四話
学校に着き、2―10の下駄箱を見ると、ほとんどの人がもう登校していた。その光景を、俺はほほえましく思いながら見る。やっぱり、初日だからってはしゃいでいたんだろう。そういうことを思いながら、俺は教室へと向かう・・・アレ、なんか既視感。
・・・あれ、よく考えれば、来てないの俺だけじゃね?
「神置君?明日の朝、みんなで集まって早めに自己紹介を済ませておきましょうと私は神託が終わった後に言いましたよねぇ?私の話を聞いていなかったのですか?ウザイです。蹴っても良いですか?」
「え、俺それ異端審議会に追いかけられてたから知らない
ヴァゴン!!!!
と、昨日と類似した音が響く。馬鹿か、俺!何がほほえましいんだよ!考えることをしろよ!
横で、ドMの坂本君が鼻息を荒くしながらこちらを見つめている。きもい。
「はぁ・・・。神置くんが聞いていなかったので、もう一度やり直し・・・いや、それにしては罰が軽いですね。」
と華がほざき、壁にもたれている俺にボディブローを喰らわせる。ねじりを加えているのか、俺の体は横に一回転した。・・・ねぇ、知ってる?華。俺、昨日から今日にかけて三時間弱、異端審議会の拷問をうけつづけてたんだよ・・・?
そんな、意識が朦朧とした状態で二度目の自己紹介を聞く俺。男女比は男子四十一人に女子五十九人である。
「さて、後は先公が来るのを待つばかりか・・・。」
華主催による生徒紹介も終わりを告げ、後は十分ばかりの自由時間となった。・・・普通、こういうときには仲間や知人を作ろうとする奴がいるが、ここは異端審議会という強固な繋がりがあるため、ほとんどの奴が顔見知りなので、そんな奴らはいない。ここには主に3つグループがあり、ひとつは女子連による解放軍(主に女子)、異端審議会(主に男子)、そして駆逐対象(リア充達の集い)(男子と女子)がある。俺は頭といい顔といいルックスといい99・999%リア充グループに入れると思っていたのだが、後の0・001%のせいで異端審議会に甘んじて入ってしまった。・・・まぁ、でもそれぞれのグループで雑談を楽しむ俺。・・・いや、これはやっぱり高校の醍醐味だね!
突然、ヴァゴンという謎の音が響いた。
そして、教室の扉がいきなり炎上する。なんだ、何が起きているんだ。そして、灰になったドアの後ろから聞こえてくる謎の声。
「灰は灰に、塵は塵に(Ash to Ash/Dust to Dust)。流れ出る(ルーズ)黄金は(オヴ)至高たり、漆黒き(ラスト)焔に(イン)古の契約を象る(フェラード)べし(オン)、終わりを告げる時の住民よ、(ラストギャラホルン)、今持つ刻まれし牌を時に流し(バイオハザード)、唯の塔に言い給え(スピークエンジェルタウン) 神戮(Extinction)」
「こ、こいつは・・・・・・!」
誰かが、こいつの事をこう呼んだ。
・・・・・・・・・厨二病教師、初出 観久と。
「ははははははは!!!我が高尚なる教えを拝聴することのできる幸運な我が下僕よ!我こそは、第十二代使者神指杖の守り人、初代神秘数秘理術士である、崇めよ、讃えよ、我を肯定せよ!此処の規則は我であるぞ!」
いや、もうそれ1日前からわかっていたんだけどね?なんか、この学校にLD及びSP禁止条約を無視して呪文能力をバカスカ撃っているアホな教師がいるってこと。で、ソイツがなんか俺らのクラスの担任なんだってこと。・・・うん。
あ、注意しておくけど、反抗期と厨二病はまったく違うもの。イエス・キリストとジャ●アン君くらい違う。
具体的に言うと、
「親父の体臭がついたクセェ風呂なんて入りたくねぇぜ!」と言うのが反抗期で、
「聖なる血液を共有せし一族の中で、祓い清められた穢れなき聖水を最も先に浴びる者は我であるよ!ハッハハハハハハァァァァ!!!」とか言ってちゃっかり一番風呂を取るのが厨二病である。
ギャアァァァ・・・。久遠に培われし知識が俺の脳内を寄生して行く・・・。今度、医者に診てもらおう。
すると、久遠が突然机に手をたたきつけた。クラス中の視線が、初出から久遠に取って代わる。
