表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
天国のお土産  作者: トニー
第一章:クァボ男爵領の惨劇
18/160

1-17. ツノがない、なの

誤字、脱字など、ご指摘いただければ幸いです。

 山砦にて。


 (血染熊(ブラッディベア)で、ありますか)


 河童が、小首を傾げるようなニュアンスの思念を飛ばしてくる。


 (モンスター化した熊、でありますね。かなりの強敵であります。ご主人様が倒されたのでありますか?)


 ギークがもう目を閉じて眠ってしまっているので、僕に彼女の美少女な顔は見えない。


 (それはムリなの。あの頃の(小鬼だった)ギークが敵う相手じゃないの。僕たちは樹の上に隠れていたの)


 (では?)


 (倒したのは騎士と、お供のハンターなの。弓矢でザクザク、剣でズバーッ、だったの)


 (なるほどであります)


 (でも、ハンターの一人がケガをしたの。それでその騎士と、もう一人のハンターが、ケガ人を運んで行って、熊の死体は放置されたの)


 (ははあ、それで)


 (そう、それで、ギーク漁夫の利でうまうま大はしゃぎだったの。そしてまたランクが上がったの)


 人間の大人数人分の質量にもなるだろうバカでかい熊を、子供くらいのサイズなちいさい小鬼が嬉々として残さず平らげる、そんなシュールな絵面であった。


 (ランクがですか。おや、数日前にも上がったばかり、ではなかったのでありますか?)


 (そうなの。びっくりなの。たぶん格上のモンスターな肉を、たらふく食べたからだとは思うの)


 赤黒い剛毛が固くてちくちくで、僕的にはとてもヤな感じだったわけだが。


 (なるほどであります)


 (ランクアップ、またしても痛かったの! ぎゃー、だったの)


 重要である。僕は憤然と主張する。

 ぜひとも何とかしてほしい。


 (なるほどであります。それにしてもモンスターのランクアップというものは、長い年月を生き延びた、ごく一部の個体だけが至るもの、であるはずなのであります。数日のうちに、というのは確かに不思議な現象であります)


 (そうなの。とっても不思議なの。でももっと不思議なのことがあるの)


 (それが、ご主人様の(オーガ)の御姿でありますか?)


 (そうなの。気が付いたら、こうなっていたの)


 (………)


 (どう思う? なの)


 (……より上位の強力な種族に進化、、、いえ、生まれ変わった、でありますか。申し訳ないであります。聞いたことのない事例であります)


 (ぶぅぶぅなの。使えない河童なの)


 (ご主人様。私のことは、河童ではなく、フレデリカと、お呼びください)


 (ごめんなさい、なの)


 殺気を感じた。





 殺気を感じた。

 場面変わって、血染熊の遺骸が異次元に消え去った、雑木林にて。


 警告は間に合わなかった。

 突如、木立の隙間を縫うように飛来してきた、先端の尖った太い棒のようなものが、血染熊の巨躯を余さず平らげ、その後のランクアップの激痛に悶えていたギークの矮躯を、一撃で貫いたのだ。


 尻から脳天串刺しな感じで。飛来した勢いのまま、強引に。

 ズガンッ、と。そんな音なのか感覚なのか両方なのかが、体中を駆け巡った。


 その辺りまでは、覚えている。

 覚えているのは、その辺りまでだ。


 なにかグルグルして、グワングワンして。

 ザラザラで、キーーーー、だった。


 辛い。

 鏡に映ったミアの笑顔が脳裏を過る。苦しい。


 (ミア、助けて、ミア)


 苦しい。


 意識が戻る。

 戻ったといっても、二日酔いな感じでとにかく辛い。


 ちなみにお酒を飲んだことがあるかと問われるならば、あります。

 ありますが、二日酔いになるほど飲んだことはないです。二日酔いな感じとか言っているのは、なんとなくなイメージです。


 「グ、今のはなんだ。う、俺は、どうなった?」


 ギークの声が、なんだか何時もと違って聞こえる。

 耳鳴りがしているようだ。


 「いッツ、、、何かに貫かれた? ような気が、したんだが。。。」


 いつもの甲高いキーキーな声ではなく、もう少し人間っぽいアクセント。

 そんな風に聞こえる。おかしなこともあるものだ。


 ややふらつきながら、ギークが立ち上がる。

 視点の位置が、いつもより少し高い気がする。気のせいか?


 「おい、えーと、あれ? 名前なんだっけ、オイいつも煩い道案内!」


 おいこら誰の事だそれは。


 「何が起きたか、説明しろ」


 (ミイなの! 僕の名前はミイ! 心の妖精様と呼ぶの!!)


 「そうか道案内(ミイ)、何が起きた」


 誰がルビ付けろと。

 首をキュッとしてやりたい。僕に両腕が無いのが惜しまれる。両腕どころではなく物理的なものは何もないわけだが。


 あ、大分二日酔いな感じが落ち着いたかな。

 しかしなんだこの違和感。


 (ギーク、なの?)


