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【10万PV感謝!!】中年ニートの異世界転生 大魔導士スキルを貰い今度こそ気ままに生きる  作者: 村居 赤彦
第一章 キリアナ王国編

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第二十五話


翌朝、早速ダンさんの家へ行く。

「おはようございます。今日はよろしくお願いします」

と挨拶すると笑顔で会釈してくれた。

その目の前にルーシーとケイトが目を閉じて姿勢良く立っていてじっとしている。

俺の隣に立っていたウィルが

「どうやら魔力を練る為に集中してるみたいだ。邪魔せずに暫くここで待とう」

と小声で言ってくれた。

なるほど、そういった修行方法もあるのか・・・

少し経つとダンさんが

「はい!そこまで!」

と一言。すると女性陣2人がふはぁ~と溜息を吐き

「やっぱり師匠と一緒にする修行は結構キツイなぁ~」

とルーシーが言うと続いてケイトが

「でもこれだけ負荷の掛かった鍛錬も師匠が目の前にいてくれるからこそよね。

私達2人だけじゃ中々出来ないもの」

と返した。

見た目に反して中々キツイらしい。

「では私はアイカワさんの方を担当するので、後はマリンにバトンダッチします。

アイカワさん、あそこに立っている木の所へ行きましょうか」

と言われ同行する。

ケインとウィルは

「それでは、我々は剣術の稽古をするか!」

と言い、木刀をお互い手に取り稽古を始めた。


木から3メートル程離れた所に止まりダンさんが

「ではまず、あの木に向かって氷の魔法を試しにやってみてくれませんか?

それを見てからアドバイスします」

と言われ、両手を木に向けて氷の塊を作り出そうとする。

しかし、氷の塊が出来上がる途中で水が弾けて散ってしまい失敗する。

その様子を見ていたダンさんが

「ふむふむ、因みに氷を作り出す時のイメージはどのようにしていますか?」

と問われ

「まず水の塊を作りながら、そこへ冷気を送り込むという感じではいるんですが・・・」

と言うと

「なるほど。では(水を冷気で氷にする)というより(大気中に存在する水分を氷にする)というイメージに変えてみてはどうでしょう?例えばこのように」

とおもむろにダンさんが木に片手を向けると先端の尖った氷の塊を作り出し、木に向かって発射した。

す、凄ぇ。まさに俺が出したかった魔法そのものだ。

「私の場合、空気中にある目に見えない水分を集めて凍らせるといったイメージで使用していますが、試しにその方法でやってみませんか?」

と提案された。

早速教わった通りのイメージで試してみる。

「大気中の水分を凍らせて・・・」

と小声でぶつぶつと言いながら魔力を込めてみるとダンさんより一回り小さかったが同じ物を作り出す事が出来た。

「やった!作れた!」

と年甲斐もなく子供のような声を出してしまった隣でダンさんは

「ほう、一発で成功しましたか!これは凄いですねぇ。

これを何度か練習すれば今日中にでも氷を作り出す魔法を使いこなせますよ」

と言ってくれた。

「今の感触を覚えておいてくださいね。

後は貴方の努力次第で如何様にも氷を変化させる事が可能ですよ。

それでは私はルーシーとケイトの所に戻りますね」

と言い、2人の所へ戻っていった。

では、先程の感触を忘れないうちに!と両手を木にかざして何度も魔法で氷を作り出し、木に撃ちこむ。

ある程度、直接攻撃出来る物を作るのに慣れた所で、今度は相手の動きを止める為の魔法を試してみる。

まずは、木の根元から自分の腰辺りの高さを凍らせるイメージで・・・と意識を集中して魔力を込めた後、一気に開放する。

すると見事にイメージ通りの物が出来上がり、近くまで言って強度を確認するとガッチリと凍り付いていた。

「アイカワさ~ん、お昼御飯の準備が・・・」

と大きな声でルーシーが言いかけると、凍り付いた部分を見た瞬間目を丸くしてこちらを見ながら近づいて来て

「なにこの氷?アイカワさんが出したの?この短時間で!?魔法で!?」

と驚いているとダンさんも来て

「ほほう、この短時間でここまで仕上げるとは。

どうやら氷の魔法に関してはコツを完全につかめたようですね~。

今後地道な鍛錬を日々積み重ねていけば、きっと凄い大魔導士になれるかもしれませんよ」

とお褒めの言葉を貰う事が出来た。

「では、午後からはルーシーとケイトと一緒に修行しますか」

との提案を受けてそれを受ける事にした。


マリンさんの料理をご馳走になり、昼休憩が済んだ後ルーシーとケイトと一緒に修行する。

内容は俺達男性陣が来た時にしていた

(立ったままで意識を集中し魔力を体内で練り上げる)

