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【10万PV感謝!!】中年ニートの異世界転生 大魔導士スキルを貰い今度こそ気ままに生きる  作者: 村居 赤彦
第三章 駐屯地遠征編

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第五十六話


「・・・ワさん、・・カワさん。大丈夫ですか」

アイの声に反応して目を開ける。

診療所のベット・・・柔らけぇ・・・ハッ!!

我に返っていきなり起き上がる。

「あれ?眩しい。てか、朝にしては随分賑やかだな」

立ち上がり窓に近づいて外を見てみると、食堂で兵士達が定食を食べていた。

ん?みんな定食を食べてる。てことはもう昼か!

「おはようございます。と言ってももうお昼ですが。

軽く流れを説明すると、昨日魔力を使い切った貴方はそのまま気を失って倒れました。

他の兵士の皆さんが診療所まで運んで、今まで眠っていました」

との事。

「魔力を使い切ったって事は、今日と明日は魔法は使えないんだよね?」

と聞くと

「はい。以前と同じです。

最低でも2日間はまともな魔法は使えませんのでご注意ください」

アイの説明を聞いた後、ベットのある部屋から隣にある待合室に行ってみると

「アイカワさん、もう起き上がっても平気なんですか?」

とデイブが話しかけてきた。

「あ、デイブさん。おはよう」

と軽いボケをかましてみると

「ケント先生~、アイカワさんが起きたッスよ~」

とその場でケントを呼ぶ。

「いや、人の寝起き直後のボケをスルーしないで下さいよ!」

とツッコミを入れる。

そんなやり取りをしていると診察室からケントがやって来た。

「もう起きて大丈夫ですか?何処か違和感はないですか?」

と矢継ぎ早に聞いてきたが

「取り敢えず違和感を覚える箇所は何処もありません。

魔力を使い切ったので最低でも今日と明日はマジックゲート以外は使えませんけどね」

と言うと

「そうですか~、いやよかった~。

貴方が目の前で倒れた時は、あの場にいた皆さんが大慌てでしたからね~。

ひとまず、今日1日は診療所のベットで休んでいてください」

自分としては何ともないが、医者の言う事に取り敢えず従う事にする。


ベットで休んでいると腹が減ってきた。丁度食堂のピークが過ぎてしばらく経った頃だ。

扉を開けてケントに

「昼飯食べてきていいですか?」

と聞くと

「ああ、そうか。お昼まだでしたね。大丈夫ですよ」

と許可が下りた。

食堂に行くと昼食を食べている人は誰もおらず、俺1人がテーブルにちょこんと座っている。

「よぉ、昨日の夜は大活躍だったんだってな!どうだ?体の調子は?」

と店主に聞かれ

「大活躍なんてそんな。

前にいた国で偉い魔導士の人がしてた事を即興でマネしてみただけですよ。

身体の方は何ともありません。魔力を使い切ったので今日と明日は魔法は使えませんが」

と説明すると

「いや、それでもだろう。待ってろ、早速作って来るわ」

と言って厨房に消えていく。

少しすると料理が運ばれてきた。

「はいよ、今日のとっておきだ!と言ってもいつもと材料は変わらないがな。

じゃあ、ゆっくりしていってくれ」

と言いながらまた奥へ消える。

料理を味わうように食べ終えると、その場を通りかかったイーサンが声をかけて来た。

「アイカワさん!昨日はありがとうございました。

もう起きても平気なんですか?」

みんな同じ反応だな。まあ、いきなり倒れればそんなもんか。

「ええ。明日いっぱいまで魔法が使えませんが、何処にも異常はありません。

そうだ、倒れた後の事やあの異常種の事を少し聞いていいですか?」

とこのタイミングなので色々と聞く事にした。

「まず、回復中の事を何も覚えてないんですけど、上手くいきましたか?」

と、まずあの数珠繋ぎ形式について聞くと

「ええ、大成功どころか奇跡に近いですよ。あの方法は。

一体、何処であんな方法を知ったんですか?」

と聞かれ

「ちょっと前に、キリアナ王国とバルシス王国の国境付近で瘴気の浄化作戦に参加したことがあって、その時にあれに近い形式を見たんでそれと同じ事をしようと考えたんです。

まさか、完全に上手くいくとは思いませんでしたけど」

と苦笑いしながら答えた。

「そうですか。あの作戦に参加されていたんですか。

あの方法を取ったおかげで、怪我を負った全員の治療が完了しました。

多少傷跡が残る兵士くらいはいるでしょうけど、後遺症が残る兵士は1人も出ませんでした」

との事。

「あの異常種については何か分かりましたか?今までに目撃した兵士がいたとか。

あ、亡骸は私のマジックゲートに収容してますけど・・・」

ナイトスパイダーを見たのはあの異常種で2度目だが、以前から情報は無かったのかな?

