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紫乃の談
「とりあえず、私からひとついくね」
【紫乃の談】
先日の夜のことである。
ふと気付けばもう23時。ほんの少し、そのつもりで見始めたスマホにすっかり時間を盗まれていたらしい。
私はスマホを充電器に繋ぎ照明を落とすと、さっさと布団の中へ潜り込む。
睡眠時間は最低でも7時間は確保する。その為にも日付が変わる前には就寝しておきたい。
それが社会人になってからの私のルーティン。心身の健康を保つ上で大切なことだと信じている。
最近は身体もすっかり適応してきたらしい。寝床に入った途端に薄らいでいく淡い意識、その心地良さを堪能していると……
『ドンッ!』
その不意は、窓を叩く大きな音。私を一気に微睡の淵から引き戻したのであった。
終わり。
「あ、終わりですか……」
「紫乃さん、それ絶対に痴漢か泥棒ですよ、リアルで怖い話ですよ!」
「いやいや汐梨、紫乃のマンションて8階だぞ?いくら何でも……」
「で紫乃っち、結局はなんなん?オチは?」
「オチは無いね。ただ音がしてビックリしただけ」
オチは未知に帰結してこそ奇談と言わんばかり。
紫乃の入眠を妨げし打音は果たして如何なるものか、それは誰にも分からない。




