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【10万PV感謝!!】中年ニートの異世界転生 大魔導士スキルを貰い今度こそ気ままに生きる  作者: 村居 赤彦
第五章 リックス王国編

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第八十二話


翌朝。

流石に何度も部屋に入られるのも(しゃく)なので、早めに起きる。

ベッドに座ったまま暫くぼーっとしていると

「アイカワさん、おきてる~?」

とリップが扉をノックする。

「起きてるよ」

と返事をすると

「あ、今日は起きてた。また寝顔が見れると思ったのに」

と若干悔しそうな顔をする。

「いや、2日連続で寝顔見るって・・・」

と呆れながら返すと

「今日もギルドに行くんでしょ?いつ頃?」

と聞かれ

「まあ、いつもの修行を軽くした後でいいんじゃないかな?

流石に今からじゃギルドが開いてないでしょ」

と返すと

「そうねぇ。じゃあ修行した後朝食を食べてから行きましょ?」

とのリップの提案を受け入れる。

難なく修行を終えて食堂で軽めの朝食を済ませた後、ギルドに向かう。


ギルドの到着して掲示板に向おうとすると

「アイカワさん、丁度良かった。出来れば所長室で良いか?」

と聞かれ

「彼女も一緒でいいですか?」

と返すと

「ああ、出来れば一緒で頼む」

と言い所長室に案内される。

所長室の到着すると

「実はな、アクレア公国とリックス王国のトップ同時の会談が設けられることになったんだが、警備の為の人員をギルドから募集する事になったんだ。

それで信頼のおける人物をこちらで選定した結果、アイカワさんにもお願いしようと声を掛けたんだが、どうだ?受けてみないか?」

との事

「それは良いですけど、基本的に何をするんです?

国王の護衛は兵士や直属の魔導士がするんでしょうから、一介の冒険者がする事と言えば周辺の警備くらいでしょ?」

と聞くと

「まあそんなもんだろうが、なんせ会談する相手が相手だから、念には念を入れての事だろう」

俺は良いが、リップはどうかな?と思いリップの方を見てみると

「受けたい!国王同士の会談の護衛なんて滅多にないから!」

と目を輝かせていた。

「じゃあ受けようか」

と言うとリップがウンウンと頷く。

「おお、受けてくれるか!では手続きについてはこちらでしておく。

会談は明日の昼に行われるので城には明日の朝に行ってくれ。

詳細は城に行ってから説明されるはずだ」

1階に戻って待合所に行くと

「どうする?明日の依頼が確定してるなら、今日は無理に依頼を受けなくていいんじゃない?」

とリップに言うと

「それもそうねぇ。大きな依頼の前日に何かあってもだし、今日はまったりしますか!」

とひとまず街を散策することにした。


リップと共に当ても無く街を散策する。

時刻は大体お昼頃。

食堂に入るのも良いが、折角食べ歩きできる露店があるのでそちらで昼食をとる。

もっと親密ならこれを一般的には「デート」というのだろうが、流石にそこまでの間柄ではない。

ダンカンとマオは今頃どうしているだろうか?

ソフィアはちゃんと王国直属の魔導士として活躍で来ているだろうか?

そんな事を考えていると

「お~い、どうしたのアイカワさん。ぼーっとしちゃって」

とリップが話しかけて来た。

「ああ、ごめん。何でもないよ」

と取り敢えず嘘をついてみるが

「嘘が下手ねぇ。何を考えてるか当ててみましょうか?

きっとダンカン達はどうしてるかなぁ~、とか考えてたんでしょ?」

とズバリ言い当てられた。

「ウッ!?な、何故分かった」

と返すと

「やっぱりそうだ。大体分かるわよ?そんなの」

とあっけらかんとした表情でリップが答える。

「なんで今頃ダンカン達の事を考えてたの?」

と聞かれ

「いや、ダンカンとマオを見て時折心がたまらなくなるって言ってたじゃない?

俺も街で幸せそうな夫婦やカップルを見ると

(こんな気ままに魔導士なんかしていていいのかな?)

とか思う時があるんだよね。

まあだからといってこれ以外道なんて思い浮かばないし、それに情けない話、この年になるまで女性と付き合った事なんて無いから異性絡みの幸せとか全く分からないんだ、俺」

と正直に今までの自分の事を話した。

「そんなの、私だってそうよ?

ダンカン達は最終的にああなったけど、何だったらソフィアだって恋愛経験ないんじゃない?

アイカワさんって今いくつなの?年齢」

確か43の時にこっちに来て10歳若い肉体を貰ってるから

「今33歳だよ」

と答えると

「え!?33歳?29歳かそのくらいだと思ってた!」

と驚く。

「またまた~、それは言い過ぎだって~」

と笑って返すと

「本当よ!

30代半ばに差し掛かった魔導士のイメージってもっとこう、男臭さ全開!って感じがするの」

偏見がすぎないか?それ

「いや、そりゃ流石に個人差あるでしょ。

たぶん、ダンさんは俺より年上っぽかったけどそんな感じではなかったよ」

と笑いながら返すと

「そりゃ、伝説の魔導士がそんな感じだったら幻滅するわよ。

キリアナ王国に行ったらアイカワさんの名前を出して、無理矢理にでも会ってみようかしら」

いや、勝手に俺の名前を使うのはやめてくれ。

なんて雑談をしていると見覚えのある顔が・・・ってタナカじゃないか!

