおせギークッ)

(もえろーおせー、もえろおせギークッ)

(ファーイトファイト! ファーイトファイト!)

(鬼畜魂無限大!! 食欲魔王 ファイトー、おー!)

 

 その甲斐あって、ええ、その甲斐あって(・・・・・・・)、いまや大岩は我々に屈したのです。我々の勝利です。勝利を讃えよ。惜しみなき賞賛を。

 戦利品は? 元々大岩が居座っていた場所は、早速と水の中です。そこには今や、泥水があります。濁ってしまって、底はよく見えません。

 大岩が少しでも持ち上がった瞬間、周囲に眩いばかりの閃光が溢れ出し、たりはしませんでした。

 大岩が転がり位置をずらした瞬間、天からの光がその場所に突き立って神々しき存在(ぜんらのナイスガイ)が顕現した、りもしなかったです。

 正直そういった光景を期待していた身としては、肩透かし(がっかり)もいいところです。どうせ何かあるのだろ? じゃあもう折角だから派手に行こうぜ?!

 そういうサービス精神が足りていないと思います。


 ほら、同じ聖剣を入手するのでもさ、単に剣が埋まっているよりは、精霊みたいなものが顕れ出でて、授与してくれるみたいな演出の方が? こう有難味というかね、見栄えがするわけじゃあないですか。

 そうであってくれればね、僕が今こう抱いているような、まさか、まさか何にもないだなんて、そんなことないよね? 的な不安とか? そういうちょっと、あの、えーー、な冷や汗ダラダラ感を覚えなくて済むわけでしてね、ここはひとつ是非ともお願いしたいというか。


(いや、絶対何かあるの。諦めないでなの。必ずあるの! ゴメンもうちょっと、もうちょっとだけなの。ほら、あと少し、あと少しだけ掘ってみてほしいの)


 またこいつに騙されたといわんばかりのギーク。というかそう口に出した挙句、お前いい加減にしろとか言い出したギークを、どうにか押し留めます。

 うう、おかしい。こんなにピコンピコンなのに。地図マッピングが壊れたのだろうか? まじでか。

 このギフトないと、僕本当に口だけな感じになっちゃいそうでかなり困るんですけれども。というか、これはミアが僕に最後にくれたプレゼントだと思っているので、もしそんなことになった日には、、、いや! 必ずや何かが起きる、だから中州(ここ)で少しの間待機しよう。

 妥協を取り付ける。ひとまず待機で。うぅ、僕の立場弱いです。いつになれば絶対君主的な特権が手に入るのでしょうか。


 水の濁りがだいぶ収まってきた。ダナサス川は下流に行くほど汚れが目立つ川なので、この辺りの水は清澄とはとても形容できない。

 それでも水深が浅いので、一応水底までは見通せるようになってきている。

 おっかしいなー。本当に何もないのかなー。ちらちら。


(あ、そうだなの。ギーク、弓なの。ちょっと弓の本弭(つるをひっかけるとこ)でその辺をザクザクやってみてほしいの。それならギークが水の中に入らなくて済むの)


「くだらん。そろそろ諦めろ。恐ろしい追手が来るかもしれない、のではなかったのか? それも嘘か?」


 あう、なんてこった。信頼度が底を打ってる感じです。ぐぅ、いいじゃないですかね、ちょこっとツツクくらい。減るもんじゃないですよ。


(わかったの。これで最後にするの。最後だからちょっとザクッと、それくらい頼むの)


 きっかけ。何かきっかけさえあれば! ああ、変な石とか(イベント発生の)妙な偶像(キーアイテム)とかが必要なパターンではないことを祈ります。


「……甲羅か?」


(……甲羅なの)


 弓の一突きに、ガキーンッと固い金属音が鳴り響き、ほらやっぱり何かあるよと何のかんのやった結果。大岩の下には甲羅が埋まっていた事実を発見しました。

 発見しました!


 で?

[INFO] 忍耐の限界により、状態異常「空腹」を堪えています。

[INFO] 忍耐の限界により、状態異常「怒気」を抑制しました。


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