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アルヌスの旭日旗  作者: 神倉 棐
第2章 首都へ
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首都 エル・ノアニール

まだ地図は要らんね?

ギルム辺境伯領を出発して2日と半日ほどしてようやく大空達を乗せた馬車と特地偵察隊各車両はこの国、永久中立都市群ノアニール・マグナ首都、『エル・ノアニール』へと辿り着いた。

実のところ、道無き道を突き進みどこにも立ち止まらずに高駆動車をアリサ達の様に飛ばし続ければこれの半分以下の所要時間で済んだのだが、馬車と護衛の騎士を連れて途中にある街々に立ち寄り続け(街に外貨を落とす為)貴族同士のお付き合い(結構大切な腹の化かし合い兼根回し)をしていれば結局これだけの時間がかかったのである。


「ほぉ…………、中々1国の首都だけあって大きいし綺麗だな」

「確かに、異国情緒っていうか異世界情緒っていうか、現代日本とは違うって感じが凄くするな」


当たり前である。ここはまさしく異世界なのだから、

長年首都たるこの都市を護ってきた城壁は最低限の整備や手入れは行われている様で日光を受けて白く輝いている。広大な壁に囲まれたその中には大小様々な建造物が見え中央付近に巨大な城が高過ぎない程度に鎮座している。

この機会にとクロノはノアニール・マグナ首都、エル・ノアニールの説明を始めた。


「首都構造は北側が一般区、西側が商業区、東側が工房区で南側が貴族区で中央部が行政区です。我々は北側の北門を通り一般区から入ります。行政区には外務省や財務省、法務省等各機関があり中央部にある王城が貴族議会院、衆議院議会院の両議会場及び宰相府となっています」

「衆議院議会院?」


貴族院や宰相府等は予想していたがその中に一風変わった語句に大空は説明していたシリウス辺境伯、もといクロノに聞き返す。


「はい、我が国や極東にある旭東帝国以外の他国にはありませんが貴族院などとは違い貴族が議会を行うのではなく、各都市市民の『普通選挙』により選出された衆議院議員により議決される議会です」

「……『普通選挙』か、軍事面は中世、政治面は近世と現代の混ざり合った感じ……」

「歪だな、まるで『地球』の知識を中途半端に再現したみたいな感じだ。もしかした過去に俺達みたいな『異世界人』が紛れ込んだのかもしれない」

「もっと気になるのは極東にある『旭東帝国』の方だよ。……なんかここが1番違和感がある、いや、違和感というより親近感かな?」


『普通選挙』と言う語句やそれまでに聞いていた極東の果てにある『旭東帝国』の特徴からどうも日本っぽい雰囲気というかがしてしまう。それに大空も神木も気になって仕方なかった。


「旭東帝国にご興味がおありですか?」

「ええ、はい。少し」

「そうですか、我が国は旭東帝国と友好、通商、軍事三面の同盟を結んでおり現国王陛下は旭東帝国皇族の王妃様とご結婚。息女、息子の2人の子がおられます。……」

「?、なるほど……」


説明の最後の方でクロノが何故か複雑そうな顔を一瞬するがすぐ顔は元に戻る。だから大空はあまり気にしなかった。


「話は変わりますが、これからの話をさせて頂きます。まず我々はこのまま王城には向かいません」

「何故です?」

「普通ならこのまま王城に向かい謁見する事もできたでしょうが、今回は特別です。一個人ならともかく、辺境の都市ギルムを救った異世界の軍隊の指揮官2人をもてなすのですから対面的にも色々準備があるのです。……そのおかげで我々は助かっているのですが」


そう言ってクロノは苦笑いを零す。確かに、議会議員に対する根回しはアリサがしているがそれには時間が欲しい。1分、1秒でも時間があれば助かるのは事実だった。


「続けます。これから私達はツルッペルン女伯、シャルルの館に向かいます。位置的には貴族区南西部比較的に王城とも近く商業区からも近い位置ですね」

「?、何故シャルルさんの?」

「話し合いの結果です。それに交通の便も商業区に近い為クロノの館よりは良いのです」


シャルルはそう言って手に取っていた最後の1枚の書類を鞄に片付ける。彼女曰く、屋敷の大きさや構造はどんな貴族達も同じだが立地条件や細部は異なり、今回はシャルルの方の屋敷の方かクロノの屋敷と比べて利便性が高かったらしい。なお、基本常駐している領の館より偶にしか来ない首都の屋敷の方が規模も維持費も上だというのだから驚きだ。が、2人からすると……


