参話
おねがいします
流石に全裸の少女を抱えた男という図はまずいと思ったので、一応俺の制服(上下)を着せてやった。・・・うん。少女の方は良いんだ。ただし、俺がトランクス一枚なのがまずいというだけであって。
「全裸の少女」+「それを抱えた男」=「着崩れ制服の気絶した少女」+「その脇にいるトランクス一枚の男」という式が成立するから、危険度はたいして変わっていない。
そうして俺は呟いた。
「どうしてこうなった・・・。」
二章
まずは、この謎少女への質問タイム。時間がないのだ。この瞬間にも狂戦士化した異端審議会の連中が俺を殺しに来るかもしれないし、開放軍の連中がおれを殺しに来るかもしれない。
「えーっと、まず君のお名前を聞こうかな?」
「susdcbbgbfucsiasodifuduyg」
「えっと、もう一回言ってくれる?」
「hsahdihfisduifhucsaibfshcaufsdhaiusfiuuygyysusdcbbgbfucsiasodifuduyg」
おいおい、まさかこいつ・・・電波系じゃねぇ・・・よな?
「sdgfauiufdsusdcbbgbfucsiasodifuduygsruycysrあーー、そっか、この言葉じゃだめなのか。・・・私の名前は、gbfucsiasodifuduy・・・ロウキュピテス・クライ。ロウキュピテスでいいよ、よろしくね、主人さん!」
・・・・・・・・・そういえば、どこかの本で読んだことがある。使徒の操る言葉は人間の二次元語とちがい、三次元語で、人間には全く分からないと。
「ぇ・・・じゃあ、お前は俺の・・・」
「ん?」
「俺の、使徒ってワケか・・・。」
「うん。そーゆーこと。」
ちょっとまてよ。こいつが俺の使徒って、やばくないか?ちょっと、光景を想像してみる。
~~~「あぁぁぁ・・・ねみぃなぁ・・・おい、ロウキュピテス、学景校行くぞ。」
「はーーーい。」
「あ、先生。お早うございます。」
「あ、お早う神置く・・・って、その少女はなんだね!」
「いや、これは俺の使徒で」
「主人さーーーん。まだ、眠いよぉ・・・」
「おい、主人ってなんだよ!」
「少女に主人と呼ばせているだってぇ?」
「「「「「もはや同情の余地はないな。」」」」」(まだ、比較的理性を保っている)
「「「「「「「「「「殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺」」」」」」」」」」(狂戦士化しかけている)
「「「「「「「「「■■■■■■■■■■■■■■■■■」」」」」」」」」(狂戦士化)
「オイ、お前らちょっと待てギャアアアアアァァッァァァッァ!!!!!」
「ゴミ箱にでも捨てておけ。」
「・・・・・・・。」(無言の肯定)
ポイッ・・・グシャッ
マントを翻して去る異端審議会の連中~~~ジ・エンド(俺の生命も)
うん、これはまずい。俺は冷や汗をかきながら、ロウキュピテスにさらに質問する。
「年は?」
「わからない。神系世界β―5715では一億歳くらい・・・正確に言えば壱億弐千五百四拾九万八千六百参拾九歳だけど。でも、ここ・・・地球での年は、一時間二十九分三十六・六三八七秒。」
「はぁーー。」
よくそんなん覚えられるなぁ・・・。
まぁ、そんなのはどうでもよくて。
「で、これから一番大事な質問をするぞ。・・・お前の能力はなんなんだ?」
そう。使徒能力、特に神族系の使徒を持っている奴は、ほとんど世界の最高ランクにいる。
曰く、使徒を無限増殖させることができたり。
曰く、LD無しで炎を生み出せたり。
俺は、非紋を持っているから、ロウキュピテスに技を使わせることができない。しかし、使徒は単体でも強力なはずだ。LDをあげなくても、使徒はなにかしらの能力を有し、それを使用する事ができるのだ。
・・・だから、俺TUEEEEEEEEEEEEEEEE的な事も、あるはず!
