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第六話

翌日になり、冒険者ギルドの建物に行ってみる。

建物に入り受付の女性に


「こんにちは。<初心者ランク>の続きをしたいんですが」

「ああ、アイカワさん。今日から戦闘ミッションですね。今Cランクパーティーの皆さんを呼んできますね」

そう言うと奥の控室らしき部屋から男女数人出てきた。


「やあ、あなたが今日から戦闘ミッションを受ける人だね」

見た感じ剣士でリーダーらしき男性が話しかけてきた。

「はい、アイカワ ユウイチです。よろしくお願いします」

「私の名はケイン、このパーティーのリーダーで見ての通り<剣士>をしている。左から順に同じく

<剣士>のウィル、<魔導士>で回復や戦闘補助役のケイト、そしてもう一人の

<魔導士>攻撃魔法担当でルーシーだ」

「皆さんよろしくお願いします」

若干緊張気味にお辞儀をしながら挨拶するとみんな気さくな感じであいさつをしてくれた。


「では、早速行ってみようか。戦闘に直接参加するような職業を選び実力をつけるなら<初心者ランク>とはいえある程度の魔物との戦闘に同行してもらうんだが

アイカワさんの選んだ職業は?」

「私は<商人>を選びました。実は魔法は子供の頃使えそうではあったんですが、どうも素養は伸びなかったので」

と嘘をついた。

というのも<商人>を選んでおいて戦闘ミッションでいきなり<ファイヤーボール>なんかぶっ放したらどう言い繕えば良いかわからないので予めこんな嘘をつく事にした。


「そうか、わかった。では<商人>での戦闘ミッションと言っても実際には

私達に同行して戦闘しているところを実際に数回見てもらい、戦闘がどんなものなのかを感じてもらう事が第一なんだ。

それに相手となる魔物も弱い<ゴブリン>等の魔物を3日に分けて討伐を経験するという段取りになっている。説明してるだけでもいけないので早速出発してみようか」

「はい、わかりました」


街を出て数km程森の中を歩いているとケイン何かを察知したのか小声で

「俺たちの後ろに」と言うと10m程先の開けた草原に人型で緑色の魔物3体ほどが見えた。

「ゴブリンだ。ケイト、周囲に魔物は?」

「大丈夫、いないわ」

いつの間にかケイトは魔法で周囲にほかの魔物がいないか調べていたようだ。

「では、仕掛けるか。アイカワさん、ここに隠れながら戦闘の様子を見ていてくれ。念のためケイトとルーシーを護衛に就けておく」

「わかりました」

そう言うとケインとウィルは気配を消しながらゴブリンに近づいていき

一気に近づくと瞬く間に3体のゴブリンを討伐してしまった。


ケインとウィルは周囲を見回した後右腕を大きく振って俺達を呼んだ。

ケイト、ルーシーと一緒に近くまで行くと真っ二つになったゴブリンの亡骸が

3体分横たわっていた。

何とも言えない匂いが辺りに漂っている。

これが世にいう<血生臭い匂い>というやつなのだろう。

初めて体験する匂いと出来事に何とも言えない表情でいるとケインが

「本当は4人で一斉に行くんだが今回はアイカワさんがいたし、ゴブリンが3体

のみだったので私とウィルだけで倒した。では戦闘が済んだ後の事だが・・・」


そう言うとウィルがゴブリンの亡骸に近づき、頭部に生えている角を切り落とした。

「通常、魔物との戦闘に勝利するとマジックゲートの中に依頼書に記載されてる希少部位を切り取りギルドの買取所に持ち込むか、もっと報酬を得たかったら魔物の亡骸をそのまま持って行って依頼書に書いてある以外の希少部位も一緒に換金所で解体してもらう。

そうして買い取ってもらったお金が私達冒険者の収入となるんだ。持ち込んだ部分の希少価値が高ければ高い程、買い取って貰える部位の金額もアップする」

へぇ、そんなシステムなのかぁ。

「今回は討伐したのはゴブリンなので、部位としての値打ちはほぼ無いが、ちゃんと<初心者ランク>の冒険者に

<戦闘に関する指導と経験を積ませている>

という証明をするためにゴブリンの角を切り落として、換金所に持っていく。

今日はあと1,2度これを繰り返す予定だ」

そう言うとケイトが<マジックゲート>へとゴブリンの角をしまい、ケイトに

「ケイト、警戒魔法でもう少し広範囲を調べてくれ」

「わかったわ」

ケイトが再び魔法で周囲の魔物の範囲を検索し始めた。

「もっと離れた先にあと5体ほどゴブリンがいるみたい。でもそれ以上は探知できないわ」

と言うと

「そうか、ではそのゴブリンを討伐したら今日のミッションは切り上げよう。帰る時間を考えるとそれが妥当だろう」

ケインが自分を含めたパーティー全員に同意を求めるとみんな頷いた。

「っとその前に。ルーシー、頼む」

そう言うとルーシーが

「了解!みんな、少し離れて」

そう言うと

「<ファイヤーボール>!」

ルーシーが放ったファイヤーボールがゴブリンの亡骸に命中する

「こうして倒した魔物の亡骸を炎系の魔法で焼却しておくか、強力な酸性の水系魔法で溶かすなりしておかないと亡骸の腐敗臭で他の魔物が集まり面倒なことになってしまうんだ。一応覚えておいてくれ。

それとギルドの換金所で解体をお願いした場合はそっちで焼却処分してくれるから安心してくれ」


2度目の戦闘もゴブリンの数が少ないのであっという間に片付いてしまい1度目同様角を切り落として、ゴブリンの亡骸を処理した後、街へ戻ってギルドの裏手にある換金所で鑑定してもらう。

ギルドに戻り、まず裏手の換金所に行って切り取ったゴブリンの角を渡したその後、受付の女性に今回のミッションが終了した事を報告、これで今日のミッションは終了した。


今回の報酬は換金所から俺とパーティー双方に支払われるらしい。

なんでも、初心者ランクの戦闘ミッションパーティーにとってはあまりにも少ない報酬額なので所属しているギルドから保障金という形で別にプラスされるらしい。

パーティーと別れてすぐリフルに戻り食事を済ませ一息つく。


初めての魔物との生き死にに触れた事もあってか少し落ち着かずにいるとアイが

「まだ少し緊張していますか?」

と聞かれたので

「正直言うとまだちょっと落ち着いてはないんだ。元居た世界には当然魔物なんかいなかったし、自分が直接手を下してないとは言え生物の命が目の前で失われるってのは初めてだったから」

手や体が震えるとかはなかったが精神的には何か言葉にできないソワソワする感じが残っていた。

「では、目を閉じて深呼吸をしてください」

アイに言われるままにしてみると体が少し温かくなり、心の中にあったソワソワした物が消えた気がした。

「精神が落ち着く魔法をかけてみました。どうですか?落ち着きましたか?」

「ああ、さっきまで心の中にあったソワソワした物が消えたよ。ありがとう。これも回復魔法の一種なの?」

「はい。基礎的な魔法です。レベルが上がり、回復魔法の能力を選ぶと使えるようになりますよ」

と回復魔法の話題や他愛のない雑談を少ししたがアイの魔法で落ち着いたせいか、すぐ眠りについてしまった。



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