表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【10万PV感謝!!】中年ニートの異世界転生 大魔導士スキルを貰い今度こそ気ままに生きる  作者: 村居 赤彦
第一章 キリアナ王国編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

31/102

第三十話


翌日、晩餐会の詳細を伝えに来る兵士が来るまでリフルでまったりしていた。

Dランクの依頼は1度達成しているので少なくとも1か月間はギルドで依頼を受けなくても良い。

兵士が来るまでの間、新しいスキルを選んでおこうかとも思ったが、選んでいる最中に訪ねられてもなぁと思い、魔力精錬の修行をして過ごすことにした。

修行中は集中していても外部の声はちゃんと聞こえるので急な知らせにも対応できる。

結局、連絡の兵士が来たのは午後になってからだった。

時間は明日の夕方、お酒も出るので飲むかどうかの確認や苦手な食材の確認があったが、酒が飲めない事を伝えた。

そして最後にとても気になっていた

「あの~、晩餐会という事はやっぱりそれなりの服とかにした方がいいですか?」

と聞いたら

「いえ、大丈夫です。普段の服装で構いませんよ。別に貴族の方等が出席するわけではないので」

と笑顔で返され、兵士は帰っていった。

ほんとかぁ~?とか思いながら部屋に戻り、新たなスキルを選ぶ事にした。

部屋に到着し椅子に座って

「ねえアイ、新しいスキルを解放したいんだけどいいかな」

とアイに話しかけると

「はい。よろしいですよ。どれにしますか?」

アイが獲得できるスキルの一覧を画面に出してくれる。

「う~ん、今回は何にしようか・・・」

前回は(人の心の中を読む)だったから今回は実戦的な物にしようかなぁ・・・ん?

「高密度魔法の使用?」

と呟くと

「はい。この世界で魔導士が使用している魔法とは別の部類の魔法を使用できるようになります」

とアイが言うと更に

「詳しく説明すると、どの属性でもない魔力を収束させてそれを直接相手に、或いは地面に撃ちこむと広範囲の相手に大ダメージを与える魔法です。

強力な分、使う状況がかなり限られてしまいますが」

強力な分デメリットも大きいな。まあしょうがないか。

「じゃあ、これにするよ」

とアイに言うと

「わかりました。では、解放します」

と続くといつもの如く体がふわっと浮く感覚がした後、スキルが解放された。

試してたいとは思ったが、流石にデメリットが大きすぎるので一応やめておこう。


スキルを解放し終わった後外を見ると、まだ夕暮れには早いくらいだったが出かける様な時間ではなかった。

厳密にいえば酒飲みたちが

(ちょっと早いけど飲みに出かけるかぁ~)

みたいな時間。

「どうしようかな。出かけても特に行きたいお店無いしなぁ。酒が飲めるわけではないし」

と独り言を呟くとアイが

「お酒は嗜まれなのですか?」

と聞いてきたが

「無理だなぁ。そもそも味が苦手だし、尚且つ自分が酔っ払ったらどんな感じになるかわからないから。

楽しく場を盛り上げる程度ならいいけど、誰かに迷惑をかける感じになるのが怖いし。

そんなリスクがあるなら最初から飲まなければいいと思って、前の世界でも強いお酒は飲んでこなかったんだ」

そう。人付き合いが苦手になり始めた10代後半に

(酒への適正も解らないのに、変に酔っ払って心の奥底に溜まっている何かが出てきて、周りに迷惑が掛かるくらいなら飲まない方がいい)

