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【10万PV感謝!!】中年ニートの異世界転生 大魔導士スキルを貰い今度こそ気ままに生きる  作者: 村居 赤彦
第二章 バルシス王国編

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第三十八話


翌日、朝起きて少しした後魔力精錬の修行をした後に街に繰り出す事にした。

シャルナンを出る前にアイにマップを開いてもらい武器屋の場所を確認する。

昨日ギルドの所長との話に出た(リザードマンの皮膚を使用した防具)を見に行こうと思ったからだ。

値段によっては買おうかどうか迷うところだが、大半は剣士が装備する鎧で自分には合わないだろうし、観光の目玉になっているという事は価格も所謂(観光地価格)になっているかもしれない。

まあ、行ってみてから決めてもいいだろう。


シャルナンを出た時間がお昼前だったこともあり武器屋に向かう途中、市場に寄って食べ歩きグルメでお腹を満たす事にした。

昨日は分からなかったが、イカ焼きに似た物だったり、中にはたこ焼きにそっくりな物まで見つけた。

早速食べてみても、味はほぼ一緒。

しかも味付けは塩の他、醬油に似たものまである。

少し醤油とは味が違うので魚醤の類かな?などと思いながら料理に舌鼓を打つ。


マップで見た武器屋に到着すると、武器屋が1店ではなく何店舗も集まっていて、大勢の客が品物を見ていたり店主と値段交渉をしていたりと、かなり賑わっていた。

「うぉ~、人多いなぁ。下手したら市場より人多くないか?これ」

と思わず声が出るとアイが

「どうやら旅で訪れた冒険者や観光客を目当てに、幾つもの武器屋が出来ているようですね」

と教えてくれた。

取り敢えず流し見程度に店を回ってみるか。

適当にそれぞれの店の前をゆっくり歩きながら、防具の値段を見ていくとやはりどの店も高かった。

値段もピンキリで防具の種類もかなりの数だったが、中でも驚いたのは

(最高級品の剣士用の鎧でなんと金貨60枚!!)

と張り紙が貼られている商品。

思わず

(いや、値段設定が強気すぎるだろ、誰がこんな値段で買うんだよ)

