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天国のお土産  作者: トニー
第一章:クァボ男爵領の惨劇
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1-22. 村を眺めて、なの

誤字、脱字など、ご指摘いただければ幸いです。

 ミカンアベンジャーズな農夫さん方をやり過ごし、土手を登ってそれから降りて。

 広がる畑の先に、見えてきました集落です。


 田舎だろうという予測はありましたがー。

 うーん。


 ここ、ちゃんとした領主の治めてる土地じゃないのかな?

 風景から受ける印象が、とにかく茶色、土の色。


 身もふたもないが、汚らしい、貧しそうで、みすぼらしい。

 およそ活気というものがない。淀んでいる。あの小川と同系列な属性を感じる。


 よもや、貧民窟(スラム)とか、山賊のアジトとか、その類?

 あの血染熊と戦ったおっちゃんは、領主の騎士様な雰囲気だったんだけどなあ。


 ミアと僕の出身地(エデナーデ)は、尊称天上に最も近き街、別名地獄の最前線。地獄から湧き出す悪鬼怪物共を塞き止める、誉れ高きは守護騎士団の街だ。

 なのでミアも僕も、騎士を見る目には結構自信がある。


 騎士崩れの、山賊な頭領さんとかだった、のかなあ?


 だとすればガッカリ。あの街(エデナーデ)だったら、そういうのは騎士の風上に置けないで車裂きは確実です。風上にはおけないけど降り注ぐ血潮は大歓迎なのがあの街です。

 そいでもってそういう相手を騎士と誤認したとなると、見る目がないと罵られます。下手すると、そんな目はいらんなぁ、となりかねませんのでかなりヤバイです。


 「ココにあるのか。俺の(ツノ)は」


 ギークが目を細めて、苛立たし気に呟く。

 こだわるねー。ないほうがカッコイイよ! そう思いなよ!


 (たぶんそうなの。でもとりあえず、あの端っこにある小屋に向かうの)


 僕の勘では、あれがハンターの住居。武器があってもおかしくない場所だと告げている。

 何故かというと、彼らハンターはその多くが郊外に住むものだからである。騎士と違って、彼らは城壁の内側には武器を持ち込めないので、必然城壁の外側に住むのである。

 もちろん武器を預ければ城壁の内側に入れないわけではないし、住んではダメというわけでもないので、全部が全部ではない。そもそもこんな集落を囲っているあれは木の柵ですかな田舎であれば、そんなルール適用されないかもしれないので、まああくまで可能性の話だ。


 まだ昼である。頭上には太陽が輝いている。

 集落を見つけてからの行動開始は、日没を待つつもりだったが周囲に人影なし。ならば予定は前倒しが可能だろう。あの外れの小屋に行くくらいなら、別に問題ないでしょう。


 まあ、そもそも見つかったら逃げればいいだけだしね。

 この規模の集落なら、きっともうあの時の熊狩りに来ていたのが最高戦力だよ。そうであるなら、勝てないにしたって、下手に囲まれなければ逃げるくらいは余裕だと思われる。お年寄りばっかりだったし。ひとりケガしてるはずだし。


 (こっそり覗くの。慎重にー、なの)


 集落側とは逆側になる小屋の壁に張り付き、そっと中をうかがう。

 遠目には分からなかったけれど、小屋には窓にも入り口にも蓋がない。

 不用心この上ないが、これは人の住居じゃないのかな?


 ここに目的の品(ギークのツノ)が安置でもされていれば、それでミッションコンプリートなわけだが。それは都合が良すぎる期待かな?

 でもそもそも領主って、狩人とかに納められたモンスターの討伐証明とか、どうするんだろう? 貰ってもねえ、困るよね。

 そりゃドラゴンの角とかだったら? 装飾品にでもできそうだけれど。小鬼じゃあねえ。要らないから確認だけして捨ててしまっているかもだね。えー、じゃあその場合だとゴミあさりとかしなきゃダメなのかしら。勘弁してほしい。


 人気なし。

 ドアのついていない小屋の入り口から中に滑りこむ。


 がらんとしている。

 物置小屋とかではなく、一応人の住んでいたであろう痕跡はある。

 粗末な調理器具らしきものとか、簡単な農具とかね。


 でも誰もいない。

 ハンターではなくて、さっきすれ違ったミカンな方々のおうちなのかも。それだったら外出中ということで納得も行く。でも本人はいなくても、家人とか侍女とか執事とか、いてもよさそうなものだけどね。こんな狭い家じゃ、2人以上が住めないのかな?


 (とりあえずは折角なの。なにか使えそうなものがないか、家探しなの)


 (ギーク)は勇者に進化したー! みたいな。箪笥みたいな立派な家具はここにはありませんけどね。覗くツボはないかな? (じめん)にちいさなメダルはどうだ?


 人が近づいてこないことを、《地図》で確認して一応の警戒をしつつ、家探し開始。

 ゴソゴソ、ガサガサと。


 「ふん、ちゃっちいな」


 ギークは錆びた薪割斧を手に入れた!

 ちゃんちゃららん。


 うん、確かにちゃっちい。

 力いっぱい振るったら、それだけで先端の粗末な鉄塊部分とかすっぽ抜けて飛んでいってしまいそう。

 いや、さすがにそれはないか?


 まあ何もないよりいいよね。貰っていこう。ありがとうございます。

 他にはなにかー、何かありませんかー。お鍋の蓋とかあるよ? いや別に要らないな。


 (あ、ギークそうだ、そこにある藁束とか、ちょっと腰に巻くの!)


 「あ? なんだそれは。どうしたいんだ」


 (小鬼の時は気にならなかったけど、今はちょっと困るの。隠すべきなの!)


 「何をだ」


 (きゃーっ、信じられないの! 僕の口からはそんなことは言えないの!)


 (ギーク不器用なの! もっと頑張るの!)


 (あ! 諦めちゃダメなの、試合終了なの! もう一回、もう一回頑張ってほしいの!)


 藁束とか、どうやって腰に巻くの?

 知りません! 良きに計らってください。うまく隠されていれさえすればいいのです。



 くだらないやり取りをしていたら、気が付くと結構時間が経過してしまったようだ。

 太陽が傾いて、入り口からの長方形が形を変えている。


 (夜になったら、集落の内側に入り込むの)


 これからの行動指針をギークと打ち合わせる。

 こういうことができるようになったというのが実に驚き。


 目標に向けた大きな前進である。

 復讐とは、冷徹にクレバーに、計画を練って着実に実行すべきものだからね!

 実に素晴らしい。


 (騎士にはマーキングを付けているから、居場所は分かるの。かち合わないようにすれば安心なの)


 「それまではここに居るのか?」


 (できれば、集落全体が見渡せるような場所に行きたいの。木の上とがいいの。住民たちが寝静まってからが勝負なの)


 歪な腰巻を身に着け、錆びた薪割斧を持って、小屋を出る。


 「気軽に言ってくれる。お前も探せ」


 (なんかまだ、動くとちょっとダメな感じなの。もっとしっかり隠すべきなの。やっぱりちょっとまだ戻って作り直しを、、、)


 「いい加減にしろ。誰に見せるつもりだ」


 (うぅ、ダメなの。見せちゃダメなの)

[INFO] 忍耐の限界により、状態異常「空腹」を堪えています。

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