表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

『FDKの交友』

腐男子である作者の体験などを混ぜて暇つぶしに書きました。

よかったらご覧ください。

腐女子という存在がこの世にはある。男同士の恋愛、俗にBLと呼ばれる書籍、アニメ、ゲームを好む女子のことを言う。だが、しかし、その陰に存在する数の少なさゆえにあまり目立つことのない存在がある。腐女子から派生したBLを好む男子『腐男子』だ。

これは、そんな腐男子でありながら男子高校生でもある腐男子高校生(FDK)の特徴と日常を書き連ねていく物語である。



「、、、、、ない」

書店のとあるコーナーで周囲を気にしたように見回しながら青年はつぶやいた。傍から見れば万引き犯と見間違えられそうなほど怪しいことこの上ない。

「しかたないか、、、。出版したばっかだもんな、、、」

青年が現在いるのは少女マンガコーナーの隣、男性同士の恋愛を描いた漫画。通称BLのコーナーである。

   『FDKの常識1』 BL漫画コーナーはなぜか、本屋の入り口から見て左奥にあることが多い。

そして、青年が探しているのは角川書店発行の『世界一初恋~小野寺律の場合~』の九巻だ。発売日が今日ということもあって、少年は勇んで近くの本屋に足を運んだのだが、目当ての本はそこにはなかった。

青年は目には見えないが、内心少しがっかりしながら本屋を後にした。九月も終わりに近いのにいまだに寒さを感じさせず、むしろ雲ひとつもない晴天の空が広がっている。そして、その空に浮かぶ太陽はこれでもかというほどにさんさんと光を青年の体に浴びせかけ、その熱は青年の体を焼いていた。

青年は、駐輪所に停めていた自転車の鍵を開けサドルにまたがると、地面を蹴って家路へとついた。


「ただいま」

青年は家に入るとき玄関を見て、家に誰もいないことを確認しつつも習慣で無意識的に帰宅時の返事を言った。もちろん、それに返事は返ってこなかった。

青年は二階に上がり自分の部屋に入ると真っ先に机に置いてあるノートパソコンを開いて起動させた。

数秒で出てきたアカウント選択画面でエンターキーで自分のアカウントを選択する。打ちなれたパスワードをリズムよく打つと、数秒でホーム画面が現れると、Google Chromeでブックマークしてあるツイッターのタブを追加する。

パソコンのパスワードを打つときよりも慣れた手つきでパスワードを入力すると自分のアカウントのホーム画面が表示された。青年はキーボードの『n』を押して、新いツイートを書き込んでいった。

『セカコイの新刊なかったー。すっげーショック、、、。』

短く書き込んでそのままツイートする。

「これでよし」

ツイッターのタブをそのままにして青年は別のタブを開いてユーチューブで動画を見始めた。

青年は何も、何気ない日常を報告するためだけにツイートをしたのではない。ツイッターには自分と同じ趣味を持った人間が少なからずいる。つまり、青年と同じ趣味を持って、なおかつ青年と同じく今日世界一初恋を買おうと書店に出向いた人間がいるとしたら、、、。

お、きた、、、。

二、三分間動画を見ていると、ツイッターのタブに三という数字が表示されていた。これは新着のツイートが来たという知らせだ。青年は動画を止め、ツイッターのタブを再度開き、新着ツイートを見る。

『私も新刊狙ってます!早く読みたいなー』

『○○市の××書店では売ってましたよ!まだ、在庫があるかも、、、!』

『アニメイト行けばあるんじゃね?(笑)』

同じ目的がある人間がいるなら、その人に何気なく話題を振れば何か情報をくれるだろう。それが、青年の考えだった。結果青年は隣町に売っているという情報を手に入れ、口元に笑みを浮かべた。


自転車を飛ばして、隣町の書店で手に入れた新刊を読みながら青年はご満悦だった。そのとき、机の上に置いておいた青年の携帯が着メロと共に振動し始めた。画面を確認すると、それは青年の親友と言える男からだった。

「もしもし」

『よう。(しゅん)今何してる?』

「セカコイの新刊手に入れたから早速読んでるよ」

『まじか。カラオケ誘おうと思ったんだけど、やっぱり今からお前の家行っていい?』

「おう」

短いやり取りの後、通話は終了した。

俊は携帯を机の上に放り出して、本の続きを読み始める。と、そこで、家のチャイムが鳴った。一瞬無視しようかとも考えたが、本を閉じ、俊は玄関へと向かった。

恐らく宅配便だろうなと思いながら、ドアの覗き穴を覗くとそこには彼の親友である布田智博(ふだ ともひろ)の姿があった。恐らく、電話しながら自分の家に向かっていたのだろう。そう考えながら俊はドアを解錠した。

