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【10万PV感謝!!】中年ニートの異世界転生 大魔導士スキルを貰い今度こそ気ままに生きる  作者: 村居 赤彦
第一章 キリアナ王国編

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第二十九話


ワイバーンが迫っているという報告を受けて、俺達の班は引き続き同じ班の兵士達の治療にあたっていた。

俺は兵士の傷の回復、ケイトとティアは治療が終わった兵士の疲労を取る魔法をそれぞれ掛けていた。

下手に単独行動をするわけにもいかず、それぞれが今出来る事をこなしていた。

「各班で戦えるものは至急、第1、2班に合流されたし!」

と追加の伝令が来たので傷が完全に治った兵士達、攻撃魔法が使える魔導士、第4班のケイン達が第1班と第2班に合流する。

ティアとケイトは後方でまだ疲労が取れていない兵士達に魔法を掛け続ける事となり、全員に掛け終わり次第合流する事となった。


合流すると各班のリーダー達がジョージとハイドに状況を報告し、情報を共有する。

俺はまだ魔力は尽きてはいないが他の魔導士達はどうなのだろうか?

話し合いが終わったようでジョージが

「では、手短に話します。

まず魔導士の皆さんが雷魔法で一斉攻撃し、ワイバーンの動きを止めて地上に落下させて下さい。

そこへ私達兵士が一斉に攻撃してダメージを出来るだけ与えますが、もし現状の武器でトドメを刺せない場合は攻撃魔法に頼ることになりますので宜しくお願いします」

との事だった。

別班の探知魔法で位置を確認し、その方向に全員が向く。

魔導士全員が何時でも魔法を撃てるよう構えていると、けたたましい鳴き声と共にワイバーンが襲来した。

姿を確認した俺達魔導士が鳴き声に怯む事無く俺達が雷魔法を放つ。

全てではないが他の魔導士の雷魔法が命中し空中で動きが止まると、すかさず俺が練り上げた魔力の雷魔法を放つと見事命中し、地面に墜落した。

ワイバーンが痺れて起き上がれない内に兵士達が武器で一斉に切りかかる。

ケインの様な腕のある剣士は立ち上がれないように足を、他の兵士達は空へ飛びあがれないように両翼を攻撃していく。

弱々しい鳴き声を上げながら着実にダメージが入っていく中、ジョージ、ハイド、ケインが順番にワイバーンの首にダメージを与えいき、遂には息絶えた。

それと同時に後方で兵士達の回復に勤めていたティアやケイト、他の班の回復や補助の担当魔導士達が俺達に合流した。

ケイト達が念の為広範囲の探知魔法を掛けて周囲を確認したが、どうやらこれで最後の様だった。

その報告が全員に伝わり、歓喜の声をあげる者もいれば、その場にへたり込む者もいた。

俺も疲労はそこまでなかったが緊張の糸が切れてその場に座り込んだ。

ケイトが俺に疲労回復の魔法を掛けようと来たが

「俺よりも最前線の兵士さん達に・・・」

とは言ったがケイトは

「大丈夫!他の魔導士が行ったわ。じっとしてて」

と言いながら俺に疲労回復の魔法を掛ける。

その間に他の兵士達は狼煙を上げていた。

煙の色は緑色。

どうやら国境沿いに待機していたバルシス王国の兵士達に討伐完了の合図を送った様だ。

暫くして別の方角から同じ緑色の煙が見えた。

どうやらこちらの合図を確認した様だ。

ケイトの疲労魔法が掛け終わる頃、手の空いている魔導士達が兵士達と一緒に倒した魔物達をマジックゲートに収容していく。

利用価値が無い魔物は火魔法で焼却し、炭の状態になったのを確認した後、整列してキリアナ王国へ帰還する。


キリアナ王国へ帰還した後、ギルドへ向かう前に城へ立ち寄る。

城の中庭に全員が集まると兵士達と魔導士達の点呼が始まった。

驚くことにあれだけの戦闘を繰り広げたにも関わらず、重傷者はほんの数名で長くても1か月あれば復帰できる程度で、死人は全くでなかったという。

点呼が終わるとジョージが

「では通常ならこれからギルドへ向かい倒した魔物の換金を行う流れですが、今回は王国が直接依頼した事案ですので報酬は王国からの支払いとなります。

尚、参加された冒険者の方々、兵士、魔導士の皆さんには後日キリアナ国王より感謝の気持ちとして、晩餐会を開き、冒険者の方々にはその時に報酬をお渡しする流れとなっております。