と心に決めた。

なので前の世界にいる時はほぼジュースに近い酒を極稀に少量飲むくらいだった。

それは今でも変えるつもりはない。

しかし、困ったなぁ。今夕飯を食べると寝る前に空腹に襲われる可能性が・・・

「まあいいや。暇つぶしにギルドにでも行ってみるか」

と立ち上がり、ギルドへ向かう。


ギルドの中へ入るとなんだか賑やかな声が聞こえる。

声の主はケインとルーシーの様だ。

待合所の椅子にケイン達一行がいて、俺と目が合ったケインが

「あ~、あいくゎあすゎんどぅわ~。こっつぃにきていっしゅよにぬぉむょおよ~」

と普段のキッチリとしたケインからは想像も出来ない姿になっていた。

そしてその隣では

「キャハハハハハ、ケインったら何言ってるかわかんないよ~。キャハハハハハ」

と机をペシペシと叩きながら変に弾けているルーシーの姿もある。

そんな2人の横でケインの介抱をウィルが、ルーシーの介抱をケイトが一生懸命していた。

「どうしたんすか?これ」

と目が点になっている俺がウィルに尋ねると

「あ、アイカワさん。こんにちは。見ての通りだよ」

とウィルが困り顔で俺を見る。続いてケイトも

「実は偶然入った食堂で酔っぱらいの集団に絡まれてケインとルーシーが無理やり飲まされたのよ。

2人ともお酒は飲める年齢なんだけど、お酒なんて全くと言っていいほど飲まないからたった1杯でこの有様なの」

と状況を説明してくれた。

「大丈夫ですか?手伝いましょうか?」

と俺が聞くと

「いえ、大丈夫」

とケイトが言うと、隙をついて酔っ払った2人に疲労回復の魔法を掛けた。

すると掛けられた2人はその場ですぐ寝てしまった。

「ふぅ~、やっと眠ってくれたわ~。酔っぱらいにはこれが1番ね」

とケイトが安堵する。

「へぇ、酔っ払った人に疲労回復の魔法を掛けると寝ちゃうんですか~」

と感心していると

「そう!アイカワさんも覚えておいて損は無いわ。まあ、明日この2人は二日酔いでしょうけど」

と呆れ顔で答えると気になっていた事をウィルとケイトに聞いてみる。

「そう言えば、明日の晩餐会って服装はこのままでいいんですか?何か特別な服を用意するとかは?」

と聞くとケイトが

「いえ、このままでいいのよ。私達は明日で2度目の招待だけど前回もこの服装のまま行ったわ」

と教えてくれた。

「へぇ、皆さんは晩餐会は2度目なんですかぁ」

と驚くと

「ああ。前回はまだ俺達は見習いの頃で、師匠達の助手として行ったんだ。いい経験だからって」

ウィルが行った。

「じゃあ、日も暮れて来たし2人を連れて帰るか。では、アイカワさん、明日晩餐会で」

とウィルがケインをおんぶして連れて帰る。

対してケイトもルーシーをおんぶしてギルドを後にした。

苦笑いをしながら一行を見送るとアイが

「貴方がお酒を飲みたくない理由が何となく分かった気がします」

と唐突に言い出した。

「分かってくれた?あの2人の場合あんな感じだけど、もし俺が完全に酔っぱらったらどんな感じになるのか恐ろしくて想像すらしたくないよ」

と改めてアイに俺が酒を飲みたくない理由を説明した。

ケイン達が帰ったちょうどその頃は夕方で、当然ギルドを訪問する冒険者などいない。

ガランとしたギルドの中を暇そうに中を見ていると、俺に気づいた受付の女性が

「あら、アイカワさん。こんな時間に珍しいですね。何か御用ですか?」

と聞かれたが

「いや、今日1日色々な予定が中途半端な時間で終わってしまって。

散歩のついでにギルドに寄ってみたんです」

と言った。すると受付の女性は

「そうだったんですか。今日は依頼の数もいつもより少なかったんですよね~。

たぶん、瘴気の影響で集まった周辺の魔物達を討伐したからだと思うんですけど」

と話すと続けて

「私がこのギルドの受付を担当してから初めて経験するので何とも言えませんが、新人の頃前任の受付の方に聞いた話では、瘴気に引き寄せられるのは低級からオーク辺りの魔物なので、依頼も減ると言えば減るらしいですよ」

との事だった。

「そう言えば、ケインさん達がいたみたいですけどもう帰られたんですか?」

と聞かれ

「ええ、ウィルさんとケイトさんにおんぶされて帰っていきましたよ」

と苦笑いしながら答えると

「かなり酔っぱらってましたからね~、ケインさんとルーシーさん」

と受付の女性も同じく苦笑いした。

このままいても何もないので

「では、俺はこれで失礼します」

と挨拶をしてギルドを後にした。


リフルに到着する頃にはちょうど夕食時になっていたので食堂でお腹を満たし、部屋に戻る。

(それにしてもケイン達、ぐでんぐでんだったなぁ)

とつい思い出し笑いをするとアイが

「貴方がもし酔っぱらったら、疲労回復の魔法を掛けてその場で眠らせるのでそのつもりで」

と冷たい感じであしらわれたが

「どんな状況でも飲むつもりはないよ。例え国王様や王女様に勧められてもね。

だってアイや周りの人に迷惑を掛けられないじゃないか」

と飲酒を否定すると

「冗談です。お気になさらず。もし貴方が酔っ払ったら、貴方の体を操ってリフルに連れて帰ります」

とアイに言われた。

「なるべくそうならないように今後とも善処します」

と雑談をしていると夜も更けてきたので寝る事にした。

明日は晩餐会だ。

どんな内容になるのかなぁ、などと考えながらベットに入り眠りについた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