と心の中でツッコんでしまった。

店を全て見終わって、今の自分に合う防具はないので他の場所に移動しようとすると

「どうして修理代がこんなに高ぇんだよ!ぼったくってんじゃねぇよ!!」

と周辺で男性の怒鳴り声が聞こえた。

その店の方を見てみると、騒ぎを聞いた他の冒険者達が野次馬と化して集まっていた。

「ですから、リザードマンの皮膚の部分を張り替えるには、かなりの技術と手間がかかるんです。

それにここまで使い込まれてボロボロなら、新しい品物に買い替えた方が安く済みますよ?」

と続けて店主らしき男性の声が聞こえてくる。

俺も近くに行って様子を見ていると、ボロボロになった鎧を持っている剣士の男性と、その仲間らしき女性3人がいて女性達が怒っている男性をなだめていた。

(確かにあんなにボロボロならもう買い替えた方が早いだろ)と心の中で思いながら見ていると

「リザードマンの皮膚が大量に出回ったんだろ?少しは勉強してくれてもいいじゃねぇか。頼むよ!」

と今度は店主に泣きついたが、店主は全く譲らず話は平行線のままだった。

集まった野次馬たちが

「おい、なんだよあれ。冒険者が武器屋に泣きついてるぞ」

とか

「金が無いなら依頼をこなして稼げばいいのに」

と冷ややかな意見が大半だった。

俺も心の中でその意見半ば同意する。

前の世界の様に月給制ではなく、命を懸けてはいるが依頼を完了すれば所謂(現金とっぱらい)の世界。

出来そうな依頼をこなし続けていれば自ずとお金は貯まる。

それで支払えば良いだけの話だ。

何だったら普通の鎧でも自分の合ったものを見つければそれで充分だと思う。

見栄より機能性でしょ、と。

店主と剣士の不毛な交渉が続く中、俺には関係ないなと思いつつその場を後にする。


次にリザードマンの巣の途中にあった海岸に来た。

明日の戦いを少しでもイメージしておきたかったからだ。

砂浜に打ち上げられていた乾いた大きな流木の上に座り、海を見ながら暫く想像していると

「どうですか?大体のイメージは出来ましたか?」

とアイが話しかけてきた。

「う~ん、まあなんとなくね」

とひとまず返事をしてみた。

相手がどのくらいの大きさで、どんな攻撃をしてくるか、船に乗って沖まで行くのか行かないのか等、考えればキリが無い。

ただ、相手もこちらに攻撃を与える瞬間に絶対隙が出来るはずだ。

そこに活路を見出す事が出来れば・・・

「後は、どんなパーティーを紹介されるかだなぁ・・・」

Dランクまで上がって来たのだから(くせ)の強いパーティーではないとは思うが。

それと魔物との戦闘をイメージしていた時に思いついた事をアイに聞いてみる。

「ねえ、アイ。建物や乗り物に魔法障壁を掛ける事は可能?」

と聞いてみると

「可能です。その場にある物なら何にでも掛ける事が出来ます」

そうか、可能なのか。これで少し希望が出てきた。

「ありがとう。何となくイメージが掴めてきた」

とアイにお礼を言い、立ち上がり歩き出す。

「それにしても、この海岸一帯に元の住民達って帰って来るのかな?」

とアイに疑問をぶつけてみた。

「それはどうでしょう?もし元住民の方々が帰らなければ観光地にするのでは?」

それはそうだろうけど・・・まあ、俺が心配する事じゃないか。

そう思いつつ海岸を後にする。


今日はシャルナンではなく、ベルダンに寄って夕食を食べる事にした。

「いらっしゃい。あ、この間の。どうだった?紹介した宿は?」

と店主の男性が話しかけてきてくれた。

「はい。料理も美味しいし、とてもいい宿ですね」

と返すと

「実はな、あそこは俺の弟の店なんだ。

愛想が無いぶっきらぼうな奴がいたろ?あれが俺の弟なんだよ」

と唐突な事を言い出した。

「え?そうなんですか?」

いや、個々の店主と似てたか?なんて思っていると

「俺とアイツは異母兄弟でな、顔は似てないが料理の腕はほぼ同じなんだ。

あ、この一言はあいつには内緒な?

普段は仲は良いし料理の腕も俺は気にしては無いがそれを言うと怒るんだよ、アイツ負けず嫌いだから」

と店主は笑いながら話した。

意外な事実を聞き終わる頃には食事を食べ終えていたので、料金を払い店を後にする。


シャルナンに到着し部屋に戻る。

椅子に座ってまったりしていると

「少しいいですか?」

とアイが話しかけてきた。

「どうした?」

と返すと

「昼間、海岸で元住民が戻るかどうかの話が途中で終わったので気になりました。

あの時は何を考えていたのですか?」

と聞かれた。

「ああ、あの時か。

いや、いくら国が<安全です>と宣言したところで当時の住民達が、例えば海賊に襲われた経験があったり、リザードマンを近くで見てトラウマになってたりしたら、そう簡単には戻らないんじゃないかって思ってさ」

その国の王や兵士達がどんなに信頼されていようと、どのような事であれ1度体験した強烈な恐怖やトラウマは個人にもよるが中々消えるものではない。

(そんな事ではこの世界では生きていけない!)

と言われてしまえばそれまでだが・・・

「また俺の悪い癖が出ちゃったかな」

と呟くと

「そうですね。今は明日の依頼に集中した方がいいと思いますよ」

とアイに注意されてしまった。

「そうだね、じゃあもう寝るか」

と立ち上がって背伸びをした後ベットに潜り込む。

「おやすみ、アイ」

と言いながら目を閉じると

「おやすみなさい」

とアイの声が微かに聞こえる中眠りに落ちた。


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