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【10万PV感謝!!】中年ニートの異世界転生 大魔導士スキルを貰い今度こそ気ままに生きる  作者: 村居 赤彦
第四章 コンラド共和国編

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第五十九話


駐屯地を出発して、どれくらいだっただろうか。

周囲にはのどかな平地が広がっている。

最初の内は担当していた場所が違ったといえ、駐屯地での出来事をあれやこれやと話に花が咲いていたが結局内容が尽きてしまい、俺以外の全員は既に眠っている。

駐屯地を出発してここに来るまで、先頭と後方の馬車に乗っている魔導士から探知魔法の結果が何もないところを見ると、ひとまず魔物が近くを通過しているという事はないのだろう。

馬車の揺れがまた心地よく、俺も気持ちよくなり寝てしまいそうになる。

コンラド共和国に到着するのはまだ先だし、俺も寝ちゃおうかなぁなんて思っていると

「遠くで誰かが盗賊に襲われてるぞーー!!」

と前方の馬車から男性の叫び声が聞こえた。

馬車の中にいた俺以外の魔導士が体をビクッとさせている中、俺は思わず外を覗いてみると遠くの方で馬車が大人数に囲まれていた。

「助けた方がよろしいかと」

とアイの助言が出ると同時に、肉体強化をかけて盗賊達がいる方へと走っていた。


現場に徐々に近づくと、馬車の護衛をしているであろう兵士数人と1組の男女が

10人程の盗賊達に囲まれていた。

取り敢えず目についた奴を後ろから蹴り飛ばしたり、弱い雷魔法をかけて痺れさせたりして、何とか全員撃退する事が出来た。

盗賊達を倒した頃に俺が乗っていた馬車が到着した。

護衛していた兵士5人のうち、2人程が怪我を負っていたらしく

「俺は一応回復魔法が使えます。他の兵士の方や魔導士の方達は気を失っている盗賊の捕縛を!」

と俺が指示を出すと、手分けして気を失っている盗賊達を縛り上げていく。

捕縛が終わるのと同時に、こちらも傷を負った兵士の回復が終了する。

傷口は完全に塞いだが、痛みはまだ残っている様だ。

ちゃんと治せたか心配で見ていると

「大丈夫です。傷もさほど深くは無かったので命に別状はありません。

痛みも時間が経てば治まるでしょう」

とアイがアドバイスしてくれた。

ホッと胸をなでおろしていると、兵士と共に襲われていた男女が近づいて来て

「ありがとうございます。一時はどうなるかと思いました」

と男性にお礼を言われると

「いえ、襲われていると報告があったのでつい反射的に来てしまいました。

取り敢えず無事で何よりです」

と返すと

「見たところ魔導士の方の様ですが、これだけの数の魔導士の方々だとこの先にある駐屯地の依頼を受けた方達ですか?」

お?国の関係者か何かかな?と思い

「はい。依頼期間を終えてコンラド共和国に向かっている最中なんです」

なんて話していると

「あああ貴方様はサリム子爵様とヒルダお嬢様~~~!!」

と俺達が乗っていた馬車を操縦していた男性が驚きと共にその場に両膝をついた。

え?有名な人?と思っていると

「この男性はサリムの街を管轄しておられる<ミハイル・サリム>様、そのお隣はご息女の<ヒルダ・サリム>様です」

とアイが教えてくれた。

子爵って確か貴族の地位の・・・ハッ!!

「ししし失礼しました。子爵様とは存じ上げず・・・」

と俺も頭を下げると

「ハハハ、構いませんよ。私達の命の恩人ですから。

それに子爵と言ってもサリムの街は農業地ですし、ラリムやカリムの街に比べればサリムの街など只の田舎です。

そんな田舎の子爵にそこまでかしこまらなくても結構ですよ」

と笑って返す。

肉体強化をまだ解除していなかったので、前方と後方の馬車を操縦していた男性達の声が

「なあ、この人すんごい速さで走っていかなかったか?」

とか

「ああ、馬なんかとは比べ物にならないくらい早かったような・・・気のせいか?」

とひそひそ話が聞こえてきた。

そのまま気のせいだと思っていてくれ・・・

傷が回復した男性達は自力で自分達の馬車に戻り、捕縛された盗賊達は一部が目を覚まし、歩ける者は後方の馬車に繋がれてそのまま歩くことに、気を失っている者は仕方がないので馬車に乗せて共和国に向かう事となった。