「いいえ、異常種についての報告は今まで1度もありませんし、今回私も初めて見ました。

確かアイカワさんは、駐屯地の依頼が終わった後コンラド共和国に行かれるんでしたよね?

出張所で検証した後、書状をお渡しするのでそのままコンラド共和国に持って行ってもらっても構いませんか?」

あ、俺が運ぶのね。

「はい、それは構いません。

どのみち、魔力が回復するまではこの駐屯地を出るつもりもありませんしね」

と答えた。

「そうだな・・・今思いつくのは、そんな所ですかね。

取り敢えずこれから出張所へ異常種の亡骸を預けに行きますけど、一緒に行けますか?」

と言うと

「はい。今時間が空いているので、行きましょう」

そう言うと立ち上がり、2人で出張所に行く。


出張所に到着すると早速異常種の亡骸をマジックゲートから取り出す。

「見た目はさほど通常種と変わらないな。尻の部分が焦げているのは何故なんだ?」

と聞かれ

「裂けめの中に小さい卵がたくさん詰まっていたので、子蜘蛛が誕生してもマズイと思い、炎魔法で焼いておきました」

と答える。

「そうか、それで。いやそれは賢明な判断だったと思うぞ。

ナイトスパイダーの卵は親蜘蛛の生命活動が停止した瞬間から、ゆっくりと孵化を開始するからな」

やはり、あの時のアイの判断は正解だったか。

そのままにしておいたら今頃マジックゲートの中はナイトスパイダーの子蜘蛛の大群が・・・

いや、辞めておこう。

想像すればする程、恐ろしい光景を想像してしまう。

「取り敢えず、アイカワさんにはこのままコンラド共和国に向かっていただき、この異常種の亡骸とこちらで発行した書状を届けて貰おうと思うのですが、宜しいですか?」

とイーサンが出張所の男性に意見を求めると

「そうだな、それがいいだろう。書状は今日中には作れるが、次に共和国からくる便は明後日だろう?

いつ出発するんだ?」

次の便は明後日か!それなら好都合だ。

「昨日の夜に魔力を使い切ったので、最低でも今日と明日は魔法が一切使えませんから、その明後日の便で共和国に向かおうと思います」

と答えた。

「そうか。まあ、マジックゲートに収容しておけばそう簡単には腐敗しないから大丈夫だろう。

念の為、卵が中に残って無いかもう一度確認した上で、またマジックゲートに収容しよう」

と出張所の男性が言うと、丸焦げになった異常種の尻の裂けめの部分に専用の器具を突っ込んで中を調べ始めた。

その作業が始まってから終わるまでずっと目を背けていたので、どのような過程だったかは分からなかった。

確認作業が終わったらしく

「よし、中に卵は全く残ってない。

これなら共和国に持ち込んでも問題ないだろう。収容してくれ」

やっと終わったか・・・と思いながら異常種の亡骸をマジックゲートに収容する。

イーサンに

「そう言えば、俺はこの後どうすればいいですか?

今日1日は診療所に経過観察とかですか?」

と聞くと

「そこについてはケント医師に任せてあるので、一旦診療所に戻ってください」

と返されたので

「分かりました。では」

と言い、診療所に戻る。


診療所に戻ってきた後、ケントに

「今日ってどうすればいいんです?自分のテントに戻っていいんですか?」

出来れば今日1日くらいはあのふかふかなベッドで寝ていたいなぁ。

「そうですねぇ、昨日の夜の事もあるので明日の朝までは診療所にいてください。

あれだけの働きをした人に(とっとと自分のテントに戻れ!)なんて酷な事は言いませんよ」

と笑い飛ばされた。

心の中で安堵すると、ベットのある部屋へ行き装備を外して柔らかいベッドを堪能する。

「ふわぁぁ、柔らけぇ。明日までこの柔らかさを堪能するかぁ」

そう呟くと

「そうですね。明日はまたテントに戻りますから。

今の内に堪能しておいた方が良いですね」

とアイが返してきた。

「でも、やっぱ少し気になるなぁ。

あんな異常種が出てきて、こういう場所を襲うってのが」

と言うと

(まさ)に<異常種>と言える行動でしたね。

今後もこの街の建設作業は続くでしょうから、また詳しい調査も行われるでしょう」

そうだよな。不安要素があれば国としては調査して潰していくよな。

「まあ、俺が考え込む事ではないか。今日と明日はゆっくりし~よう!」

と言いながらベットにうつ伏せになりながら、取り敢えずぼーっとする事にした。


アイと雑談したり、たまに診療所のメンバーと雑談したりしていると気が付けば夜になっていた。

診療所のメンバーが帰った後、俺もベッドに戻る。

ベッドに寝転ぶと朝から完全に気が抜けていたせいか、すぐに眠気に襲われる。

「まずい、何故かは分からないけど眠くなってきた、もう寝るよ。

おやすみ、アイ」

と言うと

「おやすみなさい」

の声と共にすぐに眠りに落ちた。



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