「原始の咎が問う。吾今直ちに悪魔と一つになるを誰か妨げ得るべき(ウァヌ・ヒェルテ・ミツヒ・ダヌ・イヒス・ニヒト・ホイテ・トイ)であり、(フェル)」
すると初出、この久遠の戯言にニヤリと嘲笑い、
「短剣の刻印に吾身は悶え戦きぬ・・・(セッセ・シュテムベル・シュレッケン・ゲエド・ドルヒ・マイン・)・・・(ゲバイン)失せ御堂が答える。」
とほざいた。
「ゴミだめにも、中々やる奴がいるじゃないか・・・。原始の咎、オリジンチャージ、覚えておこう。」
といった。うぜぇ。俺らの目に、暗い殺意が宿った。
*
今日は三時間授業だ。一時限目は護身用武器渡し、(なんか、校内にパン一で可憐な少女を連れて、警備員に危害を加えた超弩級変態危険男・危険度sss++が昨日出没したらしい。たいへんだなぁ・・・。)二時限目は、SPの実技指導だった。三次元性ホログラフィック・テレビジョン(要するに3Dテレビの最高バージョン)で発火・念動・覚醒・変化・洗脳・呪文・干渉・未知能力を見た。(使徒能力は貴重すぎるので無し)最初の三つは久遠以外見ていなかったが、変化は人間が動物に化けたり、ナイスバディなお姉さんに化けたりしたし、洗脳はまるでお笑いみたいだったし、呪文はいきなりユニコーンが出現したりしたし、干渉は周りの物が歪にねじくれ、見ごたえがあったし、最後の未知能力はなんと世界三大賢と呼ばれているうちの一人、幻像創士のアランがなんとカメラを隔ててある幻像を見せたしと、中々面白かった。
あ、ある現像というのは「今一番見たい物」で、人によって変わるらしい。(赤面してる奴もいた)俺は、異端審議会がぼこぼこにされている現像だった。後、見終わってから
「しまった!洗脳とっておくんだった!おい、確かお前洗脳だったよな?じゃあ、10万円でも100万円でもやるから頼む、栞羽か秋音の体の所有権を俺に渡してくれ!!もしくはおい、机代!変化能力で秋音か栞羽、いやもう羽燕でいいから化けてくれ!そして見せろ!」
「いやに決まってんだろ!体は女でも、心は俺なんだぞ!俺の裸をさらしてんのと俺の心象かわらねぇじゃねぇか!」
「頼む、お前の奴隷になったってもいいから!そうだ、お前がほしがってた俺の(エロ)コレクション全てお前にやるから!」
「んん・・・。心が動いてきたギャァァァァァ!!!!!!!」
秋音に殴られてら。ってかお前ら、本人達の目の前でんな話するなよ・・・。
まぁ、そんなこんなで二時限目の休み時間もすぎて。
三時限目の、SP別SP指導が行われる。
*
体育館に集まり、能力を読み上げていく先生達。
「はーい、発火能力の人はこちらに。」「はーい、念動能力の人はこちらに。」これだけで、1159人の撃ち、千人が減った。
「はーい、覚醒能力の人はこちらに。」「はーい、変化能力の人はこちらに。」これで、159人のうち百人が減った。
「はーい、洗脳能力の人はこちらに。」「はーい、呪文能力の人はこちらに。」これで、59人のうち五十五人がへった。ランクが上になってくるにつれ、先生と生徒の質も上がってくる。だって、見てみろよこの状態。
一人目・・・財善 一番。テストと名のつくものは全てトップで、運動は全国強化選手に選ばれるほど。また親が理事長であり、甘いマスク。ただしソフトS。たまに憂いを帯びた表情を見せることもある。
二人目・・・羽燕 啼。運動は全て全国トップで、成績は財善に次ぐ。スタイルは抜群であるのに物凄い無防備であることは、異端審議会の誰もが認知することである。かなりのSだが、たまにドMになるため、彼女にしたいランキング第二位、スタイルランキング第二位、ツンデレランキング第一位、美人女子ランキング第二位に輝いている。
三人目・・・栞羽 桜。言わずと知れた、超美人。まず優しい、成績はいつも三位、めちゃめちゃスタイルがいい、可愛い、美人、金持ち、人見知り、黒髪のメガネ、本好きと萌えキャラの全要素を確立しているのにもかかわらず、現実世界にいる!彼女は、多分二次元と三次元のドアをミスったのだろう。彼女にしたいランキング第一位、美人女子ランキング第一位、スタイルランキング第一位、優しいランキング第一位、結婚したいランキング第一位と全冠を取っている。・・・か、神だ・・・!
