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【10万PV感謝!!】中年ニートの異世界転生 大魔導士スキルを貰い今度こそ気ままに生きる  作者: 村居 赤彦
第五章 リックス王国編

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第八十話


リップと共に洞窟の中を進んでいく。

入る前にマジックゲートから松明を取り出し、それぞれに火を点けて明るさを確保する。

「あ、そうだ。忘れない内に」

とリップが言い、俺とリップ自身に魔法障壁をかける。

「たまり場に到着するまでに何があるか分からないから、今の内にかけとくわ」

あ、忘れてた・・・

誰かと一緒に行動していると、こういう部分をカバーしてくれるのはありがたいなぁ。

「ありがとう」

とお礼を言うと

「何言ってるの!私が出来るのはこれくらいしかないのよ?

タダ働きする訳にもいかないしね」

と話している内に奥の広間に到着。

バレない様に奥を覗きながら、探知魔法をリップに掛けてもらうと

「数は8体。しかも1番奥に群れのボスらしき個体がいるみたい」

との事。

「分かった。じゃあ、リップはここで待ってて。

手前から順に片づけていくから、俺が奥に行くにつれて探知魔法をかけて安全を確認しながら後について来て」

と言うと

「分かったわ。無茶しないでね」

と言われて肉体強化をかけながら1人で奥へ進む。

オークの位置を確認しながら、掌に作り出した雷魔法で早速1番手前のオークから順に倒していく。

上手く気配を消した状態で最初の1体目を倒せたおかげか、他のオーク達は慌てふためいていた。

連携を取られる前に

(オークが連携を取った戦いをするかどうかは分からないが)

2体目、3体目と着実に雷魔法と氷魔法を駆使して倒していく。

リップが最後方で待機している事もあり、動きをある程度抑えながら順当に進んでいく。

派手な立ち回りをして、後々ツッコまれた時に説明するのが面倒だと思ったからだ。

5体目を倒し終えると、残り2体のオークが奥へと移動して群れのボスと合流する。

どうやら3体同時にかかってくるようだ。

「まあ、そうしてくれた方がこちらとしても好都合だけどな!」

と言いながら精錬した魔力で氷の柱を作り、3体同時に氷漬けにする。

動けなくなった相手に向かって雷魔法を数発撃ち込み、氷漬けになったオーク達にトドメを刺す。

念の為、オークのボスの亡骸に雷魔法を撃ち込んで死んでいるかを確認する。

「相変わらず慎重ですね」

とアイにツッコまれたが

「リップもいる事だし、念には念を入れておかないとね」

と返す。

倒したオークのボスをよく見ると、他のオークとは少し違う様だ。

「一回り大きいし、それに大きな角が1本生えてるな。

こんなの今まで見た事ないぞ」

なんて呟きながら、精錬した魔力で探知魔法をかけたが魔物の反応は無し。

すべて倒し終えたようだ。

隠れているリップに向かって

「もう大丈夫だよ。探知魔法で確認したけど魔物の反応はもう無いから」

と言うと唖然とした表情で周囲を見渡しながら

「ほ、本当に1人で全滅させちゃった。

それに最後の1体ってたぶんオークキングだよね?

それをいとも簡単に・・・」

と独り言をブツブツと言っていた。

「お~い、大丈夫か~?」

と改めて声をかけると

「ハッ!ご、ごめん。あまりに非現実的な光景に言葉を失ってた。

もう魔物は残ってないのよね?私、入り口の兵士達を読んでくるわ」

と言ってリップが兵士を呼びに行く。


兵士達が来て広間を全て確認し終えると、マジックゲートにオーク達の亡骸を収容して一緒に街まで帰る。

ギルドに到着すると依頼完了の書類を受け取り、兵士達は城へと帰っていく。

ギルドの中に入り、解体所に向かう。

解体所の男性に倒したオーク達の亡骸を見せると

「ほほう、こいつはたまげた!オークキングじゃないか!

こんなレア物滅多にお目にかかれんぞ!」

と何故か喜んでいた。

「やっぱり珍しいんですか?この個体?」

と聞くと

「珍しいなんてもんじゃないぞ!

なんせ生まれてくる確率がダントツに低くて、解体せずに防腐処理を施してはく製にしたがる金持ちがいるくらいだ!

もちろん、こいつは解体せずにこのまま売却へ回すんだろ?」

と聞かれたが

「高く売れるならそれに越したことはありませんが、どんな手順を踏めばいいか分かりませんよ?俺」

と言うと

「そこら辺は安心してくれ。ギルドが責任を持ってちゃんと仲介する。

まあ、手数料は貰うがな」

解体所の男性の目が何故か金貨に見える・・・

「ちょっと待ってろ」

と受付の女性職員数名に何か説明した後

「取り敢えず通常オークの解体を先に済ませる。

その間に街の金持ち達にオークキングの情報を伝えに行かせたから、少し待合所で待っててくれ」

と言われて待合所の椅子に座って待つことにする。


「しかし、この街に来てあんな激レアに遭遇するなんてねぇ。

アイカワさん、やっぱり貴方持ってるわ・・・

ていうか、これ程の実力ならとっくにCランク、いや下手したらBランクになっていてもおかしくないんだけどなぁ」

と苦笑いにもとれる表情で俺を見ながら言う。

「持ってるって・・・偶然だよ、偶然。

それにそこまで凄い事をしてる自覚なんて無いんだけどなぁ。

あの氷の柱だって精錬した魔力で作り出しただけだし。

あれってそんなに凄い事なの?」

本当に凄いという自覚なんてない。

個人的にはダンさんに貰ったアドバイスを実践しているにすぎない。

「凄いなんてもんじゃないわよ!