 「お前が名付けたんだろうが」


 (こ、これはおかしいの! ギークが、ギークが喋っているの?!)


 どうなっているのか。

 驚きのあまり、吐き気とかそういったものが吹っ飛んだ。


 (ああ、わかったの。これは夢なの。もしか死後の世界なの! あれ、でもそうするとなんでミアじゃなくてギーク(こいつ)が出てくるの? おかしいの。チェンジ希望なの)


 「相変わらず、話にならない奴だ。しかし思い出せん。何かに、刺されたのか?」


 やばい、ギークが何やら考え込んでいる。信じがたい。

 こいつにそんな高度な行動がとれるはずがない、わかった偽物だな?!


 パニクる僕。

 いやだって、考えてみてもくださいよ。

 食欲の権化でもう喰うことと寝ること以外、何もなかったのがギークですよ。


 それが何? おかしいよね納得できない。

 え、ごめん何、謝ればいいの? え、ごめんなさい?


 「ぬ、ナンダト? ない!? どういうことだ!」


 ギークは、掌で全身の各所を触って、異常がないかを確認していた。

 額に手を当てた後、改めて何度かその場所に触れた後に、騒ぎ出した。


 ついてなかったらしい。

 可哀想に。強く生きろ。大丈夫だミアにもなかった。


 「(ツノ)だ! 俺の(ツノ)がない!! 何故だ!?」


 下じゃなくて上だったらしい。

 ごめんなさい。

[INFO] ギークは、血染熊(ブラッディベア)を摂食しました。

[INFO] 永劫の飢餓により、摂食物は魔素に変換されました。空腹状態は維持されます。

[INFO] ギークは、レベルが上がった!

[INFO] ギークは、レベルが上がった!

[INFO] ギークは、レベルが上がった!

[INFO] ギークは、血染熊(ブラッディベア)を摂食しました。

[INFO] 永劫の飢餓により、摂食物は魔素に変換されました。空腹状態は維持されます。

[INFO] ギークは、レベルが上がった!

[INFO] ギークは、レベルが上がった!

[INFO] ギークは、血染熊(ブラッディベア)を摂食しました。

[INFO] 永劫の飢餓により、摂食物は魔素に変換されました。空腹状態は維持されます。

[INFO] ギークは、レベルが上がった!

[INFO] ギークは、血染熊(ブラッディベア)を摂食しました。

[INFO] 永劫の飢餓により、摂食物は魔素に変換されました。空腹状態は維持されます。

[INFO] ギークは、レベルが上がった!

[INFO] ギークは、レベルが上がった!

[INFO] ギークは、血染熊(ブラッディベア)を摂食しました。

[INFO] 永劫の飢餓により、摂食物は魔素に変換されました。空腹状態は維持されます。

[INFO] ギークは、レベルが上がった!

[INFO] ギークは、血染熊(ブラッディベア)を摂食しました。

[INFO] 永劫の飢餓により、摂食物は魔素に変換されました。空腹状態は維持されます。

[INFO] ギークは、レベルが上がった!

[INFO] ギークは、血染熊(ブラッディベア)を摂食しました。

[INFO] 永劫の飢餓により、摂食物は魔素に変換されました。空腹状態は維持されます。

[INFO] ギークは、レベルが上がった!

[INFO] ギークは、血染熊(ブラッディベア)を摂食しました。

[INFO] 永劫の飢餓により、摂食物は魔素に変換されました。空腹状態は維持されます。

[INFO] ギークは、レベルが上がった!

[INFO] ギークは、ランクが上がった!

[WARN] ギークは、外敵からの攻撃を受けています!

[WARN] ギークは、死亡しました!

[INFO] ギフト「不死の蛇」により、自己治癒は一定時間処理を継続します。

[INFO] ギークの、蘇生を試みます。

[INFO] 転生条件を、満たしました。

[INFO] ギークの、種族が小鬼から(オーガ)に変更されました。

[INFO] ギークに、現在の種族特性が継承されます。

[INFO] ギークは、種族特性「忍耐の限界」を獲得しました。

[INFO] ギークは、蘇生しました。

[INFO] ギフト「地図」は、レベルが上がった!

[INFO] ギフト「地図」は、Lv2になりました。視点切替機能が解放されます。マーキング可能数が追加されます。

[INFO] 現在の状態を表示します。


 ギーク

  小鬼→(オーガ) D+ランク→C-ランク Lv2→Lv1 空腹(忍耐)

 【ギフト】

  不死の蛇 Lv2

  唆すもの Lv--

  地図 Lv1→Lv2

  <---ロック--->

  <---ロック--->

  <---ロック--->

  <---ロック--->

  <---ロック--->

 【種族特性】

  永劫の飢餓(継承元:餓鬼)

  暗視(継承元:小鬼)

  忍耐の限界 (New!)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