詳細はこれより私からご説明いたしますので、冒険者の方々は今しばらくお待ちください。

では、兵士達は解散!」

とジョージからの説明が終わった後、安堵しきった兵士達は解散し、城の中へ入っていく。

その場に残った俺達冒険者や魔導士達の所にジョージがやって来て

「今日は本当にありがとうございました。

皆さんの御協力が無ければ甚大な被害どころか全滅もあり得たでしょう。

先程の説明にもありましたように後日、王国より晩餐会で報酬をお渡しする流れになっておりますので、ぜひご参加いただければと思います。

明日、城の兵士が晩餐会の流れについて説明に行きますので、皆さんそれぞれの宿泊先やご自宅におられますよう、宜しくお願いします。

では、今日はこれで失礼させていただきます」

と俺達に一礼してジョージも城の中へ戻って行った。

他の魔導士達も解散し、城を後にしていく中ティアが

「アイカワさん、今日は本当にありがとう。

あなたのおかげで部隊の被害も最小限に抑えられたわ。

今日は疲れてるだろうから晩餐会で色々話しましょう。じゃあね」

と笑顔で去っていった。

俺もケイン達と途中まで一緒に帰る事にした。


リフルへ帰る途中、ふとした疑問がそのまま口にする

「そう言えば、なんで国境付近にあんな数の魔物が集まってたんでしょうね?」

と独り言のように出ると

「実は今日遠征で行ったあの場所は10年に一度の割合で魔物が集まる特殊な場所なんだ」

とケインがいきなり不穏な事を言い出す。

「え?そうなんですか?」

と聞き返すと

「ええ。実はあの場所の地下には魔物を呼び寄せる<瘴気(しょうき)>が漏れ出しているの。

それであれだけの魔物が集まってたのよ」

とケイトが続いて説明する。

「その瘴気を何とかする事は出来なんですか?」

と率直な疑問をぶつけてみると

「何もしてないわけではないよ?

キリアナ王国と隣のバルシス王国、それに周辺の各村に住んでいる魔導士達が集まって瘴気を浄化しているんだ。

今日の遠征で倒した魔物があの数で収まった事、それに集まった魔物の強さも、兵士と魔導士の連携で何とか乗り切れる強さだったのは、地下から漏れ出てる瘴気がある程度浄化されてる証拠だよ。

まあ、たった1体とはいえワイバーンが襲来した時は肝が冷えたけど。

それに何もしていなかったら、隣国を含めたこの一帯は人が住める場所じゃなくなっていてもおかしくないからね」

とウィルが話した。

「たぶん、晩餐会が終わって何日かすれば王国から瘴気の浄化依頼が出るんじゃないかな?

その時はアイカワさんも参加してよ。

アイカワさんの魔力が加われば、浄化できる瘴気の量が増えて上手くいけば完全に浄化しきれるかも!」

とルーシーが目をキラキラさせながら言ったが

「もうルーシーったら、瘴気を浄化しきる事は不可能だって師匠から教わったじゃない」

とケイトがルーシーにツッコミを入れる。

「え?不可能なんですか?」

とケイトに聞くと

「瘴気は自然発生するものだから人間の力で完全に消し去るのは不可能なの。

浄化させて地下から漏れ出てくる量を抑えたり、濃度を薄めたりするのが限界なのよ。

ただ浄化できる量が増えれば増える程地上に出てくる瘴気の量が減るから、集まる魔物の数や頻度が減っていくって訳なのよ」

との説明を聞いている内にリフルに到着した。

「じゃあ、アイカワさん。晩餐会で」

とケイン達と別れてリフルに入る。


夕食を済ませた後部屋に戻り椅子に座る。

ここでアイが

「一息ついたところで恐縮ですが、本日の戦闘でレベルアップしましたのでどのタイミグでもいいのでスキルの開放をお願いします」

と言われた。

「ああ、明日以降選ぶことにするよ。あと一つ聞きたい事があるんだけど、瘴気ってこの世界のどこにでも存在するの?」

と聞くと

「はい。存在します。どこにでもという訳ではありませんが、先程ケインさん達からの説明にもあったように、特定の地域に限ってですが瘴気が地下から漏れ出ている箇所があるので、各国が協力し合い瘴気の浄化を定期的に行っています」

と説明された。

瘴気の浄化かぁ・・・この世界で生きていくには避けては通れないなぁ、と思いながらベットに入る。

今日は流石に疲れた。

アイの疲労回復の魔法が無くてもよく眠れそうだ。

「おやすみ、アイ」

と言うと

アイの「おやすみなさい」が言い終える前に眠りに落ちていた。


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