第一、いくら精錬した魔力で氷の柱を作っても、オークキングを完全に封じ込めるレベルの物なんてそうそう作れないわよ。

第二に、普通なら魔力精錬自体に時間が掛かって、あんな一瞬で強力な魔法を撃ちだす事も並の魔導士じゃ到底不可能なの。

まあ、これに関しては日々の修行のおかげっていうのもあるだろうけど。

もう貴方の弁明を聞いても、自慢を通り越してもう嫌味にしか聞こえないわよ?」

との意見。

「そうなのかぁ・・・」

と天井を見上げた後、色々と雑談をしていると

「終わったぞ~、来てくれ」

と解体所の男性に呼ばれる。

「まず通常のオーク7体分の金額が49枚だが、キリよく金貨50枚にしとくよ。

それに依頼料が金貨10枚で合計60枚と。

さて問題はオークキングだが・・・」

と話がオークキングに及ぶと

「失礼します。皆様をお連れしました」

と受付の女性が解体所に入ってくると、如何にも<ザ・金持ち>といった格好をした男性達が解体所になだれ込んでくる。

「おお!これがかの有名な!」

だの

「これは素晴らしい!」

だの、あーだこーだ話していた。

「流石にこの場で何かを決める事は出来ないので、鑑賞のみでお願いします」

と解体所の男性が金持ち達をなだめている。

するとその中の1人が

「この個体については、明日お城でオークションを行います。

それまでは、王国直属の魔導士が責任を持ってお預かりいたしますので、本日はここまでという事でよろしくお願いします」

と金持ち達に説明するとマジックゲートにオークキングの亡骸を収容する。

あの人、王国直属の魔導士だったのか・・・

あまりの事にただ茫然と見ている中、金持ち達はすごすごと帰っていく。

一段落した後

「まあ、金額が確定するのは明日の午後だろう。

昼食を食べてからゆっくり来てくれ」

と言われ、オークの金額と依頼料を貰い、リップと半分ずつ分ける。

「何もしてないからこんなに貰えないわよ」

と半分に分ける事を拒否されたが

「キリアナ王国に行ってからも、ある程度余裕があった方が良いでしょ?貰っときなよ」

と半ば強引に渡して、受付で手続きを済ませて宿に帰る。


宿に到着して、リップと一緒に晩御飯を食べる。

「明日のオークションってどのくらいになるんだろうね、値段」

とオークションの話になる。

「見当もつかないよ。

なんで金持ちってあんな物をはく製にしたがるんだろうね。

全く理解できないよ」

と返すと

「とんでもない金額になったりしてね、金貨100枚とか」

とリップが言うと

「流石に道楽とはいえそこまで出さないでしょ!

そこまでいくと言っちゃあ何だけど、頭が悪いとしか・・・」

なんて雑談をした。

食べ終えるとそれぞれ部屋に戻る。


装備を外して、椅子ではなくベッドに寝そべる。

「はぁ~、なんか変に疲れた」

と呟くと

「幸運でしたね。オークキングを持ち込む事が出来て。

あれだけ綺麗な状態だと、明日のオークションも金額が期待できますね」

とアイが話しかけて来た。

「なんで魔物のはく製なんて作りたがるかねぇ・・・

俺には理解できないよ」

そんなものあったって何の役にも立たないだろうに。

「でも、明日はゆっくりできそうだね。

それに、もう1回くらい依頼をこなせばリップも余裕を持ってキリアナ王国へ行けるでしょ」

今日だけで金貨30枚、まあこれでも十分(じゅうぶん)といえば十分だが。

「この街もどのくらい滞在しようかな。目的もなく来ちゃったしなぁ」

当初はアクレア公国に行くはずだったが、スリングの街での様子やタナカから聞いた話だとどう考えても

<外部の人間お断り>

という感じだろう。

それにアクレア公国の検問所の兵士のあの態度も嫌な感じだったし・・・

「リップがキリアナ王国に向かうのを見送ったら、この街を発とうかな」

と言うと

「そうですね。目的がないならそれでも良いかもしれませんね」

とアイも同意してくれる。

そんな雑談をしているとだんだん眠くなってきたので

「もうそろそろ寝るよ。おやすみ、アイ」

と言うと

「おやすみなさい」

との言葉と共にこの日は眠りに落ちた。



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