四人目・・・神置 悠真。異端審議会所属。オス。イケ面ランキング第九百九十一位。
・・・・・・・・・。
なんだ、この少女漫画っぽい絵図は・・・!あと、どう考えても俺、噛ませ犬じゃないか!
「ねぇよ・・・。」
そう俺がため息をついていると、栞羽がトテトテと何故か俺のほうにやってきた。後ろを見たけど、財善はいない。俺は、フリーズしかかる頭を抑えた。・・・あ、歩き方がトテトテとか擬音がついている人、初めてみた・・・!
「神置くん、だよね?」
「う、うん・・・そうだけど・・・。」
おいおい、俺、一回栞羽に対して前科起こしてしまったんだけど!あ、やばい、あのときのあれが思い浮かんできて・・・!!
「大丈夫!顔が赤くなっているけど!」
「いやぁ、ちょっと暑いからね。なんでもないよ。」
「大丈夫?・・・。それはそうと、神置くんって何能力なの?」
「いやぁ、何故かわからないけど、・・・使徒能力なんだよね。」
「え!凄い!どんな使徒なの?」
ブスが言うと媚に聞こえるせりふも、美人が言うと最大級の賛辞に聞こえるから不思議だ。・・・じゃなくて、やばい!ここで俺が正直に「幼女の使徒で、出てきたときは裸でした、」なんて言おうものなら栞羽さんに軽蔑される!それだけはなんとしても避けたい!でもうまい答えは思い浮かばない。クソォ、それならばこの世界なんてもう終わればいいのに。そうすれば、俺と栞羽は仲良く並んで一生を終えることができる。そして千年たった未来、ある日俺らの子孫が約束されたあの野原で会うのだ。その丘は小高く盛り上がっており、そこを掘ると俺ら二人の死体が出てくる。それが原因でその二人は宇宙第一次戦争に巻き込まれるが、俺の子孫の機転により見事敵の主将を倒す。そのとき、明らかになるのだ。敵の主将は、その二人の親友、ベスト・インチlクス・マlテイアだったことを。そして世界の果てしない欲望と謎、計画が明らかになり、二人は見えすらしない、はるか強大な敵と戦うことになるのであった。
「君と僕の果てしなき戦い」・原作―神置 悠真 END
「神置くん、神置くん、神置君、神置くん!」
あれ・・・。俺、今何の話していたんだっけ?
「どうしたの、急に。何かうわ言を呟いていたけど・・・。」
「いや・・・。」
やばい!ここで俺が正直に、「君と僕の物語を考えといたのさ。」なんて言おうものなら栞羽さんに軽蔑される!それだけはなんとしても避けたい!でもうまい答えは思い浮かばない。クソォ、それならばこの世界なんてもう終わればいいのに。そうすれば、俺と栞羽は仲良く並んで一生を終えることができる。そして千年たった未来、ある日俺らの子孫が約束されたあの野原~以下略~
「どうしたの?立ちくらみかなぁ?!どうしたの?!顔がまっかっかだけど!」
そういい、自分の額を俺の額にあてる栞羽さ・・・
フリーズ中・・・・・・少しお待ちください・・・。
フリーズ中・・・・・・少しお待ちください・・・。
フリーズ中・・・・・・少しお待ちください・・・。
フリーズ中・・・・・・少しお待ちください・・・。
ちょ、スキンシップやばすぎだろ!唇あと5センチ位だったのに!少しくらい顔を赤めろよ!
あんなことをしたにもかかわらず、ちょこんと首をかしげ、「熱はないけど・・・。」という栞羽。マジで、あれをあいつらの前でやったら・・・。ロウキュピテスの比じゃない拷問が待ち構えているぞ・・・!
ちょっと俺らが濃密過ぎる時間を過ごしていたら、先生が来て、
「すいません、お待たせしました。干渉能力の方、未知能力の方こちらへどうぞ。」
といった。そうすると3人とも向こうに行った。
「ばいばい、体を安静にね!」
そういい、小悪魔栞羽は向こうに行ってしまった。
そして。
「使徒能力の方、こちらへどうぞ。」
呼ばれて振り返ると、そこには学園長である三閥 壱が立っていた。