そう言うと、ロウキュピテスの顔が固まった。
「・・・えぇ、私の名の下に付いている「クライ」という文字は名前ではなく、神族系のどの系列に入っているのかを意味するんだけど、クライ・・・つまり、CRYは暴き涙の傘下にいることを意味しているのね。暴き涙は、LDを司る神だから、その傘下の私もLDを司る神になるの。つまり・・・。」
「ん?」
「私の能力は、相手にLDを渡すこと。一日に100LDずつね。」
「すげぇ!」
あれ?もしかして、念願の俺TUEEEEEEEEEEE系?
「でも・・・。主人さん、そのLDを使えないの。」
「え?なんで?確かにLDはないけれど、それを聖痕に込めたり、できるか知らないけれどLDを凝縮して「魔力弾」として打ち出すことはできるんじゃない?」
「右腕を見たら?」
ロウキュピテスにそういわれ、右腕・・・前腕部分をみる俺。そこには、漆黒の色で、×と大きく書かれていた。
「これが、非紋の証。センス、ダサイでしょう?」
「知らねぇよ・・・。」
そうなのだ。俺は、非紋がある限り体内のLDを外に出すことはできない。何故かというと、前腕部分の非紋でLDがせき止められてしまうからだ。つまり・・・。
「お前、俺に対して全く意味もっていないじゃん!」
あ。少しだけ、大声を出してしまった。・・・それは、例えるならば蚊の音が蝉の音になった程度の変化。普通の人間ならば、全く意に介さない程度の音量。
ただし。 それが、普通の人間ならばの話だ。
狂戦士化した奴らは。
人間ではない。
足音が近づいてくる。
そして俺が目にした者は。
警備員のオッサンだった。
「逃げろロウキュピテス!」
うん、警備員は、異端審議会に比べてマシだと思う人がいるかもしれないけれど、立派な誤解だ。SPによる犯罪が最近多発しており、不審者は即SPによって気絶させられ、スタンガンを撃ち込まれた挙げ句警察に連れてかれる。その事をふまえて考えてみよう。
クエスチョン・パン一の男が少女と喋っています。あなたならどうしますか?
アンサー ・逮捕
するとロウキュピテス、なにを血迷ったか主人であるおれの元を去り、警備員の元へと歩いていった。
「助けてください!あの変態男に犯されそうなんです!」
と、叫びやがった。って、
「おいぃぃぃぃぃぃぃっっぃぃぃ!!!!!」
「たわけたことぬかしやがって、この変態が!」
うん、そう言う反応するよね、普通。俺でもそうするもん。
「世の中の美少女(13歳以下)は全て俺の嫁じゃぁぁぁぁぁぁぁ!」
うん、前言撤回。酷い変態だ。
すると、ロウキュピテスが何故かその変態警備員の首筋をなでた。
「ンフッ!まっとけよ、この変態の処理が終わったら必ず・・・ぇ?」
そして、その変態警備員は前にいきなり一回転して倒れた。
「・・・・・・ぇ?」
「まぁ、特殊な使い方としてこういうこともできるの。」
「・・・どうやったんだ?」
「私が持っているLDを100分の1秒の内に全て渡したの。そうすると、「LD酩酊現象」という物が起きて、この人は気絶したって言うワケ。まぁ、たくさんLDを使用しすぎたときに起こるあの現象と同じようなものだよ。」
「はぁぁぁん。」
「で、逃げる?」
「いや、ちょっと待て。」
俺はそう言い、倒れているオッサンからスタンガンを奪い、そのスタンガンをオッサンの首元に何発か撃ち込んだ。
オッサンは痙攣したけど、そんなのどうでもいい。
オッサンが泡を吹き始めたけど、知ったこっちゃない。
「でもなぁ・・・」
ここから抜けて、帰ろうと思っても寮には異端審議会の連中がいるわけで、そんなところに馬鹿みたいにのこのこと行ったら結果は火を見るより明らかなわけで・・・。入れたとしても、鍵は学校におきっぱだし・・・。
「あ、そうか!マスターキー!」
オッサンのポケットから、マスターキーを取り出す。
これで、鍵の問題は解決した。
