ぷろろーぐ
こんにちは!『ざきみや。』です。
初の投稿作品になるので、拙い文ですが、楽しんで読んでくれたら良いなと思います。
今回は学園内というよりも、部活内の話しを取り上げてみました。
共感出来る部分や、それはないないと思う部分などそれぞれあると思いますが、かなりオーバーに書いているので笑って流してくれると嬉しいです。
それでは!
授業が終了すると同時に、終わりの挨拶をするよりも早く、あらかじめ授業中に支度をしていたカバンと共に教室を抜け出した。
入学式がつい昨日行われたばかりにも関わらず、こんな目立つ行為をしてしまったら学年の先生達に目を付けられてしまうのは容易に想像がつくが、今はそれどころではない。
生死がかかっているのである。
案の定、教室から自分に向けての怒号が飛んでくる。
しかし、そんなことは気にせず走り続けた。
廊下を、階段を、そして校舎を出る。
目指すは坂の下の正門。
今日は、授業初日だったのでお昼に終わった。
正門の扉は、人通りが多くなる朝の登校時間と、午後の放課後の下校時間である。
イレギュラーな時間割であっても、文化祭などの一大イベントが無い限り、正門の扉はこの二つの時間しか開いていないので、現在通り抜けることが出来る場所は両サイドの人一人分の幅の狭い道だけだった。
ここは緑山学園と呼ばれる中学•高校と一貫となっている学校であり、県内で有数の進学校である。
この学校は、山を一つ開削して出来ているので敷地はかなり広く、校舎も多く、坂の上にも下にも校舎はいくつかあった。
今では共学として知られているが、昔は男子のみで全寮制であった。
当時の寮は理事長の意向でそのまま残っており、現在は色々な部活が練習場所や部室として使っている。
山の向こうにも住んでいる人がいるので、学校が開いていない時間や時期でも一般人が通り抜け出来るように、正門の両端に道が設けられているのだ。
もちろん、二十四時間警備員が警備をしてくれている。
「……っは、後もう少しっ…!」
手を伸ばせば正門の扉に届くほどの距離。
ここまで来れば大丈…
「よぉ、久しぶりだな。ったく、こんなところで何をしてるんだ?」
サァっと全身の血の気が引いていく。
逃げたくても、自分の方にめり込むほど食い込んだ相手の五本の指が逃げることを許さない。
「…あはは、お久しぶりですねぇ。それはこっちのセリフですよ。何でこんな早くにこんな場所に居るんですか?」
渇いた喉が張り付き、声が掠れ上擦る。
「残念だったな。さっきまでの授業は自習で、しかも先生が来なかったんだ。んで、今日は俺の学年も午前授業だ。なぜなら…」
体を反転させられ、嫌でも向き合う形を取らされる。
嗚呼、終わった。
相手の表情は、ずっと目を付けていた獲物を得た肉食動物のようだった。
「…お前が待ちに待った、お前のだぁい好きな『クラブ勧誘期間』だからだよ。」