という内容だ。

「まずは肩幅と同じくらいに足を開いて目を閉じます。

そして一定の量の魔力を体の中に集めてください。

そして集めた魔力を練り上げて純度を高めていって下さい。

これを毎日行う事で、魔力の消費を抑えながら、尚且つ威力の高い魔法を出す事が出来るようになります。では、早速始めましょうか」

ダンさんの教え通りの姿勢を取り、体の一点(イメージとしてはみぞおち辺り)に少量の魔力を集める。

魔力を練り上げるという概念がイマイチ分からなかったが、アイが

「集めた魔力をゆっくりと水晶玉の様な透明な状態にしていくような感覚という説明ではどうでしょう?」

と言ってきたのでその通りにしてみると集めた魔力が半透明な状態にさせる事が出来た。

「そこまで!」

とダンさんの声が聞こえた。

「あれ?どうしたんです?師匠。随分早いですね」

とルーシーとケイトがあっけにとられていると

「いやはやアイカワさん、貴方がここまで凄い逸材とは思いませんでした」

と言い出した。

気が付けば洗い物を終えたマリンさんもダンさんの隣に来ていた。

「え?俺がですか・・・?」

と俺が聞くと

「貴方は気が付かなかった様ですが、魔力を精錬している途中に私の手を貴方の肩に置いて精錬の度合いを感知してみたら、物凄い純度の魔力が出来上がっていたのでついびっくりして止めてしまいました。

これほど純度の高い魔力を精錬出来る人に出会ったことがありません」

と言うと氷の魔法を練習していた木を指差して

「アイカワさん、先程と同じ様に精錬した魔力で氷の魔法を作って、ここからあの木に撃ちこんでみてください」

と唐突に言い出した。

ここから木まではかなり距離があるが、ひとまずダンさんの指示通りにしてみる事にした

まず両手をかざして体内で先程と同じ感覚で魔力を透明に練り上げてその魔力を氷に変える。

(行けぇ!)

と心の中で叫びながら出来上がった氷魔法を発射すると、驚くほどの飛距離が伸びて尚且つ命中した木の幹の部分が砕けて木が途中から折れてしまった。

ケイン達が唖然とした表情で見ていたが、当然ながら魔法を使用した俺が一番驚いた。

「ね?今日覚えたばかりの氷の魔法よりも飛距離、速さ、威力が格段に上がったでしょう?

このように純度の高い魔力で作成された魔法は攻撃、回復、補助のどの魔法にも応用出来ます。

なので、この修行を毎日欠かさず行う事が出来れば魔法を使う時に自然と純度の高い魔力が出せるという訳です。よく覚えておいてくださいね?」

との言葉を最後に修行はお開きとなった。


「本当に今日はありがとうございました。色々と勉強になりました」

とダンさん夫婦にお礼を言うと

「いやいや、アイカワさんは素晴らしい素質を持っていらっしゃる。

どうかその力を間違った方へ使わない様に肝に銘じておいてくださいね」

と言われた。

「ルーシーとケイトも日頃の努力を忘れずにね」

とマリンさんが笑顔で2人を激励する。

「はい!これからも精進します!」

と明るい表情でルーシーが返事をする。

「また暇を見つけたら伺わせていただきます」

とケイトもルーシーの後に続く。

「では、これで失礼します」

とケインが笑顔で挨拶をする。

「元気でね~」

とルーシーが元気いっぱいに手を振りながら、俺達はアイゼルムの村を後にする。


街に戻ると俺はケイン達と別れてリフルに戻る。

リフルの夫婦に

「おや、泊りがけでどこに行ってたんだい?」

と聞かれたので

「知り合いの紹介で、アイゼルムの村の魔導士の方にちょっと修行をさせてもらいに行ってました」

と答えた

「ほう、修行か。満足そうな顔を見ると収穫はあった様だね」

と言われながら部屋に戻る。

満足そうな顔か。どうやら褒められた事の嬉しさが顔に出ていたようだ。

とはいえやらなければならない事も出来た。

毎日の魔力の精錬。

そしてダンさんの別れ際の一言

(その力を間違った方へ使わない様に)

ケインと同じ言葉・・・

まあ、いくら凄い力があるからと言っても無法者に落ちるつもりはさらさらない。

いつも考えすぎず、フラットな考えでいればいい。

そう思いながらベットに入りこの日は眠りについた。

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