第7話 両想いなんて幻想だった
最近、ひよりの様子がおかしい。
いや、前から若干、いやかなりツンツンしてたけど……。
最近のひよりはもっとこう……なんというか、俺を見ると時々顔が赤い。
それに、話しかけると、「べ、別に……」みたいな返しが増えた気がする。
昔から俺のことバカ扱いしてくる幼なじみなのに、反応が微妙に違う。
……もしかして、ひよりって俺のこと好きなのか?
そう考えた瞬間、心臓の鼓動が大きくなる。
嬉しいという思いが出て焦った。
いやいやいや!
落ち着け俺!
あの、ひよりだぞ。
そんなわけない。
でも、昨日の帰り道のひより、なんかめちゃくちゃ照れてたよな。
やっぱ好きなんじゃ……?
もしそうなら……スキル解除条件、満たせるかもしれない。
だって解除方法は、「スキル対象外の人間と両想いになる」だから。
もし、ひよりが俺を好きになってくれたなら……。
………確認するしかない!!
◇
放課後、校門を出たところでひよりに声をかける。
「ひより、ちょっといいか?」
「なによ。今日は寄り道付き合わないわよ?」
「いや、そうじゃなくて……その……。」
言うんだ。勇気を出せ俺。
「ひより、最近さ……その……俺のこと意識してない?」
「…………は?」
ピタッと足が止まった。
ひよりが振り向く。
目が死ぬほど冷たい。
え?
なに?
ゴキブリを見たときの目より、殺意高い気がするんですけど!?
「意識?あんたを?」
「い、いや、その……なんか最近ひよりの様子が違うっていうか……その……。」
言葉がつっかえる。
ひよりは一拍置いて、深くため息をついた。
「ユウ。」
「な、なんだ?」
「意識なんてしてない。」
「……………………。」
きっぱり。
すごい速度で。
剣の一撃かってレベルで斬られた。
「ちょっと照れてたのは……その、たまたまよ。あんたが変なこと言ってくるから。幼なじみだからツッコんでただけ。
いい? 幼なじみだから。それ以上でも以下でもないから。」
きっぱりと言い切られた。
……うそだろおい。
少しでも期待したのが間違いだった。
ひよりは、やっぱりひよりだった。
デレてるように見えただけの、ツンツンだった。
「……そ、そうだよな。」
「そうよ。だから変な勘違いしないで。私があんたのこと好きとか……。」
「ちょっ!?そこまで言わなくていい!!」
「あ、そっか。じゃあ言わないわ。」
ひよりはツンとした表情で歩きだす。
その背中を見ながら、俺の心は絶望で崩れ落ちていた。
気分はまさにorzだった。
◇
無理!!
両想いでの解除なんて絶対無理!!
ひよりに好かれるとか、難易度どれだけ高いんだよ!!
日本刀でばっさりと切られたかと思ったわ。
ただ、ひよりは遠ざかりながらも、ちょっとだけ耳が赤くなっていた気がする。
いや……でも、あれは……違うよな?
照れとは違うよな?
少しでも期待しそうになった瞬間、
ひよりが振り返って怒鳴った。
「早く来なさいバカユウ!!」
「はい!!」
……うん。
無理だわこれ。
たぶん赤くなっていたのも気のせいか、怒って熱くなってるだけだわ。
俺は心の中でそう結論づけた。