重要な会談を明日に控えているはずのタナカが、露店で牛の串焼きを購入して美味しそうに頬張りながら歩いている。

もちろん、お付きの2人も一緒に。

(おもむろ)に立ち上がり

「リップ、悪いけどここでちょっと待っててくれないかな?」

と言うと

「うん、良いけど・・・」

とキョトンとした顔で俺を見上げる。


周りに街の人が何人かいたがその人達を避けながらタナカの近くまで行く。

「おい!何やってんだよ、こんなところで!」

とタナカ達に話しかけると

「あ、アイカワさん。偶然ですね~、観光ですか?」

と呑気に話しかけてきたので

「ちょっと話に付き合ってくれ。あんたらもだ!」

と少し語気を強めて建物の間にある細い道に誘う。

「何やってんだよ、こんなところで!

明日はこの国の国王との会談が控えてるんだろ?

そんな重要な案件を控えてる人間が、どうして街中で呑気に食べ歩きなんか楽しんでるんだよ!

正気の沙汰じゃないぞ!

アンタらもアンタらだ!守るべき対象が状況もわきまえずに街を散策するのをどうして止めない!

国のトップを守ってるという意識がないのか?」

と柄にもなく説教じみた事を言ってしまった。

「いや、でも大まかな段取りはもう終わってるし、後は明日を待つしかないので・・・」

とお付きの1人が言うと

「それが甘いっ言ってんだよ。第一、国内の大臣達はどうした?

不正の証拠を突き付けて云々とか言ってなかったか?

その大臣達が今頃裏で何か企んでたらどうするんだよ?」

と言うと

「それなら大丈夫です。

不正に関わっていた大臣達とその家族は財産の9割を没収して全て国外追放にしました。

今頃はどこかでギリギリ生きてるか、野垂れ死んでいるかでしょう」

とタナカがあっけらかんと返す。

「けど、他の街に移ってクーデターを考えたりしてないのか?

今まで国を牛耳っていたなら、国外追放されても勢力を整えて反撃に出る事も出来るだろ?

例えばスリングの街の中心部に住んでる教徒達を取り纏めて君を追放しに来るとか」

と疑問を投げかけると

「それは大丈夫です。

追放が決定した時点で、近隣の各国に手配書を配って

(こういう理由があるので、追放した者達を受け入れない様にお願いします)

って書簡を送っておきました。

各国からの国王からも了解との返事が来ましたので、その対策もバッチリ済んでいます」

とサムズアップをするタナカ。

「じゃあ、早く寄宿先に帰りなよ。

他の臣下の人達も君がいなくなったら心配してるでしょ。

それに、この間2人で話した時の事は守ってくれるんだろうな?」

と念を押すように聞くと

「はい、もちろん。

今回の会談の内容はそれがメインですし、何よりリックス国王やスリングの街の皆さんに迷惑をかけてきた事のお詫びも兼ねていますので・・・」

と苦笑いを浮かべる。

「では、私達はこの辺で失礼します」

とタナカ達は来た方向へ歩いて帰っていった。

それを見送りながら

「ほんとに大丈夫かな?明日・・・」

と呟くと

「早くリップさんの所に戻った方が良いですよ」

とアイに言われ

「いけね、そうだった」

と言いつつリップの所に戻る。

「ごめん、急に1人にしちゃって」

とリップの所に戻ると

「もう、遅いよ。遅すぎてまた1つ牛肉の串焼き買っちゃったよ~」

と文句を言われてしまった。

「ごめんごめん」

とひとしきり謝る。

「それを食べ終わったらお城の場所を確認して、宿に戻ろうか」

と言いリップも

「分かったわ」

と同意する。


リップが食べ終えて宿に戻る途中お城の場所を確認した後、敢えて遠回りをして宿に戻る。

街を一通り見て回ったが、所謂歓楽街的な場所はこの街で見かけなかった。

普通は少しでもありそうなものだが、敢えて禁止にしてるのかな?

なんやかんやで宿に戻ると陽も暮れかけていたので、食堂で晩御飯を食べる事にした。

「明日の護衛任務楽しみだなぁ」

なんてリップは言っていたが、所長と話した通り一介の冒険者が任せられるエリアなどたかが知れている。

俺達2人に兵士が1人ついて城の外部とかだろう。

そう思いながらリップと雑談をした後それぞれ部屋に戻る。

装備を外してベッドに寝そべると

「明日の会談大丈夫かな?タナカがあんな感じで」

と呟くと

「まあ、なるようになるでしょう。

それに本当にアクレア側の謝罪と教徒達の引き上げ命令のみなら、さほど揉めずに終わるでしょう」

と返される。

「それで済めばいいけどなぁ、心配し過ぎかなぁ。

あ、そうだ。新しいスキルの解放だよね、今選ぶよ」

とアイに開放するスキル一覧を出してもらう。

今の所何かで困っているわけではない。

しいて言うなら街から街の移動がもっとスムーズになればいいが

(例えば空飛ぶ乗り物だったり、空が飛べたり)

なんてスキルはないだろうし、前に言ったか覚えてないが俺は高い所が苦手なので結局無理。

どれにしようか迷っていると気になる物が目に入る。

<物を新品の状態に修復>

「ねえ、アイ。これって読んで字の如くの意味で良いんだよね?」

と聞くと

「はい。貴方が所有している装備品、所有物を新品の状態に戻す事が出来ます。

因みに所有物でなくてもスキルは発動できます。

ただし、消耗品は対象外です」

との説明。

これがあれば鎧や剣が壊れそうになった時に便利そうだな・・・

「分かった。これにするよ」

というとアイが選んだスキルを解放してくれる。

「じゃあ、新たなスキルを解放した事だし、今日はもう寝るか。

おやすみ、アイ」

と言うと

「おやすみなさい」

との言葉と共にこの日は眠りについた



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