面子メンツも大事だがこの無駄金は気に入らない」

「立地条件は良くても使わなきゃ宝の持ち腐れよ」


と、余り肯定的ではなく否定的で両者とも『勿体無い』との事。貴族には珍しいかなりシビアに考えられるクロノとシャルルだった。


閑話休題それはさておき


「屋敷に着いてからはツバサ大尉とレイイチ中尉には基本自由にしていただいて構いませんが、先に礼儀作法マナーについて確認させて頂きます。お2人共問題無いと思いますが万が一の為に」

「もちろんでしょうね、流石に王侯貴族と正式な場で会うのですから問題無いかしっかり確認して頂かないと不安ですよ」

「確かにな、上司上官に対する礼は身に沁みてるから問題ないが流石に王侯貴族相手だとな……」

「ははは……、ですがお2人なら絶対問題ないのを確信できますよ」

「そうかねぇ?」

「ええ、私もそう思います」

「シャルルさんまでもですか」


大空と神木は少し不安になるがそれをクロノとシャルルはあっさりと否定する。2人からすれば日本人である大空と神木の礼儀作法のレベルの高さは十二分するほど高いのだ。あとは儀式用の拝礼の仕方や作法を少し習得するだけで良かったのである。


「そう言えば自衛隊の方々は階級に関わらず全員が礼儀正しいですね」

「そうですね。確かに、お2人の部下の方々も私達の領兵に対してもかなり礼儀正しかったですね」

「?、そうでしょうか?これが我々自衛隊というか日本人の『普通』なのですがね」

「まあなぁ……、でも米軍とかと比べたら礼儀正しいっていうか『丁寧』なんじゃないか?」

「う〜ん、アメリカの軍人さんとは会った事がないからわからないな……。まあ、クロノとシャルルさんにはその比較がなんなのかはわからないだろうけど」


自衛隊に限らず日本人は基本的にどんな相手にも礼儀正しいと言われる。これは日本の国民性からからきているもので当然そうでない者も多々いるものの大半がそうであり、その理由は?と言われたらこれは諸説あるが個人的にはやはり日本人は無意識に相手に気を回し過ぎるからである俺は思う。


「まあ、礼儀正しいのは悪い事じゃないからいいか」

「……大雑把だな、まあ確かにそうだが……」

「「あはははは……」」


4人が苦笑いを零していると馬車が止まる。複数の足音と御者が誰かと話している声が聞こえてくるので多分城門に着いたのだろう。

しばらくして門が開く音がする。馬車は再び動き出した。大空は窓から首都の街並みを眺める。入ったのは北門のある一般区なので、今見えるのは煉瓦と漆喰で造られた家や露店が大半で人種性別関わらず沢山の人が通りを歩いていた。


「かなり賑わってるんだな……」

「はい、ここは一般区で主に居住区でもありますから首都に住む大半の国民がここに住んでいますのでそれに伴い主に食料品等を扱う店舗が集まってもいますからね。商業区程ではありませんがここもかなり人が集まります」

「へぇ〜、……ん?」


その時、大空は少し違和感を感じた。


これは……『見られて』いる?


「?、どうしましたツバサ大尉?」

「どうした大空?」

「ん?あ、いや。なんでもない」


突然何かに反応した大空の様子にクロノと神木は不思議そうに尋ねる。大空は「何でもない」と話をずらした。


さっきの違和感は一体なんだっただろう?視線っていう感じとは少し違ったあれは……?



◆◇◆◇◆◇◆◇◆



首都、某所


「……あ、気付かれた?ん〜ちょっと違うかな……、どちからというと気付いたと言うよりは勘なのかなぁ〜?」


黒い仮面を着け黒いマントに身を包んだ存在ソレがそう呟く。首を傾げた際に揺れた髪は珍しい桃色であった。


「……でも聞いてた噂より普通みたいだけどどうなんだろう?魔法がない世界から来たみたいだけど普通なら私の『遠視魔法』に気付かないよね」


黒仮面の独り言は続く。


「よしっそうだ!」


おもむろに黒仮面は椅子から立ち上がり手を叩く。近くにあった紙とペンを手に取ると何かを書き始めた。


「ふふふっ、やっぱり直接会った方が分かりやすいよね?」


黒仮面は手紙をしたためる。やけにご機嫌な黒仮面にはヒトにはないはずの黒いトゲ付きの尾がユラユラとご機嫌に揺れていた。



さて、黒仮面さんは何者でしょうね?

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