それと同時に、又天才的なアイデアが浮かんでしまう。
「そうか、このオッサンの服を着ればいいのか!」
・・・。でも、なぁ・・・。いやだ、なぁぁぁぁ。
でも、パン一というちょっと未来式電波的前衛芸術風な服装は、人目を惹きすぎるし・・・。
「仕方ないか。」
そう言い、仕方なくオッサンの服を着てあげた。そして、寮に戻る。
流石に怪しまれはしたようだが、警備員と関わり合いになりたくなかったようで通してくれた。
ってか、寮の前にマスク(ホッケーマスクや能の面、中世ヨーロッパ的なマスクなど)をつけた男子生徒の連中が三十人程度たむろってんの、凄ぇ威圧感あんのな・・・。
*
「えっと、728・・・浪速ねぇ・・・。これ又覚えやすい番号がきたもんだ。」
マスターキーを使い鍵を開けると、中はまぁまぁ広かった。そして、俺の生活用品が入った段ボールと、・・・なんかイギリス王室御用達の箱のような物が置いてあった。
「・・・誰のだ?」
「あ、それ私のかも。」
「何故俺の部屋に?」
「・・・何でって、そりゃあ生活用品も必要だからね。」
「まぁしょうがない、じゃあちょっと戻ってくれロウキュピテス。俺は着替えるから。」
「え?戻るってどこに?」
「馬鹿、とぼけなくて良いよ、戻れよお前。神界に。」
「え、どうやって?・・・何か勘違いしていない、私は使徒能力によって召還されたんだから、あなたが死ぬまでずっと「この世界」にいないといけないんだよ?」
「は、、、、、、、、、。嘘だろ!おれが爺になって、死期を看取るまでずっと?」
「うん。」
「子供が産まれても?」
「うん。」
「結婚しても?」
「順番が逆っぽいけど、うん。」
「じゃあ、新妻とお前と俺の生活になんのか!」
「・・・それがどうかしたのか分からないけど、うん。」
やばい。これはまじでやばい。なんだ、そのリア充ハーレム的現実!ねたみでマジで異端審議会に殺されるぞ!ってか、何だその王道的展開!
「主人さん、顔がにやけてるよ。」
「まぁ、そんなことはどうでもいいとして、まずロウキュピテス、俺をご主人さんと呼ぶな。殺される。」
思いっきり話を逸らす俺。
「じゃあ、神置さん。」
「他人行儀的すぎだ。」
「じゃあ、UMAとでも呼べばいいの?」
「何でお前に未確認生物呼ばわりされないといけないんだ。」
「悠真。」
「もうちょっと他にないのかよ!」
「ゆーま。」
「・・・まぁ、それで良いか。」
「じゃあ、ちょっとだけでてって。着替えるから。」
「・・・俺が出ていくの??」
「うん。」
それ、俺の台詞なんだけど!早く、この変態警備員の服を脱ぎたいんだし!
っていうか、
「いや、もう充分衝撃的なこと見たから。別に良いだろ?」
「・・・ぇ?なんかあったけ?・・・あ、ごめん、私、神界からこの世界にきて一時間くらい、記憶がないの。」
へぇ・・・。じゃああれか、あの「俺の人生の中で一番衝撃だったこと」グランプリに輝いたアレを、当事者のこいつは知らないのか。
「え!まさか、無抵抗な私を裸にさせたの・・・。キャァァァ「誤解だ、誤解だ、マジで!俺何にもしてない!!!」」
アレは、俺らの心の中にしまっとこう。
「じゃあ、俺は外にでますんで・・・。」
そういい、俺はドアを開けて・・・。
異端審議会にとらわれた。・・・まぁ、そうだよね。誰も居ないはずの俺の部屋から声がひびいたら、流石にオカシイ頭の異端審議会でも気付くよね。
~~~~~~~~~~その夜は、もう思い出したくもないね、ウン。~~~~~~~~~~
*
何とか俺は寮の自分の部屋に帰れたようで、(記憶がない)玄関で俺は寝ていた。おき、視線を上げるとロウキュピテスは元々設置されていたソファに寝ころんで寝ていた。俺はロウキュピテスを起こしてこの俺の悲惨な体を見せないよう、学校の用意をそそくさとして出ていった。
ありがとうございました