「よー、俊」

「うぃっす」

挨拶もそこそこに、智博は勝手知ったる我が家のように家に上がりこみ、家主である俊より先に階段を上がり俊の部屋に乗り込んだ。

「おー。相変わらず俊の部屋は品揃えが良いなぁ」

智博は部屋に入ると真っ先に本棚へと足を運んだ。俊がこれまでに集めたBL本の数々は智博にとっては見てて面白いものなのだろう。

俊はローテーブルと座布団を二枚出し、智博に読み途中だった九巻を貸した。

「おぉ!特装版!、、、、、、っ!ていうことはつまり、、、」

表紙をしばらく眺めていた智博が期待のまなざしを向けてくる。俊はそれを気持ちの良いものに感じながら、隠していた特装版限定小冊子を取り出した。

「じゃーん!」

「キターーー!」

おやつを目の前でちらつかされた犬のようにテンションを上げた智博に小冊子を手渡す。智博は目次を確認すると目を丸くした。

「これって、、、」

「そ、映画版世界一初恋~横澤隆史の場合~の同時上映だったやつの漫画版」

「うおーーー!」

俊が漫画を読み途中だったのも小冊子に夢中になっていたというのが原因といえるだろう。

ここまでの会話を見て察する方もいるだろう。彼らは『腐男子』だ。腐女子から派生した珍しい種族だ。お互いを腐男子だと知っている彼らは時に、どちらかの家でBLを一緒に嗜んでいる。

「でもありがたいよなぁ。俺たちって映画なんて見にいけないじゃん」

「だよなぁ」

   『FDKの常識2』 たとえ、原作のファンであってもBL映画を見に行く勇気なんてさらさらない。

「あ、そういえばさ。お前ってお兄さん系男子が好きだったよな?」

小冊子に目を通しながら智博は切り出した。

「ん?あぁ、そうだけど。お兄さんみたいな人って否応なくかっこいいじゃん。優しいし」

「でも、現実の兄貴なんてお前が思ってるようなもんじゃねぇぞ。俺の兄貴なんてすっげー性格悪いし」

顔をしかめながら智博は言った。

「えーでも、あの人俺には結構優しいけど。前、頭撫でてくれたし」

「そこ重要か?ま、いいや。それでさ、この前お前が好きそうな兄弟物のBL見つけたから持ってきてやった」

智博はショルダーバックの中をあさって一冊の漫画が入った未来屋書店の黒いビニール袋を取り出した。

「おー!サンキュー」

智博からビニール袋を受け取り中身を取り出す。表紙には水彩画のようなタッチで爽やかな絵柄の男子二人が描かれていた。裏に書かれている内容紹介を読んで、俊は自分の好みのタイプの本だと経験から理解した。

俊はページをめくりだして、本の世界に身を投じようとした。

「それにしても、お前の本棚って軽いBLしかないよなー。時にはほら、、、すっげーエロいのとか読んでみたくなんねぇの?『ピアス』シリーズとかさ」

「うーん。『ピアス』シリーズは前に立ち読みしたけどストーリーよりもエロが優先されててあんまあわねぇんだよな。だから三冊ぐらいしか持ってねぇ」

俊は本の世界から出ることなく、智博の質問に答える。

「あれ?じゃあそれどこにあんの?見当たんねぇけど」

「あほ。あんなにエロいと親に見つかると気まずいだろ。だから隠してる。エロ系見たかったら机の下の引き出しの一番下に入ってるよ」

「またべたなところに隠したな」

智博は立ち上がって勉強机に向かった。

「へー。こっちも結構あんだな。それにしてもきっちり整理されてんなぁ。うわ!これ作者の名前で五十音順とかお前書店員かよ!」

「あぁ?整理なんてしてるわけねぇだろ。普通に積み上げ、、、」

そこまで答えたところで、俊の本の世界が急激に壊れていく。そして、現実へと引き戻される。

慌てて、引き出しに駆け寄ると、普段は横積みでてきとうにしまっておいたはずのそれはブックエンドによって仕切られ、智博の言ったとおりきれいに五十音順となっていた。

「あ、、、、あぁ、、、、」

「これは、、、、、うん、、、」

見る見る青くなっていく俺を見て智博が状況を察する。

「母さん、、、」

「ご愁傷様です、、、」

今度はもっとうまく隠そう、、、。そう、ばれないぐらいには、、、うまく、、、。

半分ほど開いたカーテンの隙間から窓越しに見えた空の青はとても澄み渡っていた、、、。

   『FDKの常識3』 家族に過激系BLを見られたときの絶望感プライスレス、、、。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