夕方になりコンラド共和国に到着すると、サリム子爵が検問所の兵士に盗賊達を引き渡す。

駐屯地にいた魔導士1人1人が出張所で貰った依頼完了の書状を見せていく中、俺も依頼完了の書状を見せると

「ああ、貴方が駐屯地で活躍された方でしたか!お会いできて光栄です。

このまま通って貰って大丈夫です。

今日はもう遅いので明日にでもギルドに行っていただき、例の異常種の亡骸を提出してください。

ギルドはこの大通りを真っ直ぐ行った左手にありますので」

と大した聞き取りもせずに、ほぼノーチェックで共和国に入国出来た。

どうやら目の前にあるのが商店や宿屋、住宅街があるカリムの街らしい。

「あの~どこかオススメの宿とかありますか?」

と検問所の兵士に聞いてみると

「オススメと言われると迷いますね~。

何と言っても共和国が3つの街で構成されていてが大きいので宿屋の数もそれなりにありますから、どの宿屋も平均的に良いですよ。

ギルドから近くて値段もリーズナブルなら<アートリア>と言う宿屋があります」

と言ってくれたので

「ありがとうございます。早速行ってみます」

と礼を言い、サリム子爵にも挨拶をすると

「サリムの街に来られた時はお立ち寄りください。

ささやかではありますが、お礼をさせていただきます」

と言ってくれた。

「はい、立ち寄らせていただきます」

と頭を下げて宿に向かう。


早速紹介してくれた宿屋<アートリア>に向かう。

「お、あった。ここか」

早速中に入り

「1名なんですが空いてますか?」

と聞くと

「はい。大丈夫ですよ」

と気さくな感じで中年の女性が対応してくれる。

「一番手前の1号室になります」

と言われて中に入る。

椅子に座ると一気に気が抜けた。

「まさか駐屯地の任務が終わって早々に、盗賊に襲われている場面に出くわすとは思わなかったよ」

と呟くと

「そうですね。私も思いませんでした」

とアイも盗賊の存在には驚いていた。

「そういやお腹が空いたな~。お昼も食べてないし、この宿屋は食堂が併設しているタイプじゃないから何処か食べに行くか~」

と立ち上がり、女将さんに

「ちょっとお聞きしたいんですが、この近くでオススメの食堂ってありますか?」

と聞くと

「そうですね~、どの食堂も平均的に美味しいので困りますね~。

すぐ近くだと、<ハリー>という食堂があります。どの料理も美味しいですよ?」

よし、そこにしよう!正直もうどこでもいい。

「ありがとうございます。助かります」

早速行ってみると夕食時のピークを過ぎていた為か、お客さんはまばらだった。

席に案内されてメニューを見て、一番上のセットを頼む。

出されたのは所謂<ハンバーグセット>だった。

早速1口目を食べると凄く美味しく感じた。

(うぉ~、美味ぇ~)

と心の中で感動する。

駐屯地での料理も美味しかったが、街の食堂でというシチュエーションなので余計に美味しく感じるのかもしれない。

あっという間に料理を平らげ、料金を支払い店を後にする。

一応ギルドの場所を確認してからアートに戻る。

部屋に戻ると装備を外しベッドに横たわり、布団の柔らかさを堪能する。

ああ~~、この柔らかさがたまんねぇ~~。

明日ギルドに行かないとな~。どんな依頼があるんだろ~。

あっ、当初の目的だった<革の鎧>も買わないとな~。

等と考えている内に眠気に襲われてきたのでもう寝る事にする。

「ふわぁぁ~、もう寝るか。おやすみ、アイ」

欠伸(あくび)をしながら言うと

「おやすみなさい」

の声と共にすぐに眠りに落ちた。




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