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【10万PV感謝!!】中年ニートの異世界転生 大魔導士スキルを貰い今度こそ気ままに生きる  作者: 村居 赤彦
第三章 駐屯地遠征編

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第五十四話


夜間警備3日目。

起きて少し間をおいてから食堂で軽めの朝食?(いや昼食?)を食べる。

寝る前に何も食べなかったのでがっつり目にいきたかったが、起きたばかりという事もあり抑えめにする。

食事を終えると回復魔法をかけた兵士と見知らぬ男性が話しかけてきた。

「こんにちは。昨日はどうも」

隣は誰だ?白衣っぽいのを着てるって事は医者か?

「ああ、こんにちは。あれから傷はどうです?何ともありませんか?」

と聞くと

「ええ、おかげさまで。

ああ、そうだ。こちらはこの駐屯地で医師団のリーダーをされてる<ケント>さんです」

と紹介されると

「初めまして、ケントです。貴方が昨日この方に治療魔法をかけた方ですね?」

昨日の治療魔法でなんかやらかしたかな?

「初めまして、アイカワと言います。あの~、昨日の治療でなにかありました?」

と俺が恐る恐る聞いてみると

「とんでもない、寧ろ完璧でしたよ。

いやね、そんな完璧な治療魔法が出来る人がいるなら是非とも会ってみたいという事で、声をかけさせてもらいました」

何だそういう事か。てっきり回復が中途半端だったんで怒られるのかと・・・

「この駐屯地では通常、回復魔法である程度回復させてから薬草や医薬品で経過観察しながら治療していくというのが基本的な流れなんです。

そうしないと大規模な戦闘があった時、回復魔法のみに頼っていると、魔導士の皆さんへの負担がかかりすぎてしまうからです。

それに最近は治療魔法を習うのは女性の魔導士が多いのですが、こんな環境ではいくら冒険者でも女性は受けたがらないので」

となんとも言えない様な事情を話す。

「診療所にはいつ配属される予定ですか?」

と聞かれ

「今日の夜間警備が終わって、休日を挟んだら1日だけ配属される予定です」

と答えると

「そうですか。

あ、この駐屯地に来た時に聞いたと思いますが滅多な事が起こらない限り、重傷者なんて出ませんから安心してください」

と笑顔で答える。

いや、医師団のリーダーがそんな気楽な感じで良いのかよ、と思っていると

「先生、そろそろ戻らないと怒られますよ?」

と兵士が帰るように促す。

「おっと、そうだった。ではアイカワさん、私達はこれで」

と言い2人が診療所へ歩いて行く。

良かった、優しそうな人だ。

人にもよるだろうが、中には不愛想な、何だったら患者に半ば怒りながら接する医者もいる可能性もある。

(実際、前の世界で大きな病院にかかった時そんな医者を見た事がある)

そんなやり取りをして、暫くまったりしていると交代の時間になったので詰め所に向かう。


途中、食堂で夜食を受け取りマジックゲートへ収納してからボブ達と合流する。

どうやら昨日とは違う持ち場のようだ。

探知魔法をかけると、ナイトスパイダーが2匹程引っかかるがその場から動く気配がない。

ホッとしながらも

(また、今夜も長い夜を過ごすのか・・・)

と思ってしまう。

「どうです?何か引っかかりましたか?」

とデイブが聞いてきたが

「遠くの方でナイトスパイダーが2匹程引っかかっただけです。でも、その場から動いてません」

と報告すると2人共安堵した様な、或いは少しがっかりした様な何とも言えない表情を浮かべた。

「まあ、気を抜かなければ今夜も何事も無く終わるさ。

それに今夜を乗り切れば次は日勤だ。少しはやる事も増えるだろ」

そうボブが言うと

「あ、お2人は次は日勤ですか。俺は診療所担当ですよぉ。

何するんですかね?魔導士が診療所って。

聞くところによると、滅多なことが無い限りは重傷者なんて出ないって聞いてるし」

まあ、その滅多なことが無いに越したことはないけどね。

「確か大概は診療所の雑用がメインじゃなかったかな?

