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俺たちの冒険はこれからだ!(五三周目)  作者: 厨二×武力=はた迷惑
第一章
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第一一話:「いけませんでしたか?」

「そういえば、今日は騒がしいようですけど、何かあったんですか?」

「いつも通りだと思うけど……。でも確かに、少しうるさいわね」


 僕が尋ねると、彼女は依頼を確認しながら応える。


「何でも、昨日あるパーティが大猪の討伐に向かったんだけど、『既に退治されていた』って言って帰ってきたのよね」


 君にはまだ早い事だけどね、と彼女は笑いながら言う。


「私も現物を見た訳じゃないから、詳しい事は分からないんだけど……」


 と前置きすると、話し始めた。


「相当強力な火魔法でやられてたみたいよ。彼らの中に、それほどに強大な火魔法を扱える魔術師はいなかったから、彼らがやった訳じゃないのは決定的ね」

「へぇ、そうなんですか……」


 嫌な予感がする。


「彼らの読みでは、かなり高ランクの魔術師の仕業らしいわね———」

「あの、ちょっといいですか?」


 僕は、彼女の話を途中で遮る。

 心当たりがありすぎる。


「———それで、今は誰がやったかで手柄の取り合いになってるんだけど……。うん? 何かしら?」

「ちょっと待っててもらっていいですか?」


 と言うと、僕は彼女の返事を待たずに、ギルドの外に出た。

 人目につかない場所に来ると、宙を叩いてひびを入れ、中から()()()()を取り出す。

 別に隠れる必要は無いのだが、何となくそうしてしまうのだ。

 ()()は、僕では抱えきれないので、引きずって持って行く事にする。



 ギルドに戻り、扉を開くと、再び視線が集まる。

 ただし、今回は僕への視線ではない。

 僕が引きずっている()()への視線だ。

 僕は、真っ直ぐ受付に向かって歩いて行く。

 彼女は、頭に?マークを浮かべながら、近づいてくる僕の方を見ている。

 どうやら、僕の陰になって、よく見えないようだ。

 僕は、カウンターの前まで辿り着くと、


「もしかして、大猪ってこれですか?」


 と、持っていた()()———猪の頭をカウンターに乗せる。

 ピキリ、と、彼女の笑顔が引きつった。


「……えと、これをどこで?」

「昨日薬草採取に行った時に、偶然遭遇したので狩っておいたんです。いけませんでしたか?」

「い、いえ、そうじゃないけど……」


 彼女はそう言って、少し考えた後、


「ちょ、ちょっと待っててね」


 と言って、カウンターの奥へと引っ込んだ。

 恐らく、マスターか副マスターでも呼びに行ったのだろう。

 僕は手持ち無沙汰になってしまった。

 昨日の騒ぎを殆どの人が知っているのだろう、僕に話しかけてくる人はいなかった。

 少しして、彼女は副マスターと戻ってきた。

 マスターは不在だろうか。

 僕にとってはその方がありがたいが。

 あの人は少し苦手だ。

 彼は、僕と猪の頭を交互に見やると、僕の方に近づいてきて、


「これをやったのがお前というのは本当か?」


 と尋ねてきた。


「そうですけど……」


 と肯定すると、


「どうやってやった?」


 と聞いてきた。


「普通に魔法で……」

「まぁ、それはそうだろうな。じゃあもう一つ質問だ」


 と言うと、彼は更に僕に近づき、一段と低い声音でこう尋ねた。


「何でしょう?」

「お前はあれを()()()()()()()()()()()?」


 ……しまった。

 迂闊だった。

 『物質を、入れた時の状態のまま保存する』というあの空間の仕様が、今回は裏目に出た。

 だが、驚くのはそこではない。

 真に驚くべきは、彼のその慧眼さだ。

 普通は、僕がこれを討伐したという事に気を取られて、そこまでは頭が回らない。

 現に、彼以外の誰一人として、この事に疑問を持った者はいなかった。

 僕が返答に窮していると、


「まぁいい。答えたくない事の一つや二つは、誰にでもあるだろうからな」


 と言ってくれた。

 僕は、心の中で安堵の息を吐いた。


「だが、一応マスターに報告はさせてもらう。お前も付いて来い」


 と言って、彼は猪の頭を片手で担ぎ、カウンターの奥へと引き返した。

 またここを乗り越えるのか、と思ったが、受付の彼女が、横の小さな扉を開けてくれたので、ありがたくそこを使わせてもらう事にした。


 目下僕の懸念材料は、僕の能力がバレるかという不安ではなく、昨日に続いて二日連続であのマスターに会わなければならないのかという憂鬱感だった。

最後の方にあった、『小さな扉』というのは。コンビニのレジとかによくあるあれです。名称が分からないので表現が難しかったです。読者の皆様には、ご迷惑をおかけしました。

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