第8話 守るぜ!→でも、逃げるぜ!?
放課後、ひよりと二人で学校から帰る。
今日は静かに、何事もなく帰る予定だった。
……そのはずだった。
「ユウ、今日は何もないといいんだけど。」
ひよりは背筋を伸ばして、相変わらず冷静だ。
「だ、大丈夫だよ……! 俺も気をつける……!」
大丈夫。
今日は逃亡に成功したから、三条アカリも百瀬ユキもいないし。
◇
しかし、運命は残酷だった。
「おい、そこのガキども!」
前方から3人組の不良が現れる。
「ちょっと、面白いことしようぜ。」
面白いことってなんだよ!?
絶対ろくなことじゃない。
ひよりはピタッと止まり、俺の袖を引く。
「……ユウ、気をつけて。」
いつもは強気なひよりも今日ばかりは弱弱しい。
ここは俺がなんとかするしかない。
これはもう、チートを使うしかないな!?
「ひより、俺に任せろ!」
俺は決心し、スキル<ラブマキシマイザー∞>を発動した。
不良たちに視線を向けると――
「な、なんだこの感覚……!?」
1人目の不良が目をハートにして俺を見つめる。
「お、お前……かっこいいじゃないか!」
2人目、3人目も同様に目がキラキラしている。
あっという間に、不良たちは俺の熱烈ファン状態だ。
不良たちは「ユウ様~! ついていきます!」状態で、あっさり撤退。
ひよりは目を丸くしている。
「……ユウ。あんた……。」
冷静な口調なのに、顔は赤くなっていた。
どうやらチートの力で不良を無事撃退したことは認めているらしい。
「ふふっ……ひよりを守ったんだ……!」
心の中で小さくガッツポーズした。
しかし、チートは止まらない。
1人の不良が、やたら熱烈に俺に迫ってきた。
「ユウ様……俺、ずっとそばにいたい……!」
ちょっと怖いレベルで目がハートになっている気がする。
「ええええええ!!そこまでは求めてないから!?」
俺はひよりに後ろから手を振る。
「ひより! あとは任せた!!」
「……相変わらず、勝手ね。」
ひよりはため息。
でも微妙に笑っている気もする。
俺は全力で走って逃げる。
「うわぁぁぁ! 逃げろ!!」
逃げながらも、スキルの暴走によって好意MAXの不良たちが必死で追いかけてくる。
──ああ……チート……やっぱ恐ろしい……ひよりを守ったはずが、俺が追われる展開かよ!?
やっと安全な場所まで逃げ切ったとき、俺は深く息をついた。
「……ふぅ……でも、ひよりは無事……! それだけで良し……だな……。」
遠くでひよりが小さく手を振る。
冷静な笑顔に、少し胸が温かくなる。
……いや、でも不良に好かれるとか、学園生活がカオスすぎるだろ……。
こうして、ひよりを守るためチートスキル発動は成功したものの、学園カオスはまだまだ終わらないのだった。