国から搬入された物資の整理とか、シフトが終了した後に訪ねて来た患者の傷の手当てや、疲労回復の魔法をかけるとか」

なんだその程度か。

「そう言えば今日の午後に医師団のリーダーが会いに来ましたよ。

ケントさんって言いましたっけ?」

話題をその人物に変えると

「ああ、あの変わり者のお医者さん?会ったんだ」

とボブが答える。

「変わり者?そうかなぁ、少ししか話さなかったけど、そんな印象は無かったなぁ」

と返すと

「回復魔法に興味があって、自分が凄いと思った魔導士は直接会って話をしてるみたいなんだ。

何でも子供の頃に治療魔法専門の魔導士になりたかったけど、その夢が叶わなかったからって。

それで猛勉強して魔導士ではなく、医者になったって」

へぇ~、そんな過去が。

この世界で医者になるのはどのくらい大変なんだろうと一瞬考え込む。

前の世界なら猛勉強して、大学に入り、資格を取って、それぞれの病院で色々な科で研修を受けて・・・

なんて流れなのだろうけど、当然ながらこちらの世界はまた違った流れなのだろう。

外科手術とかあるのか、いや、麻酔と言う概念が存在するのか、等々変に暇なので様々な想像が頭の中をよぎる。

「・・カワさん、・イカワさん!」

デイブの声にハッとして我に返ると

「休憩の時間だよ。どうしたの?いきなり考えこんじゃって」

不思議そうな顔で2人が俺を見ている。

「ああ、ごめんなさい。なんでもないです」

と照れ笑いをしながら謝ると

「ほら、早く休憩に行きましょう」

とボブが催促をする。


食堂前で夜食を食べながら、雑談をした後他の班に休憩の知らせを伝えて、持ち場に戻る。

改めて探知魔法をかけると

「あれ?」

と思わず呟く

「どうしました?」

とデイブが聞くと

「いや、場所は変わってないんですが、ナイトスパイダーの数が2匹から5匹に増えてますね。

しかも1か所に集まってる」

と報告すると

「同じ場所に、ですか?それは不思議ですね。

ナイトスパイダーは獲物の取り合いを防ぐためにある程度距離を取って巣を作るんですけど、同じ場所に集まるってのは聞いたことが無いな。念の為、他の班にも伝えてくる」

とデイブがそれぞれの班に状況を伝えに行く。

デイブが戻ってくると

「あっちの班では、魔物は確認できなかったらしいぞ。

休憩中の班もせいぜい引っかかっても2匹程度だってよ」

なんか引っかかるな・・・でも、こんな暗闇の中に飛び込んで調査するなんてそれこそ無謀だし。

「朝の引継ぎで報告はしておこう。今は警戒する他はない」

とのボブの一言で気を引き締める。

その後数時間が経ち、再び探知魔法をかけると集まっていた5匹のナイトスパイダーの反応は3匹に減っていた。

「今度は3匹に減っています。しかも1か所ではなく等間隔にばらけました」

と報告すると

「今度はばらけたのかぁ。変だなぁ、ナイトスパイダーは普段そんな行動取らないんだけどなぁ」

とボブ。

「大物が掛かってそれを複数で共有していたとか?」

と俺が聞くと

「いや、その可能性もあるかもしれないけどそれだったら、獲物となった魔物の鳴き声の1つくらい聞こえなきゃおかしいでしょ?」

とデイブ。

考えれば考える程訳が分からん。

警戒しながらも3人であーだこーだ冗談も交えながら話していると夜が明けて来た。

交代の時間になったので詰め所に3人で向かう。


詰め所でイーサンに会ってあった事をそのまま話す。

「成程、そうですか・・・分かりました。一応、調査には向かわせます。

残骸があれば獲物を共有していた事で終わりますが、そうでないならこちらとしてもどうしようもありません。

何はともあれ、報告ありがとうございます。お疲れさまでした」

と礼を言われた。

おっと、忘れない内に聞いておこう。

「あ、そうだ。俺、夜間警備が今日で終わりで次は診療所担当なんですけど、日勤と同じ時間で良いんですよね?」

とイーサンに聞くと

「はい、同じで構いません。

朝の朝礼が終わった後診療所に行っていただく流れで大丈夫です」

そうか、それが分かれば一安心だ。

食堂で朝食を食べた後、ボブ達と別れて自分のテントに帰る。


いつもの通り、マジックゲートから寝袋、クッション、アイマスク、耳栓を取り出し寝ころぶ。

「やっと夜間警備が終わった~。次は診療所かぁ~」

と呟くと

「お疲れさまでした。

ナイトスパイダーの動きが気になりますが、ひとまず乗り切りましたね」

とアイが話しかける。

「そうだね。まあ、あの状況じゃ無暗に動けないから報告するのが正解だったと思う」

と返した。耳栓とアイマスクを装着している間に思い出したかの様に

「ああ、そうだ。次に解放するスキルを今決めるよ。リストをお願い」

と言うと画面上にスキル一覧が表示されて

「次はどうしようかな・・・」

なんかこう、人の心を読むとかではなくもっと限定的ではない物がいいな。

リストをダラダラと眺めていると気になるものを見つける。

<自分の魔力を他の相手に伝達、又は相手の魔力を吸収>

とある。

このスキルの詳細をアイに聞いてみると


<自分の魔力を他の相手に伝達>・・・他の相手(1人又は複数に自分の魔力を

                  分け与える事が出来る

                  但し、精錬した魔力を与える場合はかなり

                  緻密な魔力操作が必要


<相手の魔力を吸収>・・・読んで字の如くだが、相手の魔力を吸収して

             自分に集める事が出来る。


らしい。

「ん?キリアナ王国でダンさんが瘴気の浄化をした時にした方法は、この<相手の魔力を吸収>と同じって事?」

とアイに聞くと

「はい、そうです。

ただあの方は貴方の様にスキル開放ではなく、長年の修行と元々の素質で得たのだと思います。

それにこのスキルを得たからと言って、貴方が瘴気の浄化が出来るようになる訳ではないのでご注意を」

との事。

やっぱりダンさんってすごい人なんだなと改めて思う。

「ではこれにするよ。いつか役に立つ日が来ると思うから」

とアイに言うと

「分かりました」

と言い、いつもの様に体がふわっと浮いた感じがすると

「スキルが解放されました。

もしも精錬した魔力を分け与える状況が来たら、最初の内は私がバックアップします。

分け与える量を間違えると相手の魔導士の負担がかなり大きくなるので」

との補足もあった。

「分かった。ありがとう」

と言うと同時に欠伸が出た。

「流石にもう眠いや。おやすみ、アイ」

と言うと

「おやすみなさい」

の一言と同時に眠りについた。


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